はじめに

 普段の生活で、相手の気持ちを理解することが苦手だったり、コミュニケーションが苦手だったり、とても得意なこと優れたことがあるのに、なんでもないようなことがすごく苦手だったり・・・というかたよりとして現れ、誤解されやすく、とても困っておられる方がいます。
 何らかの支援があればと思いますが、ではどのような支援が必要なのかも、まだ手探り状態です。

 障害者自立支援法が施行された平成18 年4 月の前年に発達障害者支援法が施行されました。当時は支援費制度の時代から高機能自閉症児のサービス利用など通じていくつかの事例について理解していましたが、まだまだ発達障害そのものをトータルに理解していたわけではなく、その支援のあり方をめざして第一歩を踏み出すか出さないかの状況でした。
 障害者自立支援法が本格実施となる平成18 年10 月のころには、発達障害児の日中活動の場(放課後保障)を求める保護者のニーズや支援者からのニーズをサービス調整会議(現在の自立支援協議会運営委員会の前身)で検討し、地域生活支援事業のタイムケア事業としてスタートさせました。
 平成19 年度は、手探り状態の中、まずは市内にどれだけの支援団体があってどのような活動をされているのか、お互い理解し共有しあうためネットワーク化に向けた取り組みを進めるとともにより多くの方に発達障害の理解を深めてもらうための地域サポーター養成研修を開催しました。

 こうした取り組みを踏まえ、発達障害児者への施策を充実させるため、平成20 年度障害者自立支援調査研究プロジェクトとしてモデル事業を取り組むことにしました。
 このモデル事業でめざしたことは、まず発達障害児(者)にかかわる社会資源はどこに、どれだけあって、またどのように活用されているのかを理解しあおうということでした。
 つまり、生まれてから気づきまでの仕組み、早期の療育支援はどのようなシステムで、また学齢期にはどのようなシステムのもとに行われているのか、地域で支える障害福祉サービスはどうか、本人や家族のニーズはどうか、相談窓口はどうなっているのかなど、現状の社会資源を明らかにして、そこからどのような支援ができるのかを考えてみようということでした。

 今回発達障害児(者)支援モデル事業の取り組みは、短期間ではありましたが、関係者各位の情熱により、就学前・小学生の実態調査と中学生以上の対象者の支援者へのアンケート調査、先進都市視察、そして検討委員会などいずれも非常に内容のあるものであり今後の施策に十分反映できるものとなりました。
 終わりに、今回のプロジェクトの精力的にご協力いただきました関係者のみなさま、本当にありがとうございました。そしてこのプロジェクトを通じてできつつある関係機関のネットワークを今後さらに深めていきましょう。


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