平成17年4月に発達障害者支援法が施行され、4年が経過しようとしていま す。この間、発達障害児(者)を支援するための様々な施策や事業が実施され てきました。しかしながら、発達障害に関する専門家は少なく、地域における 関係者の連携も必ずしも十分とはいえないのが現状です。 このような中、東京都は、医療機関における発達障害者への治療・支援の実 態を把握し、効果的な支援手法の開発を行うことにより、支援を行う医療機関 を確保していくことを目的に、学識経験者や医療関係者から構成される「医療 機関における発達障害者支援実態調査検討委員会」を設置して、都内医療機関、 発達障害児(者)ご本人及びそのご家族に対する調査を実施することとしまし た。
本委員会において、調査対象医療機関等の選定、調査方法及び調査項目等に ついて検討を重ね、平成21年1月、医療機関調査及び本人調査の二種類のアン ケート調査を実施しました。調査対象の選定に当たっては、短期間において効 率的な調査を行うために、都が把握している発達障害者支援に取り組んでいる 都内医療機関及び医療機関を受診している発達障害児(者)で調査にご協力い ただける方に限定しました。医療機関調査では、医療機関における発達障害児 (者)への診療体制、連携機関の状況などを、本人調査ではご本人、ご家族の 医療機関との関わりや行政サービスの利用状況等を回答いただきました。さら に、2月には医療機関への聞き取り調査を実施し、第一線で発達障害児(者)の 診療・支援に当たられている方から、より詳細な支援の実態、要望、課題等に ついて伺いました。
本報告は、これらの調査結果を取りまとめたものであり、今後、調査結果を 評価・分析することにより、東京都における発達障害児(者)支援施策推進の ための基礎資料として活用されることを期待します。
本調査が実施できましたのは、ご多忙にも関わらず、多くの医療機関の方々、 ご本人及びそのご家族の方々、関係機関の方々のご協力をいただいたものであ り、ここに改めて感謝申し上げます。
平成21年3月
医療機関における発達障害者支援実態調査検討委員会
委員長 市川宏伸