【調査報告】聞取調査報告・岡山県

1. ホープ(NPO法人ホープ就労・生活支援センター) 岡山市

事業所の特徴 知的小規模作業所が前身。A/B型は病院・施設・ホテルのタオルやおしめ、シーツ等のクリーニング。移行は市役所などへの出前うどん。工賃A型60000~110000円。
B型6000~10000円。移行20000~30000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 あちこちの事業所を転々としてきた精神の方が自信がついて笑うようになった。
すこしずつ時間をかけて作業時間を増やし、本人の意思に任せている(強制はしない)。
他の事業所のGHから6人(4+1+1)が通ってきている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 利用者の中に自閉症の方が4人いる。日中同じ作業をしているが飽きっぽい。これまでにも
うどん屋~クリーニングと仕事を変わってきている。
ハローワークや他の施設の支援員からの紹介もある。
統合失調症で7~8年こもっていた方が毎日2時間くらい通ってこれるようになった。2時間でもキツイ日もあるので時間を減らすこともある。家族は喜んでいる。
相談支援 あの人は嫌い、という人間関係や一人暮らしがしたい或いは結婚してふたりで暮らしたい、
携帯がほしいなどの相談を受ける。バスの定期券の買い方やお小遣い帳のつけ方などの支援もしているし、手帳がない方には精神科への通院(手帳取得には8ヶ月間の通院記録が必要)の支援を行っている。
養護学校4校からの実習を受け入れている。うどんは中学校からも実習要請がある。
誰が支援すべきか 相談支援をしているところがはっきりしていて(責任をもって)つないでくれる仕組みがしっかりできていれば、うちで出来る範囲で支援は可能。
親亡き後に備えていること お金の使い方を教えている。
GHを作りたい。
その他 移行定員16人、登録20人。A型定員10人、登録16人。B型定員14人、登録10人

 

2. ワークステーション・コンドル(社会福祉法人浦安荘) 岡山市

事業所の特徴 S60年精神。病院と社会の中間施設(600床)。パンと通所者の給食、地域生活支援のための夕食の宅配サービス。
事業所又は地域での取組の成功事例 ホームレスへの取り組みを視野に入れている。
救護施設時代から就労後のアフターケアに力を入れている。
40歳で社会に出た方が70歳になったが、その後のかかわりからデイサービスなどの日中活動の場の提供をしている。
プログラムの必要性は意識しているが、サロン的な居場所として活用している。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 ハローワークに行くときは障害を隠していく傾向にある。個人の意思なので強要できない。
相談支援 3障害一緒に受けている。
精神の方は夜10時まで受けているが、電話をしてきて話を聞いてくれという。サービス内容についての理解が足りない。知的の方はサービス内容についての相談が多い。
介護保険の包括支援センター会議に出席している。
掘り起こしが必要。
誰が支援すべきか 制度的な対応にならざるを得ない。
親亡き後に備えていること 十分な住環境と十分な食事が与えられるなら囲うことも可能。
その他 行動障害の中2男子。家をリフォームすることになったので環境の変化についていけないとの判断から、2ヶ月間別のところに家を借りて一緒に生活をする支援をした。
移行定員6人、登録3人。B型定員20人、登録25人。

 

3. ワークハウスアイビー(社会福祉法人美土里会) 岡山市

事業所の特徴 知的小規模作業所が前身。養護学校の先生が理事長。自動車部品のバリ取りや菓子箱折り。
本人の力をつけるため送迎は行わず自主通勤してもらっている。
工賃は数と勤務状況によって3000円~30000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 就労を目指してハローワークに登録し履歴書の書き方などを練習しているが、仕事がない。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 自閉症の方が3人いるが、それほどのこだわりはない。
IQが高くて手帳を持てなかった方が精神でとった。
相談支援 そもそも敷居が高い。困ってはいるが、何をしゃべったらいいのかがわからない。
相談支援の窓口が少ない。緊急性を有していても待たされている。
入口で誰に当たるかで対応が違う。不公正。
支援する側は個人的にどんなつながりをもっているか。
誰が支援すべきか 民生委員が動いていた時代があったが今はその動きが見えない。
学卒後すぐにならかかわれるがその後何年も経っている方はどうなっているかわからない。
学校が持っている卒業生の情報を元に掘り起こしをすることも有効。
親亡き後に備えていること 法人としてはGHや福祉ホームの利用に備えたい。
利用者は家庭内でのしつけをきちっとしてそこを利用することに備えてほしい。
その他 県民性としては排他的。地理的に災害が少ないので助け合うという考えがない。
自立支援協議会も開催するが協力しあうことはない。
偏見は少ない。
移行定員6人、登録7人。B型定員25人、登録20人。

 

4. 昭和町仲よし(社会福祉法人岡山市手をつなぐ育成会) 岡山市

事業所の特徴 知的通所授産が前身。ベアリングの組み立て、七宝焼、さおり織、公園の清掃など。
DMの封入作業は10000部/日。
工賃移行20000円、B型10000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 働く場であり、体験の場であり、就労支援に結び付ける場。公益事業部門(リサイクル、ふれあいセンター清掃、公園清掃)から就労に結び付いた方がいる。
年に1~2人程度親元を離れて一人暮らしをはじめている。
育成会と市の関係は良好だが、自立支援協議会はまだ機能していない。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 子どもの頃いじめにあっていた方がその原因が発達障害にあったことを今になって知った。
発達障害支援センターにつなげている。
相談支援 法人内部に有資格の相談支援員が3人いるが経験が少ないので積み重ねていくしかない。
通所、育成会という「しばり」から開放してみんなに利用してもらいたいという思いから事業所を町中に移設してきた。
体験の場として開放している。
誰が支援すべきか 一般論はわかるが簡単にひとくくりにはできない。
体験を通してでなければわからない。
親亡き後に備えていること 本人にダメだダメだといって禁止ばかりしていれば心配なことは起きないが、それでは体験もない。親が安心して死ねることができればいい、だけでいいのか?
育成会がNPO法人を作って成年後見をはじめた。
その他 社会に出ても失敗したときにはいつでも戻ってくることができるような制度を完備すべき。
ヘルパー制度は問題が出てきてからでないと関わることのできない制度。
移行定員18人、登録16人。B型定員14人、登録17人。

 

5. ワークハウスくるみ(NPO法人くるみ) 倉敷市

事業所の特徴 重心の方4~5人の声で立ち上げた小規模作業所が前身。10年目。軽印刷、くるみ織、クッキー販売、農工など。3障害一緒。
工賃時給200円。
事業所又は地域での取組の成功事例 3障害一緒に助け合っている。近くの施設からの利用者あり。地域の方に支持されている。
働きたい仲間がほしいという気持ちでスタートしたので障害の種類にこだわりはなかった。
職員利用者関係なく友達感覚で名前を呼び合っているが何が優しさなのかを考え、できないところ以外は手を出さないように支援している。
障害者としてではなく「人」として見て接している。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 雑談の中にSOSはあるので、雑談であってもアンテナを張っていなければならない。
パニック症候群の方は「ここでは素直に自分を出せる」と通ってきている。
相談支援 不安になると子どもにかえって「帰りたい、帰りたい」と泣く方がいるが、泣いてもダメとは言わずに別の場所を用意して「○○ちゃんどうするん?」と普通に話して普通に接している。何かあった時に改めて場所を用意してもしゃべれないのでその都度雑談の中で対応している。押し付けるようなやり方はしないし、仕事優先ではない。その方の意思表示があるまで待っている。ちょっとしたきっかけと導入があればいい。
誰が支援すべきか 手帳がない方にはここで安い工賃で働いてもらっている。
どこにもない福祉を作っていこうね、とみんなで話し合ってきている。
親亡き後に備えていること 福祉ホーム的なお互いが気心を知りあって暮らしていくことができたらいい。
身体の方にはバリアフリーが課題。
その他 小規模作業所こそが本当の道。本当の仲間として接しているうちに、「あ、この人障害者だった」と気づくことがある。スキンシップのないところに交流は生まれない。
個性を伸ばすことはできる。管理してほしい方には向かない。
派遣社員に生保を与えるくらいなら障害者に与えろ!!
B型定員13人、登録17人。
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