【調査報告】聞取調査報告・沖縄県

1. 支援費相談センター小禄(医療法人禄寿会) 那覇市

事業所の特徴 小禄病院(内科・整形)が母体。市委託のヘルパー事業が主体。
介護ヘルパーが訪問介護先で障害者を発見することがあるが、知られたくないといわれる。
事業所又は地域での取組の成功事例 退院促進はホームレスを増やさないか?
ボランティアとして(個人的に)自治会に参加したり地域の子どもとかかわっている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 社会資源の所在の情報が発信されていないので自分たちで探している。又は作るしかない。
養護学校の子の休日の様子が見えてこない。お母さんたちにも連絡が取れない。
商店や食堂等にいつも来ていた人が来なくなったら教えてくださいねぇと声をかけている。
見つけた時は、気になる人がいるけどぉ、と民生員などにつなげている。
相談支援 風呂が壊れて入っていない、という精神の方をヘルパーが見つけたので市と相談して風呂を直してもらった。完ぺきではないが、支援できた。
腰痛でバスに乗れず通院できない、という方には移動支援をもらった。
図書館へ行きたいという方には生活援助で移動支援をもらった。
人の役に立ちたいという方にはボランティアを紹介しクリスマスの飾りをしてもらった。
誰が支援すべきか 沖縄人は余計な御世話だよと言われても放っておけない気質。手帳がなくてもかかわることはできる。ただしそういう依存体質もあるので、お互いが何とかしてくれるだろうという気持ちが働らいて離婚の原因にもなっている。
親亡き後に備えていること 地域社会の中で自立して生きていけるようにこうなってほしいという思いを語る方がいる。
ヘルパー(知識が必要)訪問でニーズを聞きとりながら、役所が考えたらいい。
その他 申請主義は何とかならないのか?

 

2. 就労支援あ・ん(NPO法人あごらぴあ) 那覇市

事業所の特徴 精神の方のデイケアの出口。PR活動が奏功して利用者が増えてきている。
そば作りやパパイヤの漬物作りなどをとおして地域交流を図っている。広場=情報の集まり
事業所又は地域での取組の成功事例 共同作業所で作ったものの訪問販売を始めた当初は嫌な顔をされたが、最近少しずつ理解を得られるようになってきている。顔を覚えられ、声をかけられることもある。
小さな雑貨店を兼ねた豆腐店の出店を計画中。御用聞きをしながら地域の役に立ちたい。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 まだまだ行き場が少なくはじかれているが、障害を隠す傾向が強く、名札は姓を書くと素性が知れるので、名前だけ書いている。地活では近いところでは顔を知られているので、親類に知られたくないと、わざわざ遠くの町のサービスを利用しに行っている。
相談支援 話を聞いて説明してもつながらない部分は他のところを紹介している。話をするだけして来なくなる方もいるが相談の1/4は利用につながっていてコンスタントに増えてきている。
精神の方は知的の方のように毎日出て来れないし、問題行動もデコボコしているので支援が難しい。就労としてある程度の成果を出さなければいけないのだけど、毎日来ることができないと継続した支援ができず、就労に結び付かない。また、運営が厳しくなる。
誰が支援すべきか 手帳は家族が持たせたがらなく、年金ももらえていない。
可能な制度を探して組み合わせを考える。
親亡き後に備えていること  
その他 移行定員6人、利用者 人。B型定員14人

 

3. PCNET-NAHA(NPO法人PCNET) 那覇市

事業所の特徴 理事長の高橋さんが札幌で沖縄出身の医者と立ち上げた。自分も6年間利用者だった。
パソコンに関する作業一般。
工賃時給136円。月平均4000円~4500円。
事業所又は地域での取組の成功事例 3人が利用者から職員になった。
初心者が80%。エクセルとワード検定を目標に訓練している。
那覇市役所で北海道物産展を開催し、月・水・金でタラバガニや鮭などを販売している。
退院から後の行き場がなく、月に3人程度新しい利用者が増えてきている。
ハローワークに同行して希望者は登録している。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 家にいる方は家族が外に出さないという県民性。
社会性が身につけば仕事は任せられる。
複数のデイケアを利用している方もいる。
相談支援 手帳が必須なのでそれ以外の対応はできない。
誰が支援すべきか 相談支援センター。人間を相手にしているのだから、専門医に診てもらって、支援が必要だといわれれば、受けてとしては何ら問題がない。
親亡き後に備えていること GHを用意したからには自立するまで世話をしていこうと思っているし、その後も行き場がないのであれば、うちで見ていく。
その他 GHサテライト方式アパートを3棟借り上げて2部屋×6人が暮らしていて、夜だけご飯を一緒に食べている。日中活動(デイケア)との併用。家賃37000円。生活保護又は親の
支出。住む所があって仕事をする場があれば自立していける。
9月から喫茶店(食堂)を開店予定。
B型定員20人、利用者35人。

 

4. 社会就労センターわかたけ(社会福祉法人若竹福祉会) 浦添市

事業所の特徴 知的養護卒後の行き場所として14年目。法人全体の昼食サービス300食/日と仕込み、パンづくり。
工賃移行月20000円。B型月10000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 不動産屋の管理物件の清掃作業、ちんすこうの選別、教材のシール貼りなど、挑戦していく
道筋を作っている(単価の安いものは断っている)。
委託訓練事業などビジネスマナーに参加。
家族支援も必要な方には週末ショートステイ(4床)も用意。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 療育についてはほんの数年前までは理解がなかったが、岡山の川崎医療福祉大学から先生に来てもらってTEACCHプログラムを導入して、行き場のない方への日中活動の中に取り入れている。プロジェクトチームをつくり日々の申し送りを行い、原因を見つけ、気持ちに寄り添い、見通しを立てる支援を行っている。作業能力は高いが混乱するとひどい状況になる。目的や見通しがたてばいい。
相談支援 本人のなまけ心と捉える先生がいたので担任を代えてもらった。
在学中からの相談、福祉課との連携、就労支援との連携、他事業所との連携など。
誰が支援すべきか 学校のコーディネーターが名目だけになっていないか?
学校時代に様々な体験ができるように各機関と連携できる先生(人材)がいるといい。学校から個別支援計画が来ても形式的なものにしかなっていない。措置時代には行政からはもらえていた。児相からももらえない。
親亡き後に備えていること これからの課題。GHなどのニーズはあるが、大家に理解がない。
那覇で民間の24時間電話相談サービスとのタイアップで大家さんの安心を保障している。
浦添では市営団地の建て替えの希望がある。
その他  

 

5. 就労サポートセンターミラソル(NPO法人ミラソル会) 那覇市

事業所の特徴 精神小規模作業所が母体。授産活動を行わず、民間企業での職場実習とグループ就労訓練を主体とした実践的な職業リハビリテーションを行い、就労移行を支援している。
事業所又は地域での取組の成功事例 自立支援法施行後3年間で5障害60人が一般就労している。
1、ゴールからスタートする実践型職業リハビリ―
2、スペシャリストが評価・開拓
3、職業準備性を高める座学 4、夢を具体化(似顔絵に夢を足していく)
I 職リハ II ジョブマッチング III フォローアップ  3~6か月で就労。
それぞれに評価スケールをもっている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態  
相談支援 本人の自立、生活の自立は本人自身の力による。
誰が支援すべきか 法整備を進めていくべき。
ILO 1983年の職業リハビリテーション及び雇用(障害者)条約(第159号)批准
障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約(1992年6月12日批准)。
親亡き後に備えていること  
その他 移行定員12人、登録19人。B型定員10人、登録8人。

 

6. 沖縄県発達障害者支援センター(社会福祉法人緑和会) うるま市

事業所の特徴 知的入所更生授産施設が運営母体。県委託。県内1か所のみ。
地域生活支援センター時代から相談支援を行っていた。
事業所又は地域での取組の成功事例 学校や行政でそれぞれの役割について意識は高まってきているが、まだノウハウを持っていないので個別の事例を参考に説明して横のつながりを作る活動をしている。
地域に資源はあるのにつながっていない。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 メディアによって「もしかしたら?」という本人や周りからの相談が増えてきている。
友人関係や仕事を認めてもらえないなど自分の状態をはっきりとさせたい方と、話を聞いてあげるだけで満足してしまう方が半々でいる。
就労を希望す方は手帳の取得のメリットを説明してつないでいる。
「あんな人いるよね」といい意味で地域に埋もれている。
相談支援 自分を客観的に知ることは苦手さや対応策がわかるので悪いことではない、障害とレッテルを貼られることを嫌がるがそれは「劣っているということではない」と説明している。
行政内部にキーパーソンとなるマンパワーがない。特に市町村合併のあったところが問題。
相談支援は半分子ども、半分親。
誰が支援すべきか これがないからできない、ではなく、地域に資源はあるのだからいかに組み立てていくのかが問題。ただしそれなりのメリットもほしい。
親亡き後に備えていること 親は親の人生、子どもは子どもの人生。一生つながっていられるものではない。
小さい時から将来に向けた取組をして、近くでも離れて暮らす。
野宿しても死ぬことはない。
その他 大分県で発達障害の程度区分の判断基準を作っている。
発達障害はテーマさえ決まればどの範囲でも拾える。

 

7. 自立・就労センター希望の大地(NPO法人希望の大地) 浦添市

事業所の特徴 高齢者介護が母体。精神の方や親子2代で障害をもっている方も多く、県内12か所の精神病院では数百人規模で患者を抱え離さない状態が続いている。戦争経験やシャーマン信仰があり精神罹災率が全国平均の2倍。病院では1人500~600万円の収入になっている。
事業所又は地域での取組の成功事例 1か所だけ意のある病院のケースワーカーと農作業を中心とした企業にとってもメリットのある就労形態として「ソーシャルファーム」(徒弟制度/終身雇用/住み込み)を可能にする「雇用」ではなく「仕事の依頼を受けてそれに応える」システムを追求している。工賃時給630円。額7~8万円。ちんすこう製造販売、分電盤パネル作り、島らっきょう生産、花卉栽培など。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 彼等はデリケートだから発症する。対応は全て「さん」づけ。高次脳と診断されている方が2人いるが、問題ない。彼らの「能力」をビジネスに利用したい。精神の方は「ガラリ」と変わる。
相談支援 家族、仕事仲間、お金の貸し借りなど常に相談を受けている。当事者同士のミーティングも行っているが、交通整理が必要(過激な発言も出る)なので職員を配置している。
ケースワーカーとは情報の交換を行っている。
誰が支援すべきか A型の活用。手帳は本人の自覚を促すうえでも必要。
親亡き後に備えていること ソーシャルファーム。日本型の雇用。
その他 A型の暫定支給が那覇では認められない。他の地域ではどういう対応をうけているのか?
養護学校では素人が素人を教えている。仕事をするなら早くからプロの指導を受けるべき。

 

8. いこいの家(NPO法人結いの会) 石垣市

事業所の特徴 精神家族会母体。10年目。農作業や染め物、石鹸製造など。
就労的居場所として、また、とりあえず来ることのできる場所としての楽しみの場。
工賃月1000~6000円。
事業所又は地域での取組の成功事例 宗教・思想を含めてその人本人の姿を受け入れているだけ。
できてもできなくても認める。作業しようとする気持ちを認める。
個別支援計画は個人と向き合うことができるのでいい。また、施設行事を訓練として計画に組み込んで実施できるようになったのでみんなと喜びを共有できる。
※孤独死をサポートできなかったのが悔しい。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 社会の偏見の中で悩みを抱えながら生きている。家の中の部屋に閉じ込められていた。
近所の親類には知られたくないので他県へ診察を受けに行っている。
引籠りはたくさんいるので掘り起こしが必要なので、相談コーナーなどの実例をもとにPRしたり、保健所や民生員に家族会の存在を知らせたり、この事業所の存在を知らせたりして情報の提供を行い、また、求める。
相談支援 サポートの仕方(強制や強要)によってなくなっていく方もいる。働いて返せ、という支援は間違っている。精神の方の短期入所を受け入れてくれるところがないので、GHを作って仲間作りがしたい。ニーズに応えるだけの資源がない。
誰が支援すべきか 人を責めるのではなく、気づいた人がやればいい。
親亡き後に備えていること 親を介護していかなければならないという心配がある。
GHなどの仲間作りやショートステイの受け入れが必要。なければ共倒れ。
その他 努力は必要だが、強要するものではないし、競争原理を持ち込むべきではない。
近くに精神科の病院があるが、ショートステイはお金にならないからという理由でやっていない。
アパートを借りたくても保証人になってくれる人がいない。
B型定員15人、登録12人。
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