【調査報告】聞取調査報告・三重県

1. 三重県自閉症・発達障害支援センター 津市

事業所の特徴 三重県立小児(こども)診療センター 内にあり、医者と連携した支援を行っている。
事業所又は地域での取組の成功事例 2004年から2年間亀山市をモデルに早期発見、子育て支援センター、就学指導委員会、幼児期・学齢期の個別指導計画、保育所や学校の巡回相談、関係機関との横の連携、途切れない支援の縦の連携、人材育成、保護者研修会、などを実施し、臨床心理士、保健師、保育士、教師の専門家チームを配し、2006年、三重県に対し報告を行い、評価を得た。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 不明だが、アスペを疑われて本人が相談に来るケースもある。
学齢期の子どもに対して介入を持つときは、教育委員会に要請して、教育や福祉の関係者を
召集してもらい、単独での介入は行わないようにしている。
普通高校を出てつまづいた方にはプライドがあり、チャレンジしては失敗を繰り返す傾向にある。
相談支援 手帳の問題がはじめにあるが、判定機関の責任が大きく入口が難しい。
福祉サービスを必要とするのか就労なのか、またその移行期間の支援などの問題がある。
相談者に対して「○○へ行ってみては?」は不安をあおるだけ。丸投げはいけない。必ず、複数の関係者が夫々の立場で夫々に支援できることを確認しあうこと。それが「連携」。
誰が支援すべきか ライフステージに応じた「途切れのない支援」がシステムとして必要。行政の責任。
親亡き後に備えていること 施設と働く場所の整備が必要。
保護者が高齢になって助けを求めてくるケースもある。
ハイソサエティの方で、貯えがあるから無理して働かなくてもいい、という方もいる。
その他 育成歴を記入したファイル(台帳・カルテ)の管理。発見の場とプロが必要。

 

2. アンダンテ(社会福祉法人夢の郷) 津市

事業所の特徴 平成11年、親の会が中心となって精神の事業所として設立。3障害一緒に支援している。
近くに讃岐うどんの店を開店させ、近隣住民の食堂としてはじまったばかり。
そのままでは固く地域の味ではないため、ゆで時間を長くして柔らかめに調節している。
事業所又は地域での取組の成功事例 自立支援法の施行によって日中一時支援などができるようになりサービスの幅が広がった。
利用者にとっても、事業者が選べたり、サービスを選ぶことができるなど良いこともある。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 相談は精神の方が90%。口伝えで利用者が増えてきている。
手帳なしでデイケアに通っている方が1人いる。
制度を知らない方がいる一方、光が見えたと感謝されることもある。
「あそこに行けば何かある」、「どんなサービスメニューなのか」といったことを発信して行きたい。
相談支援 状況を見て働ける状態ではない方には、活動や服薬に関するプラン表を掲示して契約をしてもらい、それが守れないときには「契約を解除しますか?」と再考を促している。
短時間の生産活動(内職)を提案。ピアサポートやGHも必要。
啓発啓蒙活動ははじまったばかり。
誰が支援すべきか 専門性は必要ない。彼と会社のために働くという人が必要。
支援だけを仕事としている人は必要ない。
親亡き後に備えていること  
その他 事業者が踏ん張らないといけない。
薬とご飯と温かいベッド、仲間と仕事。それがあればいいし、それが必要。
工賃は4~5万円。

 

3. 障がい者サポートセンター工房ゆう(NPO法人工房ゆう) 津市

事業所の特徴 理事長の妻がダウン症。さおり織りを通じて3障害対応の小規模授産施設として開所。
平成18年1月NPO。さおり織り機14台はフル稼働。作品展を毎月2~3回開催し、発表の場を設け、その方の「舞台」を用意している。作品の販売も行い完成度の高いものは2~3万円。
事業所又は地域での取組の成功事例 本人の希望に沿った支援計画を元に、小さなステップから生活のリズムを作ってもらい、将来につなげていく。支援計画はグラフになっていて意識づけに有効。暗くギスギスしていた方が、ものの見方が明るくなったり、失語症だった方が、運営委員会の司会をこなすようになった例もある。芸術性はかなり高い。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態  
相談支援 対応者は元県の福祉課の職員。その関係で情報はある。
性的な問題があり、対応が難しい。
誰が支援すべきか 憲法に基づいた支援がされるべき。
親亡き後に備えていること 親がいようがいまいが関係ないし、施設が空いていようがいまいが関係なくなんとかしなければならない。
親が漆黒になっているが心配するなと言いたい。
その他 良くも悪くも「出会い」。その機会を増やし保証することが社会の責任だ。

 

4. 工房いなば(三重県いなば園) 津市

事業所の特徴 養護学校を卒業後の受け皿がないため、自分たちで作ろうと保護者を中心に立ち上げた入所コロニーが前身。
2泊3日から1ヵ月単位の支援計画を立て、スタッフ全員で共有。
事業所又は地域での取組の成功事例 発達支援学校との連携がとれている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 ニーズがなかなか上がってこない。
支援学校ではなく、普通校に埋もれてしまっている。先生からのSOSがあるが、どこにつなげて行くのか具体的制度がない。 収入の保障が必要。
相談支援 行政とのタイアップによる自立支援協議会に専門部会を設け、児童、成人、知的、精神など
就労や自立に向けて「お試し」制度を作ればいい。
高次脳機能障害については法の不備だと思う。
アセスメント → モニタリング → ケアプランは有効。
施設として必要だ、という行政の強い意志がなければならない。
誰が支援すべきか 制度に結び付けるため、今ある資源を工夫してうまく活用する。
親亡き後に備えていること 在宅 → お試し入所 → アセスメント
その他 発達障害支援法によって相談窓口が開かれ本人に沿った支援が行われるよう法整備が必要。
この子は親のための犠牲者。
障害というレッテルを貼らなければ支援はできないのか?

 

5. 相談支援センターHANA(社会福祉法人四季の里) 四日市市

事業所の特徴 精神の社会復帰施設が前身。ゴルフのキャディさんの宿舎を改修して使っている。
三重県と市の協力で、県営・市営・一般のアパートをCHやGHとして使っている。
「引籠りを外に出そう」と活動を始める。ゆったりと何もしない作業所(フリースペース)。
事業所又は地域での取組の成功事例 引籠っていた方が、「ゆったりクラブ」をステップに地域に移行していった。
他の地域からの利用が多い。利用回数が増えている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 診断名が付いていても、受容できない本人や保護者の問題がある。
地域には別に引籠りを支援しているところがある。
親のための支援も必要。
相談支援 病院から出て訓練をしても、施設に戻ってしまう。
介護度の高い方が増えてきている。
※自立度の高い方は市内のGHなどを利用している。
誰が支援すべきか 偏見を捨てて、直接かかわってもらう以外にない。
テレビなどでの訴求が有効。
親亡き後に備えていること 親亡き後というよりも、ご本人の高齢化が進んできている。
法人でお世話できなくなってきたときが問題 → 県独自の「高齢者専用住宅」計画がある。
介護保険からはイヤがられる → タイアップするしか方法はない。
その他  

 

6. 手作り工房あゆみ(社会福祉法人ぬくもり結の里) 四日市市

事業所の特徴 背後に団地群をひかえ高齢者や障害者のニーズから地域の福祉ボランティアが立ち上げた。
家庭的な雰囲気の中で、クリスマスやお正月の飾り物、座椅子、布ぞうり等の製造販売のほか、リサイクル回収や請負作業などを行っている。
事業所又は地域での取組の成功事例 福祉や制度に関しては全く知識や経験がなかったので、とにかく市の窓口に全てのことを相談して決めてきた。このため、行政とは最良の関係が築くことができている。
自立支援法については問題もあるが、一般就労までを考えていなかった方が、就労移行支援をとおして自分の将来に希望を持てるようになるなどを評価する面もある。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 行政からの情報はあるが、本人のニーズが見えてきていない。
こちらからは働きかけられないので、見守るしかない。
相談支援 相談支援事業所とのつながりはできつつある。
ハローワークなどに行って、求人が出ていないかを確認するなど積極的にかかわりを持つ努力をしている。
誰が支援すべきか 制度ではないと思う。
仲間がいるから出てくることができている方もいる。
「場所」が必要。
親亡き後に備えていること GHをもちたい。そのために、市営団地の活用が有効と考えている。
その他 就労支援学級のようなものがあるとよい。
口で言うより、会って話す。
18歳~20歳の間の障害年金がないのが問題。
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