【調査報告】聞取調査報告・愛知県

1. 指定就労継続支援施設ネリネ(NPO法人バウムカウンセリングルーム) 名古屋市

事業所の特徴 共同生活をとおしての自立支援を行っている。
引籠りやDVなど家族からのSOSに24時間対応している。スタッフ12人。
障がいとして認定されることのメリットを伝えるようにし、研修会を頻繁に開催している。
事業所又は地域での取組の成功事例 名古屋はトヨタ等の障がい者雇用の実績があり、障がい者でもきちんと働けているという理解があるため下請けとして多くの方が働いている。
青少年自立支援団体連絡会(名古屋市主導)を民間で運営している。
※不登校・ひきこもりが対象なので精神は含まれない。34歳までのニートに対応。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 以前ほどではないが、家族が隠す傾向にあって、今日殺すか明日殺すかといったギリギリになってから相談に来るケースが多い。
うつは本人が認めるが家族はそれを軽く見る傾向にある → 放置 → 総合失調症に発展 → なお隠すようになるので、相談機関のハードルを下げるようにしなければならない。
対応が早ければ早いほど回復力が違う。
相談支援 引籠りや不登校の背景には発達障がいがあるので診断を勧めている。医師との連携もある。
20代の方、30代の方、40代の方とそれぞれの年代に応じた支援が必要。
障がいを、家の恥・親の責任といった先入観を捨ててもらう。とにかく早期の対応がカギ。
誰が支援すべきか 現時点で理想を語っても仕方がない。相談事業者や制度を使い、そのノウハウの蓄積によって将来的には社会全体で支援できるような体制になればいいと思う。
家庭教師などをつけた学習の機会も必要。
親亡き後に備えていること 障がい認定、年金、生活保護などを活用してGHやHCでの生活
その他 不登校や引きこもりは常に後手に回る支援 → 予防が大切 ※2次障害は防げる。

 

2. WILL(社会福祉法人エゼル福祉会) 名古屋市

事業所の特徴 2級年金+後いくらあれば生活できるのか?という視点からお金を稼ぐ道を模索している。
仕事に対する細かな配慮や積み重ねや、限界に対する知恵が必要。どういう事業を作るか。
暮らしの豊かさの保障。
事業所又は地域での取組の成功事例 惣菜は事前予約注文をとって(週1回2~3万円の売り上げ)、工賃は毎日午前・午後の作業が終わる度に現金を渡してモチベーションを高めている。作業の流れはボードに記入。
殿様商売といわれてもいいから、客に振り回される商売はしたくない。本物を作ればそれができる。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 他の事業所に相談している。
3障がい一緒は弊害がある。
相談支援 法人内に「コンビニハウス」という相談支援部門があるのでそこで対応している。
誰が支援すべきか 網にかかるようにかかわりの中から支援していく。
親亡き後に備えていること 住宅を作っている。今もマンションを計画中。
金持ち老人がマンションを建てて障害者が住み家賃を払っていく。
その他 支援員に発想力がない。
障害のある方は自分を主張できないのだから、それをいいことに仕事を奪ってはいけない。

 

3. 介護ステーション ベル(有限会社クリエイティブ・ケイ) 名古屋市

事業所の特徴 地域生活支援を機に、介護保険から参入して7年目。スタッフ30人。
児童デイも行っている。移動支援や行動援護が口コミで広がり、利用者が増えている。
事業所又は地域での取組の成功事例 知的遅れがあり、作業所でのトラブルから引きこもっていた35歳の女性を親の介護に行ったヘルパーが見つけ、3~4年かかって社会復帰させた。今では作業所に通っている。
ヘルパーの力が大きい。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 わからない。
相談支援 まだ行ったことはない。
誰が支援すべきか 自己申告制はどうにかならないものか。
親亡き後に備えていること 親はまだ大丈夫と言って囲い込む。
ギリギリになってからでなければ相談に来ない。
その他 ※介護保険の有限会社がはじめたばかりの事業なので、実例がほとんどなかった。

 

4. わだちコンピュータハウス(社会福祉法人AJU自立の家) 名古屋市

事業所の特徴 重度でも働くことができる職場を目指し寛仁親王の発案で昭和59年2500万円で開設。
コンピュータを活用し高度なアンケートの集計分析など、多様な事業を行っている。
防災マップの作成。
事業所又は地域での取組の成功事例 事務系のPC開発、データ入力、ホームページ企画・作成、当事者からの視点を盛り込んだ行政企画への参加(中部国際空港デザイン・万博リアフリー導入)。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 身辺自立が前提。
相談支援 困難事例については本部をとおして相談がある。自立生活体験事業(ショート利用)を活用してお試しを行うなど10000人のボランティアが24時間応援してくれる訓練プログラムをとおして「外に出る」ことからはじめている。
誰が支援すべきか 自分よりも困難な方が頑張っている姿を見ることで当事者同士が響き合っている現場をみていると、彼らの可能性を信じる気持ちになれる。
ただし、頑張りすぎはストレスがたまり、仕事や対人関係に悪影響がある。
親亡き後に備えていること 自分で生活を組み立てるプログラムをはじめから準備している。
三重県では体験事業+福祉機器の活用という独自のサービスがある。
その他  

 

5. おちゃや(有限会社チェリッシュ企画) 名古屋市

事業所の特徴 看護師を40歳で辞めてフリーになり訪問看護から事業を起こす。ヘルパー養成に力を入れ性格・知識・技能を磨く。その後移動手段のためのタクシー業、居宅、児童デイ、短期入所と増殖してきた。
事業所又は地域での取組の成功事例 緊急避難の必要性から居場所づくりでGHを3か所。
高齢者のデイと児童を、コーラスを通じてコラボさせている。
中津川に無農薬野菜の農場を作り、食事を提供している。
新聞紙を破いて紙粘土のようにしたものを型に入れ、乾燥させ、固形燃料を作っている。
その子にあったストレスのない仕事、を心がけている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 その方の特性に合わせた仕事を提供することでスキルアップは図れる。
3障がい一緒は無理。
相談支援 親身になって行っている。
誰が支援すべきか 行政が行うのでは風通しが悪い。施設支援ではいけない。
早く引き取って人間らしい暮らしをさせたい。
親亡き後に備えていること 場の用意は国の責任。
成年後見制度。
その他 営利法人は補助金の対象にされていない。問題だ。
※固形燃料は「紙与作」で検索してください。

 

6. コンビニハウス(NPO法人コンビニの会) 名古屋市

事業所の特徴 レスパイトという言葉がではじめた15年前に親たちを中心に立ち上げた。
事業所又は地域での取組の成功事例 もともとレスパイトなので、掃除や食事作りや送迎は有償のボラとして今も活躍している。
※雇用も生まれている。
入所の送迎や余暇活動には学生のボラも活躍している。
※知的は夜間の支援が認められていないので、有償ボラを法人の持ち出しで雇って支援しているが、かなり無理があり、対応に困っている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 かかりつけの医師がいない。どこにも行くところがない。
支援は3障がい別々のほうが良い。
相談支援 報酬が低いので片手間で行っている。
必要不可欠な余暇の外出(糖尿病の方のプールでの歩行浴)は制度では認められていないので法人の持ち出しで支援している。
誰が支援すべきか 職場でのフォローなど仕組み作りが必要。
親亡き後に備えていること CHを準備中。
本人のペースに合わせて移行の場でいろいろな体験をしてもらい、どのスタイルがいいのかを読み取ってから地域につなげたい。
その他 市と交渉している時間すらない状況で、忙しい。
時間がかかっても、小さな積み重ね(力をつける・表現力)を大切にしていけば、必ず地域移行できる。

 

7. 桜木授産所(社会福祉法人名古屋西福祉会) 名古屋市

事業所の特徴 知的授産所が前身。移行前は大規模だったのでB型になっても報酬単価に違いはなかった
明治製菓名古屋工場やその他の大きな企業が周辺にあり、マルカツ製菓の下請けとして順調に仕事が入ってきている。
事業所又は地域での取組の成功事例 下請けとしてお菓子の袋詰め作業を行い、工賃は平均19000円。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 名古屋市地域支援センターから紹介はあるが、満員なので!と断っている。
相談支援  
誰が支援すべきか 3障害によって違う。
親亡き後に備えていること CHをたくさんつくっていくしかない。
市営住宅では、周りの無理解があり無理。
その他 支出に不足が生じた場合は「民間社会福祉施設運営補助金」で名古屋市が補助してくれる。
※その他市の補助金についての説明あり。
対応してくれた方は事務職からの転身のため、法人運営に関してはかなりの知識があった。
県の制度としてCH700円、GH400円/日の補助がある。

 

8.名古屋市

事業所の特徴 マーケティングを重視して営業マンを3人配置している。
※現場スタッフも仕事を取ってくる。
工賃はB型15万円、A型20万円。利用者は新聞を読んでいてプロ意識が高い。
事業所又は地域での取組の成功事例 企業を巻き込んだ活動。※キリンビバレッジ、自販機。
移行で受け入れてからB型へ戻している。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 発達障害者支援法が理解されていないし、内容がわからない。
児相がしているのでまるでわからない。
引籠り対策はしているが、自らが相談に来ないとわからない。
手帳がないので手が出せない。
見えないところでの部分ほど危ない。近所からの通報で発見されている。
相談支援 自立支援協議会就労部会がある。家族関係が良くない方はGHや通勤寮へ橋渡をしている。
高収入に小学部中学部からの見学も多い。
個別支援計画の開示がないため学校との連携が難しい。
3障がい一緒は無理。
相談件数は4~11月で64件。
誰が支援すべきか 手帳をもたない人には何も支援がないというのは問題だ。医療も自らは動かない。
引っ張り出せない人はどうするのか? 現場には誰が行くのか?
地域の人が「何か変だ」と言いやすい環境が必要。
親亡き後に備えていること 制度は行政。実態はNPOのような民間が良い。
成年後見制度の活用。
その他 通いたくても通えない人のための福祉有償輸送、地域に移行してGHに住む人たちのためのヘルパーがますます必要。人と金と物の動きがシステム化されていない。
マスコミの犯罪。放送とは読んで字の如し。流しっぱなし。障がい者=危険人物。
「地域」というのなら、「モノ」の準備が必要。空き室の活用。
ヘルパー不足は単価だけの問題でない。辞めていく本当の理由は何か?ストレスのない環境

 

9. 虹の橋相談支援センター 名古屋市

事業所の特徴 (株)ケアドゥとして5年目。
地域に根差した活動を目標にしている。
事業所又は地域での取組の成功事例  
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態  
相談支援  
誰が支援すべきか 身近な人であればいい。
親亡き後に備えていること サービス利用の見込みのない方に対しては「営利法人なので」対応できない。
その他 中学生が使えるサービスがほしい。

 

10. 森孝しぜんかん(社会福祉法人清新会) 名古屋市

事業所の特徴 創設者(僧侶)の思いに閉じ込められていた「利用者」を地域に開放することで地域に認められた。制度外で母親支援を行っている。
事業所又は地域での取組の成功事例 GHを3か所運営しているがヘルパーは他の事業所から来てもらっている。15人の利用者のパーティに50人の外部関係者が集まった。その人を囲む社会資源の大きさに感動した。
地域を信頼すれば地域は応えてくれる。
自分のところで囲い込まないで地域につなげていっている。
地域と育ちあう。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 情報はほとんど入ってこず、個人の周りのウワサとして入ってくる。児相につなげている。
地域に応援しようとしてくれる人がいればつながっていける。門戸は開かれているべき。
おせっかいは大切。身近なところで、がいい。
相談支援 3障がいでは生活の組み立て方が違う。
精神の方はノウハウの蓄積により、地域移行は可能。
誰が支援すべきか 途切れのない支援が必要。
個別支援計画では母親の役割が支援者の一人として大切。
ファイルの管理は行政の役割。相談支援事業者の位置づけが大切。
親亡き後に備えていること 成年後見制度。
その他 丸投げは不安をあおるだけ。

 

11. しおかぜ作業所 名古屋市

事業所の特徴 授産施設から移行。生活介護30人もいる。配食サービスが主な事業。
利用者はほとんどが知的障害と、知的と身体の重複障害。重度の利用者が多い。
工賃月15,000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 名古屋市が高齢者の配食をやめた時に、市の委託を受けて3年間配食を行なう。
その後、介護保険制度の中で20人の高齢者に配食を行なっている。その他、近所の心療所のデイに30~50食提供しているため、地域の高齢者からの評判が高い。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 精神の利用者はいるが、知的の利用者と合わず、現在は利用を休止している。
アスペルガーの利用者は1人。最初はボランティアとして来たが、手帳を取得し利用者として通っているが、波が激しく、利用を休むことも多い。
相談支援 法人内で相談支援も受託しているが、経済的な理由もあり十分な機能を果たせていない。
直接施設に相談が来ることが多い。
誰が支援すべきか 現在利用しているアスペルガーの利用者は市営に住んでいるが、「周りの人に馬鹿にされている」と思っており、地域との接触がなかったり援助交際などを行なっていることがあり、事業所としては公的サービスを使っているほうが心配が少ない。
親亡き後に備えていること お金の管理は権利擁護センターで行なってもらっている。
また、アスペルガーについて本人に説明し、自分の状況を把握できるように努めている。
その他 サービス利用料以外にかかる自己負担(食費等)が増えたために利用しなくなる人が増えた。
応益負担はやめてほしい。
個人情報が厳しくなり、以前は地域で何のサービスも受けずに生活している障害者について行政から支援の要請があったりしたが、現在は全くないため地域に住んでいる障害者の把握ができず、何かがあった時の支援は難しくなった。
B型定員10人

 

12. めいほく共同作業所 名古屋市

事業所の特徴 保育園で受け入れた障害児の就労先として、1991年から無認可の作業所として活動。
9月より就労継続B(8人)と生活介護(20人)に移行し、パンやクッキーの製造販売、資源回収、配食などを行なっている。自閉的傾向の利用者は4割程度。
事業所又は地域での取組の成功事例 区内の配食サービスを行なっている。
週に1回程度はボランティアが来てくれる。定期的に来るのは5人程度。
現在中高生の日中預かりの事業がないが、保護者からのニーズはあるため、法人内の児童デイの事業所で枠外で受け入れを行なっている。名古屋市独自の事業で中高生を対象としたデイケア事業ができそうなので、今後はデイケアで受け入れをしたい。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 以前アスペルガーの利用者を受け入れたが、知的の利用者と合わず、別の就労継続Aの事業所に移ったり、利用を中止して在宅になってしまった。
発達障がいの方は年金を受給できていない方が多く、GHなどは自己負担が高く利用は難しい。
相談支援 緊急的対応で相談支援事業所から利用者を紹介されることはある。
誰が支援すべきか 知的障がいの利用者と合わずに利用を中止してしまうことが多く、発達障がい者を対象とした独自のサービスを新しく作ったほうがいいのではないか。
引き籠りを対象としたスクールや学習塾のような形でできないか。
親亡き後に備えていること  
その他 応益負担になってから利用料が払えず利用を中止する人が増えたので、応益負担はやめてほしい。
単価は月額にしてほしい(体調が悪くて休んでいる人を訪問するなどのトータルケアも行っているので、それに見合った報酬単価にしてほしい)
B型定員8人

 

13. C.O.College 名古屋市

事業所の特徴 養護学校を卒業し、就職できなかった人や一般就労で失敗を経験した人たちの職業訓練校のような物として社会で働くための基礎知識や技能などを学習し、既存の社会資源(スーパーレストラン、福祉施設等)を使って実習を行なっている。
事業所又は地域での取組の成功事例 利用者の特性や適性に合った分野で働けるよう支援しているが特に医療・福祉と農業の分野に力を入れてやっていきたい。現在はヘルパー2級の取得の支援をしているが、農家の減少でニーズが高くなっている。農業も就職先として開拓したい(浜松で別法人の成功例有)。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 ほとんど知的レベルはボーダーライン。中には高機能自閉症の方もいる。
親がいる方が多いので雇用の形態や自己負担などについては親の理解がないと難しい。
相談支援 支援センターとの連携はあり、相互に相談できている。
誰が支援すべきか 公的サービスを利用して、自分に何ができて何が苦手なのかを教えていく、学校のような場所がもっと必要なのではないか。
親亡き後に備えていること GH、CHはあるが、それ以外にも住まいの確保はもっと必要。
現在、財産管理は社協で行なってくれている。
その他 利用者負担に抵抗があって利用を控える人がいるが、小規模作業所時代に自分たちでお金を出し合ってきたことを考えれば、所得が保障されているなら負担は当たり前。
様々な作業に取り組んでもプロには敵わないので、異業種のプロ達と連携を取ってその中に受け入れてもらえるよう、福祉のプロとして支援をしていきたい。

 

14. 資源回収みなみ 名古屋市

事業所の特徴 もともと障害者団体が地域住民と共同で行なってきた場所なので、もとからパートスタッフとして雇用されていた人たちが現在の利用者となり、月給をもらって活動している。
基本給は勤務年数に応じて10~15万程度。その他各種手当、賞与あり。
事業所又は地域での取組の成功事例 地域住民と障害者団体が共同で空きびん回収を行なっていたのをきっかけに、資源再利用の場を障害者の働く場にしようという流れになり、作業所が開設された。その後、昭和区の空ビン、空き缶回収を委託されている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 交通の多いところでの作業があるため、多動な方の受け入れは困難。
自閉的傾向の方は2人。会話は難しいが、覚えた仕事はきっちりとこなし、仕事を中断するほどのこだわりもないので、特に問題なく働いている。
地域で一人暮らしをしているが、昼夜逆転していて無断欠勤する利用者もいる。
相談支援 一般就労で失敗した人の受け入れ先として、受け入れの相談をされることが多い。
ホームレス施設から障害を疑われる人たちが手帳を取得して利用者となったケースが2件。
その他、養護学校の実習受け入れも行なっているが、新卒の採用は今のところなし。
誰が支援すべきか 利用者の半数は現在地域で生活している。一番心配なのは金銭の管理だが、通勤寮の退所者が多いので、通勤寮で引き続き金銭の管理は行なっている。また、食事の管理が必要な利用者や、衛生管理、生活リズムの乱れが心配な利用者も定期的にヘルパー利用している。
親亡き後に備えていること 残りの6人がGH等で生活しているが、そのうち2人は現在も兄弟も一緒に援助していたり結婚して子供がいる方もいるので、それほど心配はない。食事や生活リズムを整えることを考えると、食事付きの社宅のようなものも考えている。
その他 応益負担はやめるべき。特に益を受けているわけではなく、その人にとってなくてはならないサービスを受けているだけ。
利用者負担を取るなら、きちんと所得保障をしてから取るべき。

 

15. ひまわりの風 名古屋市

事業所の特徴 まだ旧法。就労継続Bと就労移行支援にH21年4月から移行予定。
短期入所の増設と共に新体系移行を考えている。
事業所又は地域での取組の成功事例 開設当時は周りは空き地だったが、徐々に住宅が増え、住宅街となった。 最初は地域からの反対もあったが、自治会に加盟したり学区の行事に参加することで徐々に認知されるようになり、地域からの苦情も減り、施設のお祭りに地域からの参加者も増えている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 利用者の半数は知的と自閉的傾向の重複。精神は1人のみで、知的と重複。
精神の利用者は集団にはなかなかなじめず状況に応じて対応しているものの、別の施設へ移られる利用者いる。
相談支援 法人内で指定の事業所があるが、国のサービス費の対象になるケースはなし。
入所と短期があるのでその点で頼られるケースは多く、特に短期については別の相談支援事業所からも受け入れの相談がある。
入所待ちも10年単位なので、その間に保護者が高齢化して動けなくなり、行政からまわってくるケースも多い。
誰が支援すべきか 養護学校の高等部に行けない方もいるので、中軽度の方を対象に、児童から利用できる生活訓練の資源があればいいのではないか。
限界になってから回ってくるケースも多いので、その前に資源を使うよう援助が必要。
親亡き後に備えていること 家族と施設で後見人の勉強を始めている。
その他 障害程度区分によって、サービスの利用範囲が制限されるのは良くないのではないか。
施設から新体系に移行すると報酬単価が減ってしまうため、今のサービスのレベルを維持できない。
保護者はずっと同じサービスを受け続けられると思っているので、自立支援法に変わったということを保護者に説明する機会を設けたほうがいい。

 

16. 自立支援センターゆめの木タウンT-WORK 名古屋市

事業所の特徴 南区の手をつなぐ育成会が立ち上げた小規模作業所が前身。H18年法人格を取得、H19年から就労継続Bと生活介護の多機能型へ移行。作業内容は、トヨタの部品の下請け。
利用者のほとんどは知的障害で、自閉症の重複も数名。
事業所又は地域での取組の成功事例 自動車部品の組立の下請けを他の作業所より早く始めた。また、「障害があるからできなくてもしょうがない」という福祉のにおいを感じさせることなく、一般の会社と同じような感覚で取り組んできたので、一定の信頼は得ている様子。他の事業所は下請けの仕事がどんどんなくなっているが、ゆめの木タウンはそれほど影響は出ていない。
今はモノがあふれている時代なので、手作り品のバザーなどには取り組んでいない。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 現在27人の利用者がいるが、7年間活動してきた中で利用をやめた利用者はゼロ。
余暇活動の充実や、体力作りのためスポーツや音楽活動に力を入れ、地元で行われているスポーツ大会などにも積極的に参加している。
相談支援 外部から利用についての相談はあるが、本人の状態や保護者の考え方が、ゆめの木タウンの
活動とは合わず、利用に至ったケースはない。
月に1度、会員の保護者の定例会を開き、会員同士での相談は行なっている。
誰が支援すべきか 支援というよりは共に地域で暮らしているだけ。行政と地域の双方からの支援が必要。
大人になると健常者との差がどうしても開いてしまうので、その面でのサポートは必要。
保護者が行政に保護されすぎて力がないので、親への教育や相談を充実させてほしい。
親亡き後に備えていること CH、GHの開設を考えている。
その他 スタッフの給与が保障されなければ、いい人材は来てくれない。報酬単価が低い。
上限額1,500円と食費のみの支払いで活動できるようになったことは嬉しい。
利用者負担があることで文句を言っているのは、親たちが行政に甘えすぎているせい。
利用者の健康の維持や余暇活動も生活の中では大切なことなので、余暇活動の支援に対する給付も是非してほしい。B型登録 27人

 

17. ワークセンターフレンズ星崎 名古屋市

事業所の特徴 もともとは小規模作業所として活動していたが、独自での法人格取得が難しく連携のあったゆたか福祉会に途中から加入した。利用者は旧法施設に入れなかった人と、離職した方の2つのグループに分かれ、現在は就労継続Bと生活介護の多機能で事業を行なう。
事業所又は地域での取組の成功事例 支援センターからの紹介で、利用者の受け入れを行なう。
また、枠外の方を実習として受け入れている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態  LDに特化した事業所(別法人)が区内にあるので利用者はほぼ知的、自閉との重複数人。
住まいについては、家族との同居が大半を占め、CH2人、アパート暮らし1人、チャレンジホーム(名古屋市独自の3ヶ月間のCH体験事業)1人。
名古屋市は移動支援を使っての通所が認められており就労支援の利用者にも奨励金1500円の給付があるので、利用者負担が原因で利用を控える人はいない。
相談支援 地域生活支援センターが主な相談窓口(法人としては緑区で受託)。
事業所が緑区との境にあるので、南区・緑区からの支援センターからは相談が多い。
名古屋市は3年以上の実績がある事業所については、利用者30人に対して1人事業所内に地域生活推進員を配置し相談員として活動できる。相談件数は毎年増えているので、それぞれの事業所が積極的に周辺地域のフォローをしていかないと対応しきれない。
誰が支援すべきか 学校や教員に対する啓発活動は必要。受け入れる側に理解がないと「ちょっと変な子」で終わってしまって、適切な支援はできない。また、本人が自分の障害を理解して、援助が必要な部分を自覚することも大事。ピアカウンセリングなどできればいいのではないか。
親亡き後に備えていること チャレンジホームなどを利用して、親と離れる体験をしてみる。
CHは最近、賃貸アパートなどを利用するケースもあるが、現在の利用者の状況を考えると新規に建設を考えている。
その他 作業所時代は年間1,100万円の補助金で2:10で支援してきたが、新体系に移行して報酬が日割でもスタッフ数は増やせた。サービスの場自体は旧法と変わらないようなサービス提供ができているが表から見えない事務職員などをカットして自分たちで事務をこなしているからできている。また一般就労は生活の場がしっかりしてこそ継続すると思うので、就労だけでなく暮らしの場のフォローアップに力を入れてほしい。

 

18. NPO法人フリーステーションとよた 豊田市

事業所の特徴 母体は自立生活センターユートピア若宮の会で、身体障害中心の当事者団体。
今年度相談支援事業を受託した。
事業所又は地域での取組の成功事例 有償移送は月250~300件の実績(車いす利用者に限る)。
豊田駅前の松坂屋9階に、福祉の店という店舗があり、障害者団体が作った授産の製品の販売を行なっている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 利用者が身体中心なので、知的・精神の利用者の実態についてはあまり分からない。
福祉の店の店番として、精神の方を見かける程度。
豊田市は行政主導で、福祉の法人は少ない。
相談支援 自立支援協議会のメンバーとして、支給決定の会議などに参加している。
相談員が以前知的の支援をしていたこともあり、身体・知的の方からの相談が多い。
誰が支援すべきか どんな支援を受けたいかは本人が選ぶべきだが、受け皿はきちんと整備しておくべき。
来年度、児童クラブの保育士に発達障害についてのアドバイスができるようにするという話がでている。
親亡き後に備えていること CHや在宅へのヘルパーの派遣。本人の意思を汲みとってくれる支援者を確保する。
親がいるからこそ自宅に閉じこもってしまい、こちらがわから手が出せないケースも多い。
一軒家を建ててレスパイトをしている事業所は市内にある(移動支援で利用)。
その他 支援費のほうがサービスを使いやすかった。その人がどんな生活をしたいのかを考えて、サービスを選択できるようにするべき。
単価が低すぎてヘルプの事業所は閉鎖するところもあり、ヘルパーが不足。サービスの支給量自体は増えているものの、担い手がいなくて利用できないケースが多い。

 

19. 杜の家 名古屋市

事業所の特徴 身体対象の事業所で、半数の利用者は重心。
事業所又は地域での取組の成功事例 重心の入所施設が市内に3ヶ所しかないこともあり養護学校卒後の進路として相談は多い。
短期入所(8床)については、2ヶ月後の予約のために30分で50件の電話がくることもある。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 重心は現在入所待ちが100人以上おり、在宅や通所でなんとか乗り切っている状態。
施設がパラダイス化しており、地域移行の話をすると「追い出すのか」と言われ、話が進まない。
相談支援 支援センターから利用者の受け入れの相談が主。
誰が支援すべきか  
親亡き後に備えていること すでに誰も介護者がいない状態の方が入所しているので今の生活を無事に継続できること。
その他 年齢的に介護保険が使えるようなった人もいるが、入所中のため介護認定が受けられず、介護保険に移行できないし、たとえ高齢者施設に行っても周りの人と年齢が違いすぎる。 必要な人がサービスを使えるようにするために、現在の入所と高齢者施設の間に過ごす新しいサービスができないか。
menu