附録

シンポジウム「障害者の地域移行を考える」~推進事業中間報告会~

 平成21年3月8日、東洋大学白山校舎にて調査研究の中間報告を兼ねたシンポジウムを開催した。 冒頭に推進事業検討委員会委員長である豊田より、本研究事業の意義と骨子について説明をさせていただき、小澤温東洋大学教授の基調講演として「障がい者の地域移行を考える」という題目で、障害者権利条約および障害者自立支援法と地域移行についてや、地域移行プログラムとその留意点、今後の課題と本研究の意義について講演していただいた。
 加山弾東洋大学専任講師からは、グループホームという地域移行と受け皿としての地域社会の問題点をお話しいただき、大塚晃上智大学教授からは地域移行するための行政としての覚悟と、障害を持たれた方が地域移行をするにあたっては何らかのきっかけ作りが大切とのお話しをいただいた。北野誠一東洋大学教授からは、シンポジウム全体のまとめとアメリカでの地域移行についてお話しをいただいた。
 中間報告においては、社会福祉法人めぐみ会、統括施設長関より本研究の目的と独居体験の経過説明、そして(株)おかのて代表木村直紀氏より独居体験における住環境調査の報告があった。

 

時間 次第 講演題目 講演者・報告者
10:30 挨拶 はじめに 豊田 淳一委員長
11:00 基調講演 障がい者の地域移行を考える 小澤 温 東洋大学教授
12:00 昼 食 休 憩
13:00 中間報告司会兼講演    北野 誠一 東洋大学教授
報告者 経過報告 関 光弘(めぐみ会統括施設長)
  報告者 住環境調査 木村 直紀(株)おかのて代表
  コメンテーター   加山 弾 東洋大学専任講師
  コメンテーター 地域移行の展望 大塚 晃 上智大学教授
  まとめ アメリカの地域移行 北野 誠一 東洋大学教授
15:50 質疑応答    
16:00 終了    

 

 

1.シンポジウム 中間報告基調講演会の参加者

 参加者は37名、内訳は下記の通りである。

学校関係 大学 1 7
専門学校 5
特別支援学校 1
行政関係   4 4
施設関係 東京都 5 15
埼玉県 4
栃木県 2
茨城県 2
群馬県 1
千葉県 1
業 者   7 7
評議委員・利用者家族など   4 4
合 計 37

 

2.シンポジウムにおけるQ&A

質問1

 【行政の障害福祉担当者】
Q 今日は先生方色々お話ありがとうございました。
 大塚先生の話、すごく楽しく聞かせていただいたのですけど一言おっしゃってましたね。行政の覚悟は見えないと。
 私ども福祉課の職員として話をしたいと思いまして、行政の覚悟が見えないことというのは色々あるのですが、正面きって今まで話をしてこなかったんですね。どうしてかといいますと権利条約の話で北野先生がおっしゃってたんですけど、やらなくてはいけない事と、やらなくてもすむ話があると思う。
 今まではやらなくても良かった、それは法律的にも。ただ、人の生活を考えたときに、やったほうがいいだろうと思う、その話を聞くのは担当の職員、中に進めて行くごとにそんなのはやらなくてもいいのではないかという話になる。じゃあ間の職員はどちらの顔色をみて話をすればいいのか分からなくなる。
 今までは財政だとか上司の顔色をうかがいながら、そうゆう風にしてきた。
 権利条約に批准したら、やらなければいけないとなったら、今度は行政の方からも覚悟を見せなければと思いながら話しを聞いていた。
 もう一つ、相談支援をしっかりやりなさい、生活の質があがったということ、そうゆう話があった。
 生活の質があがって良かったね、そう思えるのは関係している方みんな思っている。これは地域生活の移行というのもしっかりと個別化していくためには、行政もそうですし、地域の住民もそうですし、みんなが良かったねと言えるようにしていかなければならない。 それはすごく難しいし、それをすごく感じているのでその辺について何かヒントを大塚先生にかぎらず、他の先生方にもお聞きしたい。

【大塚晃上智大学教授】
A ありがとうございます。行政の方からお話をいただいて、私も行政にいたんでいつも、逃げないぞ逃げないぞと思いながらやっていた。午前中の小澤先生の話であったか分からないですが、色々評価はあると思うのですが、今わが国で地域生活移行のモデルとなって注目すべきは長野県だと思う。
 色々な評価と疑問はあると思いますが、私は一つは官の部分がきちんと県全体で色々な方たちと民の方たちと共同しながら支援しているということが県全体としてどうやって支えていくのかだと思う。
 私も始まった頃に話を何回かさせていただいた。県の職員は新しくなったらみんな1週間くらい西駒郷に泊まる、そこから私たちの生活と違う、そこからどう変えるかモチベーションを持つ。
 それから、トップが田中さんというキャラクターとして私も、西駒郷が大変な時にシンポジストで出て、逃げようと思ったんですが、前の方はお母さんたちが厳しい目で2時間行政説明したあとに田中さんがシンポジストで、県は知的障害の方も含めて西駒郷を見捨てないと言った。彼は政治家だから、県の職員と立場が違うが、ボスは絶対路頭に迷わさないと言った。そのメッセージは政治家だからを含めて強いわけです。
 それを見て県の職員はその線でいくんだ、それは障害者の地域生活ということを一西駒郷の事ではなく全県を考えてやるんだということ。
 私は少なくとも今見ていて、西駒の県の職員も含めて逃げていないと思うし、それだけの圧力があったとしてもきちんとやっていた。そういう意味が非常に強い。
 私は行政のその時、現場に対する理解と柔軟な発想が必要で、現場なんだと。現場がどう思っているかをきちんと吸い上げられていれば。常に挑戦する姿勢。チャレンジしないと次の一歩がない、どんな小さな一歩でも。
 それから痛感すると思いますけど組織の壁ですね。どうにか壁を打ち破りながら手を組んでいただく、行政はいつも壁があるんだけど、これをどうやったら手を組んでいけるかを考えていく。
 行政がどれだけ気持ちをこめて出来るか、大変なときもある、逃げたくなるときも逃げるときもある。でも、ここまではがんばろうという行政マン魂ですよね。それをプライドを持ってやれるかどうかです。 最後はみんなが良かったねと言うことをどうするかが一番大切で、それはやっぱり障害者自立支援法というのは、今まではある特定の関係者だけでやっていたが、これからの障害者自立支援法のターゲットは一般国民、一般社会、一般市民、となりのおじさん、おばさん、この人たちの理解がないと地域移行なんて進まないし、出たとしても非常に大変である。それが街づくりであって、地域福祉、地域社会の実現、それがみんなが良かったねと言える街づくりに変わった。もっというと私たちの国の民主主義が問われています。お互いに理解しながら市民としての民主主義の問題だと強く感じています。

【北野誠一東洋大学教授】
A 私はいくつかの市町村の障害者計画に携わっていた。障害者計画というのは大きな格差がある。私は市町村の覚悟というのは、障害者福祉基本計画、障害者計画に全て出ていると思う。 質問者の町の場合は3万7千人の人口がある。毎年、養護学校なり障害をもってるお子さんというのは、学校を卒業される数というのは年に数人(当町は2人)だと顔がみえる。5年計画だと10人くらいの顔が見える。
 どんな重い障害をもっていようとも養護学校をでたら、絶対自分の所の地域で彼らが生きる場をつくるという決意ですよね。
 私は小さな規模の市町村では必ず言う。あなたたち顔を知っているだろう、今どういう人が養護学校にいるのかその人たちが地域に帰ってくるというのが分かってるだろうと。分かってるんだったらこの人たちが絶対地域で生きれる仕組みをどんな事があってもつくるんだと。受ける事業所がないのならあなたの施設でうけなさい。逃げたらだめだと言う。
 どんな重い障害を持った人でも、生きるといっているのだから絶対にあなたの施設で支援しなさいと、そういう見方を支援者と当事者と行政と固い結束の中で仕組みを確実につくっていく、障害者計画の中に盛り込んでいく、その人たちのサービスの計画と量を必ず入れるという覚悟をしてもらうことが大事だと思う。

 

質問2

【専門学校生】
Q 地域移行への不安で緊急時の対応というのがあった。今回はモニタリング中ということで宿直室を一室借りて24時間体勢で行ってたが、本当に利用者が施設から地域へ出たとき、ここまでの施設からのバックアップはないと思う。
 限られたヘルパーの時間外で、緊急時の不安への解決策はありますか。

【大塚晃上智大学教授】
A 地域で生活する際に必要となるサービスはホームヘルパーサービスであるとか、重度の方でしたら医療的ケア、訪問看護もあるんですが、その中の一つとして緊急であるとか、災害であるとか、本人の状態とかも含めて、そこのところをきちんとサポートされないが上に地域に出て生活するということが困難になる。それは明白です。
 もちろん、今まではそれを担った社会福祉法人であるとか、事業所がやっていた。その努力は今後も大切にしていかなければならないです。
 今後はシステムとして、制度として例えばある一定のエリアについて基幹的なサポートをする。総合的なサポートをする支援センターのようなものを置いてそういう機能をもたせる。
 そこが緊急時に24時間対応できます、夜でもいきます、電話一本でいきますと。また、病院につなげる、ホームヘルプサービスにつなげるとかということを含めてやるという体制をつくりたい。これがどのくらい地域に必要か、予算とかも含めて分からないですが、案が出ていて具体的にすすみ始めている。多分最初はモデル的になると思うが、そういう体制を作るということが検討されている。

【北野誠一東洋大学教授】
A 介護保険であるような地域包括支援センターは24時間コールの仕組みとかの機能をもってますが、実際にはバックアップの違い職員によっての違い、色々あってどこまで機能しているか分からない。特に良くも、悪しくもコムスンの解体した結果24時間の仕組みが色々な所でとんでしまっている。仕組みが高齢者の場合でも24時間のシステムというのは特に夜間も対応というのは今厳しい状態になってきている。
 今回、介護保険の賃金の改定の問題とかを含めて本当はもう少し手厚い仕組みが出てこなければ。一人暮らしの高齢者とか、障害を持っている方の夜間支援の仕組みというのはなかなか機能しない、そういう意味で24時間のサポートの仕組みをモデル事業として提起されたのは大きいのですが、予算がついてないからどこまでいけるかなというのはあります。
 私たちが特に気になっているのは精神障害者の地域移行の問題で、このシステムが機能しないかぎり住民も家族も納得しないと思う。何かあったときに本当に精神障害の方が地域で暮らすときにサポートはあるのかと住民も家族も言う。
 他の国で一番お金がかかってきちんとしているのは精神障害者の24時間の危機管理であるとか、安全なサポートの仕組みとか、他の国々は色々な仕組みをつくってきた。日本の場合は精神病院から地域移行することの最大の困難性というのはそういう仕組みを日本という国は全く持っていない。地域住民も家族も本人も基本的に地域に帰るときにそういう仕組みがないところに帰っていくことがある。8割以上は親元に帰してしまう。これはデータででている。どうしてか、我々も親元に帰さないと半年を越えた方は必ず地域に帰さないと、地域の社会の中でグループホーム、ケアホーム、ケアつき住宅の仕組みを作っていくことをやってきた。 知的障害の場合はその方向に進んでいるが、精神障害の方はほとんどまだそういうシステムが組めていない。大きな課題である それから身体の方もこれからケア付き住宅の仕組みをどう展開するか、あるいはグループホーム、ケアホームをより介助がついた仕組みをどう展開するかというのが議論されている。

 

質問3

【障害者支援施設 利用者】
Q 私は地域移行も施設での生活もどっちもあっていいと思っている。地域で暮らすのには色々な不安がある。転んだらどうしよう、ナースコールに手が届かなかったらどうしよう、手をくれになったらどうしよう、色々な不安を抱えている。
 施設にいるときは自分で出来ることはじぶんでやるように努力している、私たちは本当に地域移行しなくてはいけないのですか、なんで地域移行しなくてはいけないのですか、それを教えて欲しい。

【北野誠一東洋大学教授】
A なかなか難しい質問をいただきました。
 私は地域移行って強制されてるものではないと思う。私は高齢者の方も、母親が地域で暮らしたいというものですから、パーキンソンの最終段階で要介護5にで寝たきりの状態ですけど意識ははっきりしていて。絶対に施設にはいるのはいやだと、ショートステイもつかいたくないと、だから私は、4月で教員をやめて母親の介護にはいるのですが。
 介護保険の今の仕組みは学校でも家族がみることが前提となっている。要介護5でもサービスをフルに使っても家族が全面的にバックアップしてかなりの時間の介助を含めないと支援できない。 それで基本的に私は高齢者も地域で暮らすべきだと思っているのですが、鷹ノ巣、秋田県の鷹ノ巣というところのケアセンターに行ったときに思った。そのケアセンターというところの仕組みが個室があってプライバシーがあって家族や色々な人たちが自由に出入りできていいなと。施設であるかが問題ではないなとその時思った。
 本人の生きざま、暮らしがそこでちゃんとやれているのであればいいと思う。かしの木ケアセンターは変なグループホームより本人の生活らしい。一方でグループホームであっても施設みたいなところもある。私は本人の生き方を貫くことが出来れば、施設だろうがなんだろうがいいと思う。
 制約があるのであればその制約を越えるためにはどんなところで暮らすのかを考えていただきたいと思う。

 

3.アンケート集計結果

質問1. あなた自身についてお伺いします。

性別 男性 14
女性 7
無回答 1
年齢 10代 1
20代 3
30代 9
40代 3
職  業 高齢者   1
障害者(知的)   2
障害者(精神)   0
障害者(身体)   4
児童   0
社協   0
行政   3
その他 利用者 1
その他 1
障害者の家族 1
学生 3
一般市民 1
障害者施設 1
取引先業者 1
建設業 1
無回答   2

 

質問2. 各プログラムについてお伺いします。

(1) 基調講演「障害者の地域生活移行を考える」 小澤温東洋大学教授

   回答10名

法律的な視点から地域移行についての概論や今後の課題が理解できました。
地域移行への難しさを痛感しました。もっともっと会社(行政・雇用)が積極的に活動に参加(協力)・・・・難しい
地域移行の中でクリアしなければいけない諸問題や同時にかんがえなければならないことポイントがあることが分かりました。
安易に地域移行を本人に押し付けるのではなく、その背景に寄り添い揺らぎに付き合う丁寧な支援が必要だと感じた。その為に失敗しても戻ってこられるシステムや地域の入所先と密接したネットワークつくりが重要だと思った。
大変わかりやすいお話でした。いつもサービスを利用したいとき「お願い」という気持ちが強かったのですが条約、法律などの話を聞きもう少し前に使える制度と認識していかなくてはいけないなぁと感じました。ありがとうございました。
画一的になんでも急ぐのでなく市民活動も導入しながら受け皿である地域の確立とすべきであるように考えます。体系的でわかり易く聞けました。成年後見制度も合わせて考えて欲しいです。
大変勉強になりました。
権利条約の批准の問題は意識していなかったので、地域生活の移行が権利になることの変革は見落としてはならない問題だと思った。地域移行プログラムの組み立て方、住宅施策との連携等、マネジメントしていく上で基本理念も学んだと思う。
学校で習った内容もあったのですが、少し難しかったです。しかし地域移行については改めて興味がわいた。
行政的な知識の中で足りない不十分な知識が多々あったので非常に参考になりました。

   無回答12名

 

(2) 中間報告 「経過報告」 関光弘 (社福)めぐみ会統括施設長

   回答17名

大変参考になる実践的な報告だった。
自分の施設でどのように地域生活移行ができるか考えさせられた。
グループホームは集団生活であり、やはり施設だという考えに共感できた。
地域移行(体験)による環境因子の変化、身体介護重視から生活重視への変化について分かりやすく説明いただけた。
特にない
モニタリングの結果、外出の回数や心身機能の変化については非常に興味を持ちました。
対象者4名のうち3名がアパート暮らしをしたいとの希望を出したのは大きな成果だと感じた。できればなぜ事業を利用したいと思ったのかというところから、それぞれ4名が最終的にどのような気持ちの動きを受けてそれぞれの意識へと至ったのが知りたかった。
居宅介護で入浴介助をお願いしても2市1町ではことわられることが多いので、実際の提供サービス プラス 希望があっても断った。ケースも調査に入れて欲しい。
受入側(地域)の整備が必須(地域の理解)は当然である。聞く立場からはもう少し間が欲しかった。
地域移行への問題点や環境因子による当事者の変化など分かりやすくまとめられていました。ICFの関連図でBさんの例しかなかったがDさんの例もみたかった。
入所者の大半はさまざまな問題から移行に積極的でないなか、体験された方のケアプランが非常に変化したことに驚いた。活動や参加を支援するケアの重要性と現在の制度のバランスの問題も解消しなくてはならないような気もした。
障害者の体験:身体介護より生活重視ということが認識させられ大変よかったと思う。
私どもの施設でも地域生活移行に関する取り組みをしております。貴重な当事者の意見として参考にさせていただきます。
グループホームが中間施設とおっしゃっていましたが、そうなのでしょうか、どこでどう暮らすかより、その人がどのように暮らすのかが大切なのではないでしょうか?
利用者さんの殆どの方が「地域移行」を望まないような傾向があることに驚いた。でも、これは地域生活の不安や住居などの問題により出た答えだった。実際に利用者が地域で暮らしてみると本当の意味で自立した生活を出来ている気がした。しかしその人の介護状況などで行動範囲や生活が多少変わるのでヘルパーさんの時間の関係で早く帰らなければいけいないということは少し残念に感じました。ですが地域や家主、施設の対応などの工夫で障がい者もおおいに地域移行できるのだと感じた。
非常に本人重視したていねいな対応をとりながら体験に結びつけた取り組みだったと思います。
興味深い報告でした。最初の施設をでて自活の希望をする%の低さはちょっとショックでした。一般市民が自然に障害を持つ人を理解し支えあう街づくりをしていくためには地域生活移行は必要なことだと思います。障害者が安全に暮らせるような環境整備をし利用者の方の意欲を引き出せるような支援をしえゆくことが必要だと思いました。

   無回答7名

 

(3) 中間報告 「住環境調査」 木村直紀(株)おかのて代表

   回答16名

興味深いテーマで参考になった。
体験入居者に実際の評価による問題点の抽出と解決策について興味深く実例を拝見させていただきました。
地域社会に移行した場合の費用は大丈夫なのか心配になる。
モニタリングの結果、住宅に関しては改修によりクリアーできるものがほとんど。ただ活動や心身機能については大きな変化がみられたことはよくわかった。大家さんに関するアンケートに関しては初めて目にする内容で新鮮だった。
心のバリアフリー(ソーシャルエスクルージョン)が本当に必要な部分であるということがわかりました。
私の担当したケースでも生保+保証人なしの障害がある(精神と知的)方がいたが「どうせ無理」という思い込みを捨てて一歩踏み出す勇気+お互いに安心できる相談を進める必要があると感じた。ここを円滑にするために相談職の介入も手と思う。
建設段階からバリアフリーを考えて建てることを基本にしていくことはできないのでしょうか?マンションなどはかなりバリアフリーになりましたがアパートなどはなかなか進まないのでしょうか?
既設の住環境は事前によく調べバリアを取り除く努力が必要。障害者用住宅(賃貸)を多く建設してもらうよう行政と話し合うこと、大家の理解も必要。当初の希望が取れていないと思う。まだ夢を持つ余地があると思う。近隣のボランティアも必要か?
大変勉強になりました。
施設と在宅を比較し地域移行の利点、難点を明確にし今後の課題が少し分かった。利用者側からと家主側からの不安な点やニーズを解決するための具体的な方法が書かれていたと思う。
家主の意識調査はパネラーの方もおっしゃっていたが住宅改修の個々のケースに応じた意見など、理解が意外にある部分もあったり必要としているものも参考になると思う。また制度周知が不十分で機能していない事業をもっと活用していく必要があると感じた。
建築構造などを考えながら賃貸住宅のあり方を考えさせられました
障害者の地域移行を進めるにさいして必要不可欠な家主さんの状況が少しでも見えたことは参考になりました。
車椅子の人が暮らせる家は誰もが暮らしやすい住まいだと思います。家だけではなく道路その他全てが車椅子で利用しやすい環境づくりができたらいいと思います。
進み方が少し早かった事とスクリーンにうつる資料と手元も資料が違ったりしていたので観づらかった。しかし家主の意識や考え方がわかったので面白かった。
興味深い調査だった。私の住む市はどの程度業者が認識しているのだろうか。

   無回答7名

 

(4) コメンテーター 加山弾東洋大学専任講師

   回答11名

グループホーム建設反対の声など、ハッとさせられた。地域とのかかわりについて考えさせられた。
地域移行には受け入れる側(社会)のソフト面・ハード面の整備が必要。
特にない
移行側(家主側=現在かかわっていない人達)の考え方も必要な部分である
親御さんのGH成立の動きの例を聞き切なくなった。ハード面とソフト面(心のバリアフリーの解消)も必要。しかしそれと同時に、入居者の気持ちに寄り添い動機付けも必要と思う。入居者の一歩踏み出す勇気がソフトとハードを変えていくこともあると思うのです。
地域の方達の意識を変えていくには個々の力というものも大きいと感じています。永年の御近所付き合いにような関係しっかり育てたいと思います。理解者⇒協力者と変化してくれたらうれしいと思います。
福祉は縦割りが強く、細分化されているので全体を見通して福祉を考える必要があると感じた。(自分は認知症と障害が大変であることはわかります)
当事者側にたった意見で共感できた。もう少しいろんな話しを聞きたかった。
ハード面のバリアフリーより意識の変革の難しさを感じた。
障害者の方が地域移行するには介護者や利用者、家主だけでなくその地域に暮らしている人々の意識の改善も必要なのだと思った。こういう面に対しても行政は力をいれていくべきだと思う。
私も仕事の中で地域住民のケアホーム設置反対住民に対する説明会に出席したことがあります。地域住民に理解してもらうための行政の役割の難しさを感じています。

   無回答11名

 

(5) 「地域移行の展望」 大塚晃上智大学教授

   回答12名

障害者福祉における思いを感じました。ありがとうございました。
地域移行は自己決定支援プロセスであるケアプランによる個別支援が必要。
非常にわかりやすかったです。また講演を聴きたいです。
地域移行へすすめるべき方法はあるけれども自己決定による地域移行にすべきだししないといけないということが分かりました。
精神障害者のある人の退所支援の課題ととても通じるものと感じた。本人、家族、支援者、行政の三位一体の連動、各々がそれぞれの役割を果たしながら「地域にでてきてよかった」と思える実感(本人の)とそれらを評価し後輩たちが「やってみようかな」と思えるデータ化・映像化も必要だと感じた。
人間として生活できる環境の整備を進めていくことが必要。施設を考え直すのも一つの道ではないか。体験入居は世田谷・○○の家が先駆者である。自立した喜びを味あわせるケアプランとモニタリングが必要。
障害者福祉分野における三位一体のそれぞれの役割、地域の特性を活かしながらシステムを構築していかなければならないと思った。
インクルージョンの話しが参考になりました。
色々な課題が多いと認識しました。民主主義とはなにかという根本的な話しに感銘を受けました。
大変解りやすいコメントでした。
障がいをもっているからといって自己決定や自己選択がおかされるなんてあってはならないと思います。でも住居の問題は周りの人々の助けを得ても、どうにもならないと思います。だから住居を建てるとき、健常者だけでなく障がい者も全ての人々が暮らせるように建設して欲しいと思います。これから高齢者だけでなく障害者も増えていくと思うので、行政も地域も企業も逃げずにキチンとむきあい考えていかなくてはならないことだと感じた。
本人の生活の質の向上、満足度、多くの方々との交流関係がとれてこそ地域移行の意識があるなど、解りやすい内容も込められていてよかったと思います。行政マンとして逃げないで取り組まなければと思う。

   無回答9名

 

(6) 講演 「アメリカの地域移行」 北野誠一東洋大学教授

   回答14名

障害者だからと24時間安全を保障するということを追求する必要はないということに共感しました。ただ、家族の方はそれを求めて地域生活を反対するのが現状です。
障害者と社会の関わり方について分かりやすくまとめて頂きました。
視察されたアメリカの事例の実態には驚かされた。
サービスを組み合わせるという視点だけではなく、まず本人の希望する生活を出発点に該当するサービスなどがあれば活用していくという視点が必要と感じた。支援者は本人の希望に寄り添い環境に働きかけることで障害による生きづらさを補うというあくまで本人のニーズ発の補完的役割を果たす存在であることを常に自覚しなければならないと感じた。
重度重複の息子の地域での役割をずっと考えていました。今春、養護学校を卒業します。1つでもやりたい事、出来る事を見つけ生活させてやりたいと考えています。まずはボタンひとつ押すだけかもしれませんが、お仕事に行きます。やってみます!
具体的でよかった。先ず受け入れる人は人である。
家主側の障害者理解が障害者地域移行に不可欠であることが解った。家主側、利用者側両方に絶対的な安心と保証が明確にならないと施設から地域への第一歩が踏み出せないことが学べた。
本人の生き様を貫くことができれば施設でも地域でもどちらでもよいという話が印象に残りました。
日中活動の重要性と支援する側の意識、地域移行の意義、アセスメント能力の育成システムが日本にも必要だと思った。行政が決定をして事業者がサービスを提供して、間のアセスメントが制度として特に在宅のサービスの場合にはほとんど機能していないため。
ソーシャルワーカーの姿勢のお話参考になりました。
経験豊富な内容でした。
自立生活者Aさんに関する話、とても興味深かったです。どんな人にもモンを開くという考え実践、学ぶべき姿勢だと思えました。
欧米は福祉が進んでいるので施設間生活が行われていると聞き驚いた。地域も行政もまず「受け入れる」ということに感銘を受けました。生活がありそれによって介護するなんだか当たり前のような事なのに忘れがちだと思いました。アメリカのように障がい者さんがお部屋をかりやすい国になったらよいなと思いました。日本は暮らしのかおりがする暮らしをできるようになったらよいなと思いました。
北野先生がやめてしまうのは残念です。

   無回答8名

 

質問3. 全体を通しての感想や意見等ありましたらご記入ください。

   回答18名

このようなシンポジウムに参加させていただいた事は始めてだったので、とても興味深く聞かせて頂きました。また機会があれば参加したいとおもいます。ありがとうございます。
非常に参考になりました。個人的に私の母校で話がきけて大変嬉しく思いました。
自立支援、自己決定。本人の思い、家族の思い、支援者の思い。難しいですね。
地域移行というのは単に住むところを地域にということではなしに地域の中に入るということと理解している。
日中、どうやって過ごすかは本人が決める。周囲が活動のレベルを決めるのはおかしい。どこかに出かけないと充実していないととらえられてしまう。
有意義な一日でした。障害者自立支援プロジェクトのこれからの頑張りに期待します。
地域生活移行という言葉の意味を知って始めてその実態を知りました。今後は全ての力(人物金)をつぎ込んで発展させていただけたらよいと思います。
自分でできることは自分でやる!できないとこは頼んでもいいということをアパートで学ぶことが出来ました。
全体として非常に中身のある講演ばかりで勉強になりました。報告書を是非多くの方に知っていただけるようなものになって欲しいと願っています。
今回の研修に参加させていただき考え方が広がった気がします。ありがとうございました。
いろいろと考えさせられました。「生活重視」「生き様・生き方」に視点をあわせられることの重要さを学んだ。とかく課題に焦点を当て課題を克服するという視点で利用者に対している自分がいたので恥じた。
興味深く聞かせていただきました。ありがとうございました。
学術的でよかったです。
いろいろ勉強になりました。
今まで地域生活移行がなぜ必要か理解できなかったが、各教授の講演を聴いて理解できました。
地域によって行動範囲の広がりや自発性を促進できるメリットがる一方で物理的バリアが多く受け入れる側の環境整備が急務であると感じました。
最後にあった利用者の質問はとても意味のある内容で施設・地域をどのように機能させるか考えさせられました。
どの方のお話も大変わかりやすく楽しく聞かせてもらいました。地域にでていくためにはたくさんの問題まだまだありますがまずは「人」。行政とも地域とも!本人・家族で人の繋がりを大事にし、いつか「どんな人も」地域にでられるようにと願います。

無回答5名

 

謝辞

 今回の報告書を作成するにあたり、研究調査および論文等の執筆において本当に多くの方々のお力をいただき、心より感謝申し上げるしだいである。特に、対象施設であるかしの木ケアセンターに入所している4名の利用者に対しては、実際体験の中で、途中で辞めることなく、最後まで調査に協力していただいた。研究調査員より、何度も同じような質問をされたり、答えにくい質問にまで答えていただき、今回のような報告をすることが出来た。また、実際に4名の方々が独居体験を行った時期が、真冬の寒い時期だったので、かなり体に無理をさせてしまったかもしれない。この場を借りてお詫びを申し上げたい。
 当法人理事である小澤温東洋大学教授、北野誠一東洋大学教授には、大変ご多忙の中、障害者福祉の研究者として非常に貴重なご意見、ご指導を頂きながら本研究が進められたことは、大変感謝申し上げたい。また、古山周太郎奈良県立大学 専任講師、相馬大祐東洋大学院生、高原優美子長野大学助手にも携わっていただき、様々な角度から本研究を進めていただいた。
 プロジェクト委員会のメンバーは、ほとんどが当法人スタッフであった。終日の業務多忙ななか、休日や勤務終了後に、本研究へ携わった。スタッフの中には、このような研究を行うことが初めての者も多くいたため、色々な方にスーパーバイズを行っていただいた。また、㈱おかのて木村直紀氏及び清野隆氏においては、利用者のインタビューをするため、何度も施設及び体験場所へ足を運んでいただいた。また報告書作成にも携わっていただいた。
 家主に関する調査研究では、S不動産業者に、大変ご多忙の中多くのアンケートサンプルを集めていただいたことは、本研究にとって貴重なデータとなった。また、在宅福祉用具に関するアドバイスを、福祉用具専門員と理学療法士という専門的立場から頂いた斉藤邦彦様には大変感謝申し上げたい。独居体験入居を行うマンションの環境整備を4名の利用者に合わせて、整備していただいた。
 独居体験入居を行っている間、直接的な介護や送迎、非常時に備えて待機したケアスタッフには、4名の利用者に対し、何事もなく円滑に支援していただき、大変感謝いたしたい。特に、夜間非常時に備えて待機していただいていたスタッフには、大変ご迷惑をおかけした。この場を借りてお詫び申し上げたい。 2009年3月8日10:30~16:00東洋大学白山校舎6号館6202教室にて行われた本研究中間報告シンポジウムにて、大変ご多忙の中、小澤温東洋大学教授、北野誠一東洋大学教授、大塚晃上智大学教授、加山弾東洋大学専任講師に貴重なご意見を頂き、心より感謝申し上げたい。
 最後に、厚生労働省の「障害者自立支援調査研究プロジェクト」があって、初めてこのような調査研究が行えた。今後について、このような事業が継続していくことを願うと共に、参加できたことに心より感謝申し上げる。

 

社会福祉法人 めぐみ会
推進事業事務局

 

 

 

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