事業結果(調査結果概要)

アンケート調査

平均16.4%と高い回答を得た。単純に集計しただけでA4レポート130ページを超え(別添CD-ROM)、これをクロス集計すると発達障害者に対する認識の薄さや格差が如実に表れてくるものと推測される。

聞き取り調査

300人の現場の担当者と直接話をすることができ、アンケート調査(数の集計)では見えてこなかった就労・自立・支援・相談などに関する問題点や提言など、生の声を拾うことができた。これは財産になった。

フォーラム

アンケート調査・聞き取り調査を踏まえて、その中から就労や地域連携について先駆的な取り組みをしている4事業所を招きフォーラムを開催した。障害種別を問わず年間20人を一般就労に導いている沖縄の「ミラソル」や、15歳~18歳までの手帳を持たない狭間の子どもたちを「制度を使って支援」している横浜の「PWL」など発想や行動力でグイグイと突き進む民間の力強さをまざまざと見せつけられたし、どんなに重い障がいがあっても就労は可能だと言い切る事業所もまた、少数ではあるが存在した。

しかし、発達障害者は軽度であるが故の生きにくさを抱えており、そのニーズに応えるためには「制度では御しきれない社会」そのものの問題を解決しなければならない、という福祉以前の問題も見えている。極論になるが、今回アンケート調査を含め広範な聞き取り調査を行った正直な感想は、問題点を探ったところで、解決策が示されなければ責任の押し付け合いに終わってしまうということ。彼らが生きて自立した生活を送るためには、その彼らを支援していく「わたしたち個人」または「わたしたち社会」の存在が問われなければならない。彼が誰(人・社会)に出会うか、その時に出会った人・社会が彼のその後を決定づける。

三段論法めくが、そうであるならば、その出会いの場が問われるべきだし、その整備を急がなければならない。ケアマネジャーやサービス管理責任者の存在意義は大きくならなければならないし、相談支援に至ってはまさにそこが第一発生場所。「早期発見早期対応」は幼児期にだけあてはまる言葉ではない。ここには数も必要だが、その数に見合った分だけの「質」が保証されなければまったく意味を持たない。

そこで次の課題は「相談支援」。「障害者支援は親支援」とは現場で言われる言葉ではあるが、「当事者の親」を「ピアレント」として制度化させ、ピアカウンセラーとして育成するためのカリキュラムや適性診断テストなどをとおして「質」を第一に確保したい。「二次障害は防げるんですよね」若い支援者が語っていた現場の声である。

事業の効果及び活用方法

発達障がい者の障害者自立支援法に基づくニーズの把握がなされインフォーマルサービスを含め、必要とされる地域の社会資源や支援プログラムの拡充、ネットワークの構築がなされた。この中から見えてきた課題が「相談支援の充実」であることから地域の支援体制の整備に役立てるよう活動を継続したい。

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