【調査報告】聞取調査報告・岩手県

1. 社会就労センター・ひめかみの風(社会福祉法人自立更生会) 盛岡市

事業所の特徴 身体障害者通所授産施設盛岡アビリティセンターが母体。現在は3障害を受け入れている。
紙すきと花作りを行っている。
工賃は時間と能力に応じて5~6000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 近くにあるイオンショッピングセンター内で月に1回販売会をしている。チラシにポケットティッシュ(10円)をつけて配ることで地域住民にアピールしている。
花(ビオラとパンジー)をパチンコ屋の景品として1日96鉢納品している。玉80個、メタル16と交換。
キムチ作りを始めたばかり
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 いないのでわかりません。
相談支援 問い合わせや見学の申請があれば対応している程度。積極的には行っていない。
※ここで作業をしたいという方もいるが、親が、「前から通っている施設に悪いから」という理由で利用を控えている。
誰が支援すべきか 直面していないのでまだよく考えたことはないが、スタッフに専門の研修を受けてもらうなどして、対応していくしかない。
はじめはボランティアで受け入れてみて、徐々に様子を見ながら対応することは可能だ。
親亡き後に備えていること GHがないので作ってほしい。
利用者と家族にこの件でアンケートを取ったことがあるが、親が元気なうちは自立させることは考えていないようだ。
その他 紙すきは、大阪の紙すき交流センター麦の会からの指導を受けた。
B型定員20人、利用者21人。

 

2. まめ工房緑の郷(社会福祉法人岩手更生会) 盛岡市

事業所の特徴 戦後混乱期の浮浪者を救済するための社会更生施設が前身。偏見と闘いながら今も「面倒を見て社会に出す」という精神は続いている。
事業所又は地域での取組の成功事例 体力作りを考えた時に一番お金のかからないラグビーを取り入れた結果、現在ではニュージーランンドにまで遠征に行くようになった。1回目は完敗したがこのまま負けていいわけはないと方針を立てて練習し、3年かかって再チャレンジして勝利してきた。逃げるタイプの子が多いが、前に進みたいという意欲はあるのだから、それを引き出してきた。
現在は性教育に力を入れている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 引籠りの子をはじめてした。ただひたすら彼が自ら動きだすのを待った。ただほったらかして待つのではなく、いつ動き出してきてもいいように全てを準備して待って、少しずつ出てくる回数を増やしていった。彼が先生。彼から学んだ。
こういう方たちが増えてきている。
相談支援 彼らの能力の問題ではなく、支援するこちらの問題。
ほめたりはげましたりするといった小手先の支援ではなく、こちらがやって見せたり一緒にやることで自ら気づくように支援している。
職員を「親」にして3~4人の「子ども」をもたせ、毎月レポートの提出を求めてきた。
※個別支援計画の元。
誰が支援すべきか 発達支援を云々する以前に、知的障害者の統計の取り方が間違っている。
社会の民主化を進めていかなければならない。
親亡き後に備えていること  
その他 地域移行の本質は「金がかからない方法」という姑息な手段。
日本にはもともとあった社会的な保障がなくなってしまった。経済優先社会の弊害だ。
基盤ができてもいないのに自立支援法(財政)とは何だ。
心理学はおおいに必要だが、彼の中に入り込む前に用意してしまうのは良くない。
移行定員20人。B型定員10人。

 

3. ソーシャルサポートセンターもりおか(NPO法人ソーシャルサポートセンター) 盛岡市

事業所の特徴 病院が立ち上げたNPO。職員も病院からの出向。
不安定で地域生活している方や、病院での受診をされていない方の利用が多い。
事業所又は地域での取組の成功事例 病院とのつながりがあったので外来患者のアンケート800件に相談支援のPRチラシをつけたり、数千のチラシを県内全域の病院に配布した結果、相談件数が大幅に増えた。
安定している方が少ないので就労に結び付いた例はまだないが、可能性はある。
あらゆる精神障害と出所者の支援を行っている。
※出所者の領域は大きな問題。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 話をしている時に、変なところで薄ら笑いをするなど対人関係のスキルができていない。
自分の能力を高く評価しすぎているためにマッチングが難しい。
発達障害に限ると、まだノウハウをもっていない。不安症? など別な名前がついている。
相談支援 前年は月最大50件だったが、今年は月平均150件を超えている。
手帳のあるなしにかかわらず相談を受けているが、手続きの方法や必要書類の書き方を知らないので付き添って行っている。大変な仕事なのに報酬に反映されていない。
家族の理解度は1/4。
就労支援では助走の長い方もいるので最後まで支援しきれていない。受け皿がない。
誰が支援すべきか 行政は企画業務で手がいっぱいなので、対応できないものばかりをまわしてくる。
予算と抱えている仕事のバランスがとれていない。
親亡き後に備えていること すでに排除されていたり親がいない方もいる。生活保護を受けていればお金の面では一定のレベルを保てるが判断能力が落ちてくると相談支援では手が出せない領域に入ってしまう。
本人の自立意識をいかな持続させることができるかが問題。
その他 心理教育として要点のわかる台本作りをして5回シリーズを行った。(1)病気の理解、(2)薬の理解、(3)ニーズ表作り、(4)その解決方法、(5)サポートセンターの役割。家族と一緒に行った場合には効果が大きかった。
平成19年度厚生労働省障害保健福祉推進事業「地域精神科救急システムを活用した地域精神科医療施設の共同運用による地域生活支援事業モデル事業」を実施。別添報告書あり。

 

4. 岩手県立療育センター(岩手県社会福祉事業団) 盛岡市

事業所の特徴 県立肢体不自由児施設が前身。児童精神科を併設。所長が小児科医なので発達障害についてはガイドマップを作成している。
※北九州がモデル。
事業所又は地域での取組の成功事例 医療的支援と福祉的支援が同時にできている。
ただし、この支援を岩手県という広大な地域の中でどのようにして同じサービスが受けられるようにしていくかが問題。
※早期発見早期対応、OT/PT/ST療法、機能訓練、発達
検査など。
若者サポートセンター(宮古・盛岡)ポランの広場(不登校支援、花巻)などの社会資源
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 環境要因を変えると本人の能力が付いてくる。その持っている能力や認知力の行動観察を行ない、アセスメントに結び付ける。システムノートを作成しが変わっても大丈夫な体制を作る。キーパーソンを探す。本人の自覚が生まれると環境が一変するはずだ。
※早期発見とは年齢ではなく課題が見つかった時。
相談支援 中高生や診断のない成人が増えてきている。どうすれば本人がわかりやすいかを周りに知っっていただく。
県内35市町村の各圏域にネットワークを構築していて、医療専門のスタッフに支援をお願いしてたいが、高齢者支援で手がいっぱいで現状では難しい。行政が意識をもって支援すべきだし、県は市町村を指導しなければならない。
誰が支援すべきか 現状では大変な中で、自らもスキルをもっていかなければならない。
親亡き後に備えていること 親の会の考えがいろいろあってバラバラ。※JDDネット岩手支部では「本人を認知」してもらうPR活動を行っている。本人のスキルは最も大切だが、親の会の組織が安定拡充すればいいと思う。町内会として地域として支援しようとしている方もいる。
その他  
menu