【調査報告】聞取調査報告・東京都

1. 世田谷区立下馬福祉工房 世田谷区

事業所の特徴 手をつなぐ育成会が母体。建物は区の建物で、複数の法人の事業所がある。
就労移行支援は卒業生を受け入れるために行なっているが、現在1人のみ。利用者は行事のことしか話さないが、残業もしており、工賃は2万円程度。
事業所又は地域での取組の成功事例 住民の入れ替わりが激しく地域からの認知度はなかなか上がらないが、ボランティアセンターが1階にあるためそこを通じてボランティアが入ってくる。年間延べ750人のボランティアを受け入れしている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 事業所の利用者は主に知的で、自閉的傾向のある方も12~3人。比較的軽度。
世田谷区が在宅を出さないよう取り組んでおり、利用調整は区で行なっている。
希望の事業所に実習に入り、利用となるが、行動障害の強い人は就労系のサービスは第1~3希望全て断られることがあり、その場合は生活介護利用となる。
一般就労で失敗して引きこもるケースはたくさんあるが、その対応はまだ不十分。
相談支援 相談支援事業をやっている事業所がどこにあるか分からない。
相談支援をすることを前提で事業をしているが、人員的に相談専門のスタッフを配置するのは難しい。事業所には療育専門のスーパーバイザーが週に1回来て相談することができる。
相談は保護者の情報網や、ボランティアをしている知人の紹介などで事業所に直接持ち込まれている。
誰が支援すべきか 高機能自閉症の方は精神の手帳をとってサービスを受けるか、無認可の作業所に通っている
ケースが多い。現在ボラに来ている人の中には不登校や拒食症の人もいるが、利用者やスタッフに頼られ嬉しい様子。自分の生き方に自信が持てる支援が必要。
親亡き後に備えていること 入所や短期入所は空きがない。民間アパートを借りてGHを作ろうとしたが、アパートの住民の反対があって実現できなかった。小1のボラ(実際は遊んでいるだけ)も受け入れているが、それを通じて周りの大人の理解が広がればいいので、誰でも歓迎している。
5万円の家賃補助の制度があるので、住まいの確保にうまく活用したい。
その他 事業所同士集まることもあるが、行政に振り回されすぎている。支援法について、制度論や経営論の話ばかりが盛り上がっているが、利用者の支援論についてもっと語りたい
自立支援協議会についても社会資源についてばかり焦点があてられがちで、利用者の発達、
障害特性の理解、人間関係や病理面など、利用者について考慮しなければならないことを把握することが先ではないのか。

 

2. 上町福祉作業所 世田谷区

事業所の特徴 手をつなぐ育成会が母体。別の建物と一体管理で一つの事業所になっている。
利用者は19~60代で、主に知的。うつや自閉傾向の重複もあり。特別支援学校の卒業生や離職した人、在宅だった人など様々な人が通っている。
事業所又は地域での取組の成功事例 以前、野菜を仕入れて販売していたことがあり、近所の人が買いに来ていたこともあって地域の理解は得られているが、現在は交流する機会はほとんどないのが現状。
近所のお祭りでは、授産品の販売などで関わりがある。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 作業所と合わず利用先を変えたい利用者がいても、特別支援学校の卒業生の利用が優先されるため、現在どこかを利用している人は後回しにされている。その間一時的にどこにも通えず在宅になってしまう人もいる。
相談支援 知的を主な対象者とした相談支援の事業所はほとんどない。あっても就労している人を対象としており、現在は利用先に直接相談することが多く、難しいケースは区で対応。
就労と生活面の全体的なサポートをしているところは不足している。ニーズも多すぎて広く浅くしか対応できないのが現状。
誰が支援すべきか 地域で暮らすためには、地域での理解者を増やすことが必要。
親亡き後に備えていること GHなどの居住の整備は地域の反対でうまくいっていないので、理解を深めるための啓発活動が必要。
成年後見制度の活用。
その他 なかなか高い給料は支払えないので、特に非常勤の募集には全然反応がないのが悩み。

 

3. さら就労塾@ぽれぽれ(NPO法人さらプロジェクト) 世田谷区

事業所の特徴 知育・徳育・体育を柱に即戦力となる人材を輩出。
特に地域=武器、徳育=職場での人間関係を学ぶ意識改革=戦い方、として訓練している。
カルチャー感覚で来る方はおことわりしている。
事業所又は地域での取組の成功事例 ここは仕事の場、という考え方を徹底して指導していくことで雑多なイメージが結びついてきて「おもしろい」という感情に変化していく。
場所と機材は区からの無償貸与(プロポーザル事業)。
都が窓口の「障害者就労委託訓練事業」として運営。手帳は条件ではない。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 働きたいという意思がなければ続かない。本当に働きたいのかを確認してから指導。
相談支援 生活部分は他の団体・区が担うべき。
ここは仕事の場、うちは関係ない。
仕事仲間との仕事上のトラブルは相談に乗るが、私生活の友達や親との関係は介入しない。
カウンセラーは自分で探してもらっている。
誰が支援すべきか 民生委員や相談支援員がニーズをキャッチすべき。それが彼らの仕事。
親亡き後に備えていること 区の社会資源は豊かにあると思う。
その他 就労後問題をフォローする場が問題。

 

4. ワークイン関前 武蔵野市

事業所の特徴 法人内には就労支援の事業所が4ヶ所あり、利用者のレベルに合わせて事業所の調整を行っているので、作業内容はほとんど同じだが作業能率に差があるため、工賃の幅も大きい。
DMの封入・発送など。工賃月2万5千円程度。
事業所又は地域での取組の成功事例 近所の老人ホームの夏祭りに手伝いに行く程度で、地域との交流などは特にない。
近所から通っている利用者が多く、特別支援学校も近くにあるので、住民の理解はある。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 主に知的、自閉的傾向のある利用者もいるが、それほど傾向の強い利用者はいない。
ただし精神的には波があるので、事業所内での移動は頻繁。
相談支援 地域の中には役所にも相談に行かずに引きこもっているケースもあり、状況を把握した役所から相談が来ることもある。
就労に関しては、市主導の相談センターがあるが、本格的には機能しておらず、法人や市に直接相談されることが多い。
市外から転入する方については、市から受け入れの相談がある。
誰が支援すべきか 行政はもっと実態を自分の目で見たほうがいいと思う。
余暇活動の支援について、サービスの充実を図ってほしい。
親亡き後に備えていること 短期入所などを利用して、親子離れの練習をする。
GHは3つあり、1件家、アパートの2階、作業所の上に1つずつ。
その他 就労に来ているのに、どうして利用者負担が発生するのか。

 

5. 武蔵境ワーキングセンター(社会福祉法人武蔵野千川福祉会) 武蔵野市

事業所の特徴 昭和51年親が中心となって知的通所授産として開所。その方の能力にあった部門を区別してDMの帳合封入、封かん、ラベル貼り等の作業を行っている。養護学校卒業生の受け皿。
「在宅を作らない」を目標にしている。
事業所又は地域での取組の成功事例 高い工賃を目指し、機械を導入し、中間業者を通さず、元受から直接仕事を受けている。
封入は1000万件/日。
工賃は現在40,000円だが50,000円を目指している。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 困難事例は流れてこないが、武蔵野東学園から毎年20人程度が卒業してくる。
相談支援 精神的に不安定なので医療機関を紹介してほしいとか、親のいない方の年金の申請などの相談が持ち込まれる。市役所や自立支援協議会の、「働く部会」や「生活部会」と連携している。
誰が支援すべきか  それぞれに専門機関があるので、分担するのがいい。
特に、知的と精神は一緒になりにくい。
親亡き後に備えていること 改修費など1/8の自己負担で都の補助を受けGHを運営。20人が暮らしている。
公営団地や民間のアパートなどを改修して住めるように用意はしているが、親が動かない。
体験型生活寮も準備しているが使われないと家賃を法人で負担しなければならなくて大変。
その他 移行 登録 6人 B型定員 登録 15人

 

6. 武蔵野福祉作業所(社会福祉法人武蔵野) 武蔵野市

事業所の特徴 地域社会に役立つ、を基本理念に障害者向10事業、高齢者向9事業を展開している。
自分たちの言葉でしゃべろう、と施設見学者への案内は当事者が行っている
言葉のない方へは、絵や音楽のセラピー的な支援も行っている。
事業所又は地域での取組の成功事例 全国から集まってくる武蔵野東学園の卒業生が地元に戻らずそのまま居つくケースがあり、利用者は増えている
武蔵の野菜を使った弁当や総菜の冷凍技術による製造管理。
販売チャンネルの多様化が問題。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 知的を伴う方を診断できる精神科医がいない。育成が課題。
相談支援 そういう方たちは「寺男」や「丁稚」として昔からいた。
現在では区の人口13万人の中に110人いる民生委員や児童委員といわれる方たちが町の中で見守っている。
地域格差がありすぎる。
誰が支援すべきか 18歳を過ぎたら成人。親の役割は終わっている。
親の人生観と地域や支援観が一緒でなければならない。
育てるのは社会。
親亡き後に備えていること 本人主体をはっきりとさせたい。
親が子に依存しているケースもある。親は切っていく。
福祉の貧困が招いている結果だ。
その他 手帳をとらずにやってきて、つまづいてからあわてる。
身体は悉皆主義なのに、知的は申請主義だから把握しきれない。
家庭での基本的生活態度を身につけさせる支援力が落ちてきている。

 

7. 練馬区立白百合福祉作業所(社会福祉法人練馬区社会福祉協議会) 練馬区

事業所の特徴 社会事業授産施設として設置。知的重度加算基準該当委託費で運営。
通所38人(GHは1人)。施設内での高齢化が進んでいる。
事業所又は地域での取組の成功事例 万年筆パッケージ、ボールペンの箱折り、チラシ封入などの作業を行っている。
工賃は平均9000円。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 なし。
相談支援 窓口は1本化したが、障害別に対応している。
誰が支援すべきか 国が法整備して1本化。市町村の実施。
3障がいは一緒になり得ない。
親亡き後に備えていること 成年後見制度。
社会資源の体験まではできるがそこから先は難しい。
親の意識も問題で、個人の領域への介入が難しい。
その他 B型 登録 38人。

 

8. ねりま作業所(社会福祉法人未来・ねりま) 練馬区

事業所の特徴 練馬区から28年前に1億円の無償貸与を受け設立。地域活動就労支援事業所協議会をとおし、ハローワーク、区の就労支援センター、同様の事業所との連携をとりながら作業所のネットワークを組んでいる。知的の方が対象。
事業所又は地域での取組の成功事例 現在は、公園やマンション59棟の清掃作業、雑誌の付録詰め作業、箸袋入れ作業などを行っているほか、地域の方たちの集いの場として区民センター内に喫茶店を運営している。
工賃は24000円~25000円。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 区内4地域で担当者から連絡があり一緒に取り組んでいる。
時間外の対応や、制度外の対応をしなければならないこともあるが、放ってはおけないので出向いて意向を聞きに行くようにしている。
相談支援 精神の方は、準備や実習を経てからでなければわからないことがあるので、対応は難しい。
本当にやっていくことができるのか、判断が難しい。
誰が支援すべきか 独断で判断はできないので、アドバイス程度はしながらつなげておく。
個別支援計画が大切。
親亡き後に備えていること GHは必要との判断から、来年度には立ち上げる予定。
親はギリギリのところで助けを求めてくる。就労と絡んで事前の意向調査も必要。
その他 ここは単なる就労場所ではない。生きる力を身につけていく場所である。

 

9. 特定非営利活動法人あかねの会 練馬区

事業所の特徴 養護学校卒業後の子どもの支援からはじまる。言語教室を区にお願いして300万のデイサービス助成金で。
特に音楽指導を通じて、毎年コンサートを行っている。
事業所又は地域での取組の成功事例 都営住宅を200万円で改修。年金で暮らせる(家賃40000円)寮を8か所運営。
これまでに100人が言語教室に通っている。
規則正しい生活・余暇の活用・早期の対応をとるため、寮に入ることを前提に、就労を継続 させるための支援、を行っている。
毎年5人ほどが就労移行し、定着率は90%。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 他につないでいる。
3障害一緒にこだわる必要はない。
教育の受け方によって決定されてしまうのではないか。
相談支援 ネットワーク会議の場では話をするが、まとまりはない。
STEPという機関があって、支援会議がもたれる。
ケースが出てこない限り、かかわることはできない。
誰が支援すべきか  
親亡き後に備えていること 共依存(親の死に待ち)がある。
親が元気なうちにGHへ!!
その他  
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