【調査報告】聞取調査報告・宮崎県

1. サクラプリンテック 宮崎市

事業所の特徴 印刷会社であり、パッケージのデザイン、印刷、営業、パッケージング作業などを12人で行なっている。身体の利用者が主。
事業所又は地域での取組の成功事例 パッケージに使う箱折りなどは別の事業所に下請けとして出しており、地域の事業所同士の連携を図っている。また、大手の印刷会社からパッケージの依頼を受けたり、地域の企業をまわって仕事を受けることができている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 現在は精神の利用者はいない。もし希望があれば2ヶ月の判定期間で様子を見て採用するか決定する。地域的に知的や精神は一か所に集中していたので、3障害が一緒になるのはこれからだと思う。
相談支援 基本的にはハローワークで求職できる人が対象なので、相談支援から受け入れの相談が来ることはないし、連携もない。先日、就業センターのスタッフが見学に来た程度。
誰が支援すべきか 市町村が手帳を持っていない人にも支給決定をもっとしていくべき。
支援者も発達障害に関する研修を受けて理解を深め、A型の事業所や特例子会社などをもっと増やして就労の機会を増やすべき。
親亡き後に備えていること 在宅でサービスを受けながら利用していた人たちは、そのネットワークを有効に使う。地域の民生委員や駐在所、相談支援などをうまく使って地域で暮らせるように支援する。
その他 企業が特例子会社に積極的に取り組んでほしい。

 

2. すてっぷ 宮崎市

事業所の特徴 H16年4月に市の委託で動物園と業務提携を行ない、園内の清掃作業を行なっている。
主たる利用者は知的、現在までに13名の利用者が一般就労し、定着している。
事業所又は地域での取組の成功事例 動物園内にあることで、園のスタッフや一般客と合うことが多く、社会性を身につけやすいのではないかと思われる。最初は逃げていた利用者も、徐々にお客さんへの対応もできるようになった。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 ほとんどの利用者は安定しており、自宅やGHからパスや自転車で自力通勤している。
中には金銭管理の問題や他者への暴力、気分の波での長期休業などはある。利用者への暴力で契約終了したケースもあり、次の行き場に困って結局は入院した。ほとんどは就業・生活
支援センターに相談に行くケースが多い。
相談支援 相談支援事業所を通じて利用の相談などは受けている。相談支援との連携の連携は重要。
養護学校からの卒業生もいるので、連携もあるが、相談まではない。手帳を取得できない児童もいるようで、先生が悩んでいるという話は聞いたことがある。
誰が支援すべきか 困っていることを相談できずに抱え込んでいるところが多いのではないか。相談があったものについては、希望があれば積極的に受け入れたい。週に1~2回からでもいいので、利用者の実態に応じて誰かと関われる体制を作る。
親亡き後に備えていること 具体的にはGH・CH。一人暮らしも希望があれば考えたい。
その他 利用者の安全は大切だが、それだけを重視しすぎると本人が次のステップに進むのを妨げるかもしれないので、できるだけ本人のニーズをかなえる努力をしていきたい。
現状を嘆いていてもしょうがないので、今あるものでどうしていくのか、制度だけでなく支援している者の意識も変えていかなければならない。

 

3. 地域生活支援センターすみよし 宮崎市

事業所の特徴 主に精神の方を対象とした相談支援事業所。市内には6か所の相談支援事業所があり、3か所は合同でサポートセンターとして、残りの3か所がサテライトで活動しており、すみよしはサテライトの事業所の一つ。
事業所又は地域での取組の成功事例 地域活動の場も併設しており、当事者同士のコミュニケーションの場となっている。地域移行支援事業とからめながらピアカウンセリングについて定期的な学習会を行なっている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 引き籠りについては、どの機関が中心に関わるかはっきりしないので難しいが、大きな割合で発達障害を持っているケースは多いと思われる。病院に行っても何の診断も受けられないケースもあり、なかなかサービスに結びつかない。当事者の家族(高齢者)が福祉サービスを利用した際に発見され、連絡が来ることもある。
相談支援 市内の相談支援は、母体となる法人の主たる利用者が身体、知的、精神からそれぞれ2か所ずつ受託している。重複障害など、難しいケースの場合はお互い連携をとって支援を進めている。
誰が支援すべきか 包括支援センターが中学校の校区の範囲で一つずつできてきたので、もっと役割を持たせると良い。地域が広すぎると広く浅い支援しかできないし、システム的に分けてしまうから狭間の人ができてしまう。包括なら狭い地域で小回りもきかせて活動できるのではないか。
親亡き後に備えていること 住まいは管理人や居住者とのトラブルがあり、難しいところが多いが、古い物件などを有効に使えたら良いと思う。商工会の会議でも、すでに精神のスタッフを抱えて悩んでいる企業も多く、問題解決のための手助けをしてあげたい。
その他 事件などの報道で、その事件と精神・発達障害との因果関係も分からないのに障害を報道されていることが多く、余計に地域の方に悪いイメージを持たれてしまっている。
相談支援は具体的に何ができるというわけではないが、融通がきくので、狭間に置かれている人たちをもっとうまく支援できるようにしていきたい。

 

4. 宮崎市障害者総合サポートセンターにじ相談支援事業所 宮崎市

事業所の特徴 福祉センター内で他の2つの相談支援事業所と合同事務所で相談支援を行なっている。同じフロア内には就業支援センターもある。元々は身体が主な利用者だったが、重複障害が多く3障害の網羅が必要と考え月1で研修していたところ、合同事務所の話が出て現在に至る。
事業所又は地域での取組の成功事例 民生委員と連携して地域をまわっているため、地域からの理解は得られている様子。台風などで災害の起こりやすい地域では、在宅で暮らしている重度の方の緊急避難の体制ができてきて、民生委員や、預かりに協力してくれる高齢者施設なども見つけることができた。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 家族の中の誰かの支援に入ると、他の家族にも支援が必要な人がいることがある。
家族が表に出そうとしないケースが多く、なかなか把握することができないが、民生委員で虐待の把握をしようとする動きがあり、協力しながら巡回相談に同行したりしている。
相談支援 合同事務所であるため連携はすぐ取れる。電話番号も共用のため、今ではフロア内のほぼ全てのスタッフが3障害に対応できる。就労関係の相談のみ就業センターへ引き継ぐ。
福祉サービスの事業所は、まずは包括や病院、市役所に相談しているので、そこから相談が回ってくるケースが多い。特別支援学校からの相談も有り。
誰が支援すべきか こういう場所があることを知らないために必要な支援を受けられていないケースは多いと思うので、随時広報活動をしていく。ワークサポーターの要請を行なっているが、まだまだニーズが少ないので、こちらも広報活動が必要。
親亡き後に備えていること 短期入所の定期利用。
本人が自宅のほうが住みやすいので、施設に行きたくないという方も多いので、自立支援のプログラムを構築したい。
その他 余暇支援として講座の企画をしたり、県のボランティア協会ではふれあいの旅という、ボランティアと障害者で旅行に行く企画があるが、余暇活動や社会参加の場をもっと増やしていきたい。

 

5. 宮崎市障害者総合サポートセンター巴会相談支援事業所 宮崎市

事業所の特徴 福祉センター内で他の2つの相談支援事業所と合同事務所で相談支援を行なっている。同じフロア内には就業支援センターもある。元々は知的・児童が主たる利用者の法人だが、合同で事業所をかまえているため、3障害対応可能。
事業所又は地域での取組の成功事例 窓口の役割は果たすが、対応してくれる機関との連携も必要なので、市や保健師などと連携して訪問を行なっている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 精神を重複している方はいるので、関わりはある。他機関と連携しながら訪問も行っているが地域に埋もれている人を見つけ出すのは難しい。
相談支援 福祉サービスの事業所とは相互に相談できている。また学校からも余暇や福祉サービス、思春期などについての相談を受けることがある。
誰が支援すべきか 本人がどうしたいかによる。どこかとつながっていれば、サポートは受けられる状況にあると思う。
親亡き後に備えていること 今できることを伸ばしていくこと。どんなケースでも本人のニーズを聞いて、サービスをうまく組み合わせていく。
その他  
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