2006年障害者自立支援法が施行され、すでに3年が経過しようとしている。この法律の施行の大きな柱の一つに「地域移行」があげられている。
障害者支援施設利用者の地域生活への移行を推進することが課題とされ、入所施設からの地域自立生活移行者の目標値が2011年度までに7%とされた。当法人の所在する福祉圏域は2市1町の第1期障害福祉計画ではその合計は7名とされている。当法人の多くの利用者が重度身体障害者であり、家族の高齢化や不在という現実の中、独居自立生活を実現するためには、障害者支援施設利用者の障害程度、その家族の高齢化や不在といっ当事者に関わる課題はもちろんのこと、実際に地域生活を送る上での環境の諸問題が山積されている。
これらの諸問題を整理し解決することが、地域移行の実現には不可欠であろう。実際、地域生活を送る上での困難性とは何なのであろうか。これまで実際に障害者が地域で独居自立生活を送っている例はさほど数多くはない。地域への移行を促進していくためには、地域生活を送るための社会資源の整備がまずは基礎となる。資源がなければ地域移行しようにも移行できない。では、どのような資源を整備すれば地域移行が可能となるのであろうか。住宅、介護体制、セイフティネット等々さまざまな視点での検討が必要となってくる。これらの視点を整理し独居自立生活を送るための方策を調査研究する必要が急務と思われる。
私たちは、まず障害者支援施設を利用している障害者に体験的に地域で暮らしていただき、その中で地域移行のための課題を探っていくこととした。
厚生労働省の平成20年度障害者保健福祉推進事業の補助を受け、体験利用のみではなく、そこに関わる、不動産業者及び居宅支援に関わるアンケート調査も実施が可能となり、障害者の地域移行のための環境調査を実施することができることとなった。
2008年11月から2009年2月まで4名の身体障害者の方の体験利用を実施、2009年3月8日の中間報告会を兼ねたシンポジウムを開催、施設利用者本人、在宅障害者、施設職員、居宅介護事業者、及びこれまで調査がされていなかった不動産所有者への各アンケート調査の集計を経てこの度報告書としてまとめあげることができた。短期間での調査研究としては、ボリュームもあり、結果としては重要な指針を示唆できたと自負している。今後は今回の調査研究をひとつの糧とし、更に意義あるものに深めていくことによって、障害者の地域移行の推進に寄与していくことを願ってやまない。
最後に本調査にご協力をいただいた多くの方々に改めて感謝を申し上げる。
平成20年度障害者保健福祉推進事業
調査研究プロジェクト委員会
検討委員会委員長 | 豊田 淳一 | (社福)めぐみ会・理事長代理) |
検討委員 | 小澤 温 | (東洋大学・ライフデザイン学部教授) |
北野 誠一 | (東洋大学・ライフデザイン学部教授) | |
研究分担者 | 古山 周太郎 | (奈良県立大学 地域創造学部 専任講師) |
相馬 大祐 | (東洋大学大学院) | |
高原 優美子 | (長野大学実習助手) | |
木村 直紀 | ((株)おかのて代表) | |
清野 隆 | (東京工業大学大学院) |
社福)めぐみ会 推進事業プロジェクトチーム
山本 明彦 | 中山 恵美子 | |
鈴木 市郎 | 加藤 晴美 | |
工藤 直樹 | 小田島 貴子 | |
渡辺 瞳 | 大川 空湖 | |
藤平 智也 | 野村 健造 | |
事務局 | 関 光弘 | 中原 里実 |
土屋 裕子 | 碓氷 俊彦 | |
研究協力者 |
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谷崎 愛子(社会福祉法人めぐみ会 理事長) | ||
斉藤 邦彦(PT) | ||
シンポジウム講演者 |
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大塚 晃(上智大学 総合人間科学部教授) | ||
加山 弾(東洋大学 社会学部専任講師) |