【調査報告】聞取調査報告・熊本県

1. 社会就労センターライン工房(社会福祉法人ライン工房) 熊本市

事業所の特徴 S63通所小規模作業所が前身。クッキーとパンの製造販売。年商2000万円。福祉作業所喫茶店「風の街」を運営し、販売。対面で触れ合うことで社会参加を促している。
工賃日給400円。月平均8000円+ボーナス10000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 養護学校卒業後は入所へ、というパターンが通例だったのでこれを壊したかった。
B型は日中活動の保障として行っているのが実情だが、春までには1人就職させたい。
重度の方が多いので生活介護の方がいい。
多様な角度からその方の「望んでいること」の可能性を引き出している。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 福祉の網にかかる方は氷山の一角。
何らかの障害の疑いのある方もいるが、本人が認めなかったり診断を受けても服薬の必要性を認めららない方など、あいまいなままにこもっている方がたくさんいる。
相談支援 障害によってアプローチの仕方が違うし、スタッフの専門性も違ってくるので支援が散漫になりかねない。
情報をもっていない方が多い。
誰が支援すべきか 家族は病気にしたがっているが本人が認めないなど、誰がどういうアプローチをすればいいのかわからない。民生委員やヘルパーなどとの勉強会も有効だと思うが。ローラーで網をかけたところで、その先はどうすればいいのか?
親亡き後に備えていること 現在59人の利用者のうち、一人暮らし19人(地域13人、福祉ホーム6人)だが、自分で通うことのできる(入所施設ではない)共同住居があって、+生活サポートのような形で行えるのがいいのではないか。
その他 「まず行ける場所を作ろう」から自立支援法によって「その人らしさの支援」に変わってきたのは良かった。うまくすくえば色々な可能性がある。
成人期の療育については踏み出せないが悩みが内向しないように「しっかり話を聞く」などで対応している。スタッフ間の人間関係や相談についても担当者を1人おいている。

 

2. トライハウス(NPO法人こころみ) 熊本市

事業所の特徴 知的小規模作業所が前身。畳製造と下請け(タオル袋詰め、割り箸袋入れなど)。区分2が
2人の他は3・4・5の重度の方。知人に不動産関係者がおり、その縁で畳の張替等の仕事がある。工賃月7500~9000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 仕事をとおして挨拶、社交性、身だしなみなどの生活習慣を身につけ、言われたことは確実に処理できるように支援している。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 養護学校卒業後施設に入り、そこでダメになった方が行き場がなくこもっている。
精神の方は工賃を聞いただけで来なくなる。
市役所や三気の里(熊本県6)と連携して自閉症の方を1人支援している。
相談支援 養護学校や保健福祉センターからの問い合わせがあって受けている。
相談支援事業所などからきっちりと筋道をつけて(丸投げではなく)フォローがあれば受け入れやすい。
誰が支援すべきか 日中の働く場の支援など行政が調整してくれれば引き受けられる。
親亡き後に備えていること GH1か所(4人)を持っている。ニーズは多いので増やしていきたいが、そもそも地域に理解もなく、物件もない。
4人ひと単位と考えると4DKや4LDK以上の物件がない。
その他 「肥後の引き倒し」という県民性があり、連携をとることに抵抗がある。
B型定員20人、利用者18人。

 

3. 野々島学園(社会福祉法人愛火の会) 熊本市

事業所の特徴 旧法のまま運営中。23年の移行を予定。6割が重度。就労させたいがまずは喜んで来ることが大切。来るか来ないかが勝負。働くとしても3~5時間が限度。能力に応じてお金が払えるように。パン、陶芸、園芸、ステンドグラスなど。工賃月5000~7000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 子どもを守らなければいけない。個性に応じた作業をとおして収入の道を探している。
障害を認めたところに救いの道はある。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 国の定義はADHDなどを知的に分類しているが、本来は脳の発達障害。DMS-Ⅳ-TR判定基準(医学書院)やICD国連診断基準に合わせるべき。
発達障害などという医学用語はない。
その人が暮らしにくい2つ以上の領域で判定する。
そもそも知的障害者の統計の取り方も間違っている。
相談支援 相談支援を受け持っているのは大きな施設で知った人たちがやっているためその施設のために働くので近隣の小さな施設は飲み込まれてしまう。公平性が保てないし、相談支援者はきちんと学ばなければならない。
コンビニみたいに身近にあることも大切。
収入に見合わない仕事。
誰が支援すべきか 支援を受けるのであればルールを守らなければならない。
親亡き後に備えていること 一定期間働ける場所が近くにあって、街なかがいい人は街なかで暮らせばいいし、GHのようなところがいい人はそうすればいい。A型の利用も可。
ただし自分は、もうひとつの手段としての終の棲家として施設を作ってきた。
その他 大きくなったら家から出る、という潜在教育はダメ。

 

4. サポートセンターめいとく(社会福祉法人明徳会) 熊本市

事業所の特徴 知的入所更生が前身。入所50人は23年までに移行予定。市外からの利用もあり、支給量がまちまち。環境会社とタイアップして居酒屋から出た割り箸を竹炭にして生ゴミ処理機に混ぜ込むシステムを開発。
事業所又は地域での取組の成功事例 施設らしくない施設をつくりたいという思いで、暗い・汚い・遠いというイメージを払拭し自分の家に近い感じを作っている。地域交流を意識して、毎月1回ダンスレクリェーションを開き近隣の大学に案内を出してディスコダンスを開催している。また、自治会に加入し、廃品回収を呼びかけ年70~80万円の収益がある。大学生は授業の一環として作業療法士受け入れている。サポーターが130人いて、農作業で作った米3Kgを毎年送っている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 手帳をもつことは何も恥ずかしいことではないと説明している。
難病での手帳保持は30%程度。
相談支援 独自の相談支援員1人を置いていて、電話相談からはじまる外部からの相談も受けている。
月のうち半分は外に出ているので、認可を受けてキチンとした対応をとれるようにしたい。
誰が支援すべきか 幼児期からの国、親の対応とバックアップ体制と継続支援(統合保育と啓発)が必要。
やっと見えてきた。3障害一緒であるなら、ニーズがあるならどこでも支援ができるようにするべき。支援の質も問題。
親亡き後に備えていること ここは終の棲家ではないことを説明している。
医療とのタイアップも課題。
その他 受容型の支援を受けてきた人は自立できない。(支援の差がある)
教育現場と福祉現場の人員の差に大きな開きがある。
個別支援計画は有効。継続することが必要。
移行定員12人

 

5. 熊本県発達障害者支援センターわっふる(社会福祉法人三気の会) 菊池郡大津町

事業所の特徴 県委託事業。所属機関や家族に対し、相談支援、発達支援、就労支援、普及啓発・研修を行っている。1日平均7件。全国11か所設置のうちの1番目に設置された。
事業所又は地域での取組の成功事例 開所6年目になるので発達障害の理解は学校現場(管理職)や保護者に行きわたってきており、特別支援教育に関わることに力点を置いている。校内委員会や支援会議構築のための支援を行っているが、ベテランの先生ほど通常学級の視点から離れることができず苦労を共感しないままに指導しているため、教員間の格差はあるし、コーディネーターが機能していればいいが、派閥があることもある
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 発達障害を見られる病院がないため精神科での受診になるが、根本で間違った診断を受けている例がある。児童期は熊本発達クリニック、成人期はましき病院。
先生が変わるたびに対応が変わることのないように「サポートブック(カルテ)」を用意する。県独自の「虹色手帳」もある。
本人が来るときは前向き、家族からの場合は本人が拒否、という傾向がある。
相談支援 強引に連れてくることはできない。何が困っているかを明確にする作業を本人と家族と一緒に分類し、解決手段と方法を探る。診断がつけば納得するが基本は自分で気づくまで待つ。
マイルドな障害は気付きが遅い。24~25歳までは気付きにくいが25歳を過ぎるとこのままではいけないと感じ始める(それまでは守られていることが多い)。場所しか提供されない社会資源の中身が問題。
誰が支援すべきか 手帳がなくても使える制度。「アスペだけ」や「IQが高い」場合は+精神がないといけないが他県では「アスペだけ」でももらえている例がある。
親亡き後に備えていること  
その他 企業の理解度が低い。
職場の声を聞くことが必要。
コンビニなどの地域資源との連携も必要。

 

6. 三気の里(社会福祉法人三気の会) 菊池郡大津町

事業所の特徴  
事業所又は地域での取組の成功事例 開所6年目になるので発達障害の理解は学校現場(管理職)や保護者に行きわたってきており、特別支援教育に関わることに力点を置いている。校内委員会や支援会議構築のための支援を行っているが、ベテランの先生ほど通常学級の視点から離れることができず苦労を共感しないままに指導しているため、教員間の格差はあるし、コーディネーターが機能していればいいが、派閥があることもある。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 発達障害を見られる病院がないため精神科での受診になるが、根本で間違った診断を受けている例がある。児童期は熊本発達クリニック、成人期はましき病院。
先生が変わるたびに対応が変わることのないように「サポートブック(カルテ)」を用意する。県独自の「虹色手帳」もある。
相談支援 強引に連れてくることはできない。何が困っているかを明確にする作業を本人と家族と一緒に分類し、解決手段と方法を探る。診断がつけば納得するが基本は自分で気づくまで待つ
マイルドな障害は気付きが遅い。24~25歳までは気付きにくいが25歳を過ぎるとこのままではいけないと感じ始める(それまでは守られていることが多い)。場所しか提供されない社会資源の中身が問題。
誰が支援すべきか 手帳がなくても使える制度。「アスペだけ」や「IQが高い」場合は+精神がないといけないが他県では「アスペだけ」でももらえている例がある。
親亡き後に備えていること  
その他 企業の理解度が低い。
職場の声を聞くことが必要。
コンビニなどの地域資源との連携も必要。

 

7. 障害者サポートセンターすずらん(NPO法人熊本すずらん会) 熊本市

事業所の特徴 「脳卒中友の会」が前身。23年目。生活体験学習会など当事者中心の活動を行っている。
任意の相談支援部門を設け、訪問介護、移送サービスなども行っている。
事務局長が包括支援センターや生活リハビリ―館など他団体の役員を兼務している。
事業所又は地域での取組の成功事例 ゴマクッキー、パウンドケーキ、チーズケーキ製造。病院や県庁お祭りで販売している。
パソコン班ではHP作成や名刺印刷を。工賃時給500円。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 精神障がいの方が増えてくる傾向にある。
波があるので、失敗しても戻っておいで、というメッセージを送っているので、レクリェーションなどは、あえて日曜日に行っている。
相談支援 職場からの情報提供をお願いしている。
誰が支援すべきか 行政が中心となりワーカーや民生員などの地域資源を活用し、自分の管轄範囲にはどういう障がい者がいるのかを把握して連携して拾い上げていく。
キーパーソンが必要だが個人情報のカベもある。
親亡き後に備えていること 本人が望む所。
その他 B型定員20人、利用者28人。
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