【調査報告】聞取調査報告・高知県

1. 高知県立療育福祉センター発達支援部(県立) 高知市

事業所の特徴 県立。肢体不自由児施設が母体。
事業所又は地域での取組の成功事例 組織内で教職員を1人雇用し、Dr.の診断後、心理判定を行うとともに、学校との連携を深くしている。
ピアトークの場を設け、保護者の安心を保障している。
普及啓発にも力を入れ、地域で生活していくための下地づくりをしている。
※実践事例は資料参照。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 精神外来にかかるケースや本人が認めないケースでは対応が難しいので期限を決めて話し合いをするようにしている。
本人が悩んでいれば(具体的であれば)可。
相談支援 あなたが怠けているのではないと説明し、前向きになってくれればそのあとの支援はスムースに行く。
誰が支援すべきか こちらの理屈に合わせようとせず、彼らを認めること。
診断や支援の場で誰が関わってあげられるのか? 情報が共有されているか。
職業センターで何が向いているかわかってから支援しても遅くはない。
親亡き後に備えていること GHなどの資源+本人のスキル(金銭管理、スケジュール、料理、洗濯、掃除など)。
成人期に療育支援もあっていい。
その他 養護学校の専門学校化。

 

2. 作業所もえぎ(NPO法人高知県自閉症協会) 高知市

事業所の特徴 母体はホームページ参照。トマトハウス作業(施設外就労1ユニット4人×2交代)、療育センターの洗濯作業。働いて得たお金はローソンで買い物をするなどで使っている。
工賃月2700円~38000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 春野町JAの土地を借りて事務所を置いているので、その関係からトマト農家への農繁期の応援がある。草取りなどで、労働の習慣のない方たちばかりだが、今はじまったばかり。
ハネ品のトマトをスーパーなどに卸している。(ブランドトマト)
小さいころからの情報提供が必要だが、郡部にも同じ支援サービスが行きわたっているかというと疑問。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 IQが高くて学校でも対応できている方や高機能自閉症の方は精神で診てもらっている。
3歳児検診では見つかりにくいが、1.5歳、3歳、5歳で見つけるように。
アスペエルデの会の判定基準作り。
児童デイで取り入れてアプローチしている。
相談支援 サービス管理責任者の存在が重要で、個別支援計画の中に療育を取り入れ、生活支援プログラムを念入りに立てている。
誰が支援すべきか 誰でも支援できるようにお金を下さい!!
高知県も高知市も努力して申請したのに個人営業主(トマト農家)では契約の対象にならないと国に断られた。個人経営という最小単位の経営が障害者ひとりひとりに対応できて有効。
親亡き後に備えていること  
その他 職業センターでの職業判定で「職業的障害者」の証明書をもらって認定調査を受けている。
又は、精神科のDr.の意見書でもOK。
B型定員23人、登録11人。

 

3. 就労支援センターコーケン(株式会社コーセー) 南国市

事業所の特徴 県リハビリテーションセンターの指導員をしていた社長が25年前に「作業所貢献」設立。
就労2年でトコロテン式に押し出されてくる障害者の雇用制度では受け皿がないとA型を目標に移行。県指定の水道メーター製造販売。賃金85943円。
事業所又は地域での取組の成功事例 常勤職員17人が障害者(身体6、知的10、精神1)。訓練等給付は27人(身体6、知的18、精神2)。企業全体の従業員のうち健常者は1.8%。求人表には「障害者に限る」とあり、徹底して障害者雇用にこだわっている。
品質に妥協は許されない。ISO9002を取得。信頼を得ている。
品質基準±2%を維持するためには完成度は限りなく0%でなければならない。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 地域生活支援センターから紹介のあった発達障害者が2人いるが、社会通念上の感覚が通用せずコミュニケーションが取れない。また年相応に作業に遅れが出てくるが、部分的には問題ないので能力にあった作業をしてもらっている。そうすることで門戸は広がっている。
能力以上のことを求めると過酷になり門戸を閉ざすことになる。
相談支援 就労に関する相談が多い。
生活背景も就労に直結しているので両面支援しなければならない。
誰が支援すべきか 指導員の能力如何。工程や能力差はグループ・ペアによって「可能になる助け合い」を構築して、いいもの(きれいな解体、きれいな分別)を作ることで「いい値段で売れる」。
親亡き後に備えていること もしかしたら、地域の中の考えが30%違ってきたら社会は変わる。
その他 移行定員6人、登録3人。A型定員10人、登録11人。B型定員24人、登録22人。

 

4. 指定相談支援事業所てく・とこ・瀬戸(社会福祉法人てくとこ会) 高知市

事業所の特徴 精神の援護寮が前身。高齢者介護部門を併設。スタッフ50人。
※沖縄のミラソルと連携。
事業所又は地域での取組の成功事例 (株)ムラタから委託され、高知市内に設置されている約130台の自動販売機の清掃。
その他企業委託で缶・瓶・ペットボトル選別、ペットボトル破砕のほか座学。
A型焼き鳥販売(300本)、昼食サービス。B型焼き鳥のくし刺し、お茶の箱折り。
4人が就職(老人ホームヘルパー、ホテルホール・清掃、モップ清掃2人)。
※企業授産ではコロニー的になってしまうので行わない。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 病院から持ち込まれるケースもあるが、直接の相談も多い。口コミで広がっている。
市内の他事業所との連携がとれている。
居場所も必要だが、それだけでいいわけはない。
相談支援 法人内に3人おり、機能している。
3障害は一緒にしているが専門性が強すぎる。
他事業所と持ち回りで勉強会を開いている。
自立支援協議会は準備中。
誰が支援すべきか  誰が? となると(支援の幅が)狭くなってしまうから、みんなで。
手帳の制度がはっきりしていない。実態が把握しきれていない。
親亡き後に備えていること 先は考えても仕方がない。あとは我々が何とかする。
住む場所の確保ができて何らかのサービスを使えば支援は可能。
今できることをやってあげてください、とアナウンスしている。
その他 GH5か所27人。
移行定員10人、登録9人。A型定員10人、登録3人。B型定員30人、登録31人。

 

5. 東部障害者福祉センター「さん」(社会福祉法人昭和会) 高知市

事業所の特徴 知的通所授産が前身。市委託6か所(知1、身2、精3)。連絡会を月に1回開催している。
事業所又は地域での取組の成功事例 楽しみ会など気軽に参加できるところがあれば、軽度の当事者の生の声を発していける。
青年学級+αのつながり(身体地活Ⅱ型のサロンのような)居場所ががない。
手帳は持っているが本当に軽度の方は「女も作って、免許も取って、24万もらってブイブイやるんやで。あんな奴らとは違うさ」と思っているが、その方たちの居場所がない。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 仕事に行ってお金を稼いで「一人でテレビを見てる」のか「稼いだお金で楽しみを作る」のか。高齢者のケアマネから「お母さんが入院したが、どこにも関わっていないので娘の行き場がない」と相談された。40代、50代で手帳をもっていない方がいると18歳以下の診断の記録を調べなければならない。
常につないでおく。
相談支援 手帳がとれないときは発達障害支援センターにつなぐか精神で判断をする。
助けてほしいけど僕は心じゃない、うちの子は知的障害者じゃない。
基本面接にしているが、訪問して家庭の様子を見てくることも必要。
面談・電話相談共に年間1000件程度。
誰が支援すべきか 発達障害者支援法はあるが、「自立支援法になるのか」、「普通に暮らしていける支援」をするのか。
※その方が幸せになるためにはどちらがいいか考える。
いくら制度があっても顔の見える関係性が持てないと難しい。情報だけではダメ。
親亡き後に備えていること ケアマネを増やすのか、サービスを切り分けて連携を取るのか。
セルフマネジメントできる資源をどれくらい並べてあげられるのか。
その他 療育は就学前は手厚く、学齢期は学校で。
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