【調査報告】聞取調査報告・富山県

1. 報恩の家(NPO法人愛和報恩会) 富山市

事業所の特徴 北海道銀山学園で支援院をしていた理事長が、国の金は当てにならないと自ら生産した農作物を漬物にしたり瓶詰にするなどの食品加工の有限会社から起こしたNPO法人。設立以前から常に地域の方(200戸)に相談し、地域の方と共に歩んできている。
事業所又は地域での取組の成功事例 A型は12月に取ったばかり、B型18人、移行支援4人(食堂と水田)の22人。
工賃は時給B型222円、移行+111円~150円。月35000円~36000円。
山間地の活性化を目指す市の「ふるさとづくり協議会」に参加要請され、山野草と花畑による丘陵地帯の造成構想に向けて活動をはじめたばかり。どんな方でも引き受けてきたので、県内各地から問い合わせがある。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 精神の方からも問い合わせが増えてきている。
地域移行に当たっては週に1回位から除々に増やしていくGHの体験利用をすすめている。
食費以外はすべて無料でやっているので、運営が大変だが、本人のやる気を引き出すため、それが使命と思っている。
相談支援 情報は少ないが、自閉症、アスペルガー、発達障害という難しいケースがまわってくる。
現在引きこもっている方のケースでは、お金をポストに入れるだけでとにかく生きていることだけを確認している。遠くから見守るしかない。
誰が支援すべきか 上の例は全関係機関が関わって行ったがどこも動けなかった。というより動かなかった。
連携は役に立たない。個人的な、魅力のある人がやるしかない。
親亡き後に備えていること ここに来たからには親はいないと思え(ずっとここにいろという意味ではない)と、親を思う気持ちを大切にしながら自分で稼いで食べて行くんだ、ということを常に教えている。
制度は関係なく、あれば使えばいい。
その他 コミュニケーション障害や働けないでいる方の支援をするほうが、社会に出ることより先。
マナー教育は必要だと思う。
根っこを抑えればつながっていく。
とことん一緒に泥まみれになって働いてくれる人がいればいい。

 

2. JOBにながわ(社会福祉法人けやき苑) 富山市

事業所の特徴 会福祉協議会系。市内3か所の公共施設の清掃作業、印刷の下請け、鱒ずし用のおしぼり爪楊枝・割りばしをセット(1000セット500円)などの作業。
事業所又は地域での取組の成功事例 ダスキンに清掃のノウハウを教えてもらって清掃作業を行っている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 ない。主たる対象を知的としている。
相談支援 相談支援できるような受け皿(体制)が整っていないので、できない。
しかし、今後指定は受け(事業を拡張し)たい。
誰が支援すべきか そういう方が来ればわかるが、来ないとわからない。
親亡き後に備えていること 保護者会からのニーズがあるのでGHをはじめたいと思っているが忙しくて手が回らない。
職員に無理をさせられない。
年金と工賃で生活できるようになればいいと思う。
その他  

 

3. おわらの里(社会福祉法人フォーレスト八尾会) 富山市

事業所の特徴 入所施設経験者3人で地域福祉を目指し無認可作業所からスタート。当初から3障害一緒。
秩父園での研修に参加し「気づきのない自分」を自覚し保守的な世界からの脱却を誓った。
事業所又は地域での取組の成功事例 地域の歴史的産業「養蚕」に目をつけ、桑畑を再生しさまざまな関連製品を作っている。
製品は安心安全なもので、しかも高いクオリティをもつ。
製薬会社と提携している。
スタッフの一人は富山国際大学講師。現場実習をとおしていろいろな方を巻き込んでいる。
学生にはボランティアではなく共同作業者としてかかわってもらっている。
引籠り・うつ・精神疾患といわれる方たちの実態 うつ2人、引籠り1人、アスペルガー1人がいるがそれぞれに知的能力は最高に高い。
だが、それが問題で、社会生活が営めない。
3障害一緒は無理という声もあるが、中には、「(いろいろな障害をもつ人たちが集まっているウチのようなところに来てみて)ここがいい!」と言った精神の方もいる。
相談支援 いきなり高いところを目指すのではなく次のステップに行くことの声かけを行っている。
どこに相談に行ったらいいのかがわからない、という声があり、こういう方は行ける所は全てまわっている。
身近のところで、敷居の低いところがたくさんあるほうが良い。場所探しに応えるべき。
誰が支援すべきか できること探しがキーワード。それぞれができることを補い合えばいい。
支援する側のフォローする言葉一つで、仲間から認められる存在になることができる。
親亡き後に備えていること 川の淵に何回立ったことか、という親の不安感が先行している。
安心して生活できる場の設置が必要。共同生活への援助が必要。
65歳以上の方が地域で生活できる場も必要。
その他 高卒後B型に行けないという、進路の押し付けはおかしい!
365日休みなしでスタッフの人件費も出せない。笑って仕事ができなくなってきた。
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