第1章 調査研究の概要

1.調査研究の概要

(1)目的

精神障害者地域生活支援センターや小規模作業所、小規模通所授産施設は、精神障害者の地域生活を支える拠点として、地域の特質に根ざした多様な活動を展開してきた。障害者自立支援法の施行により、これらの拠点は、就労移行支援・就労継続支援等の自立支援給付事業や地域活動支援センターへ移行しつつある。

しかし、これらの拠点の新体系移行は、法定外から法定内へ、箱払いから個別給付への転換等という点において、事業者にとって大きな方向転換であるにもかかわらず、具体的な移行方法や移行後の事業所運営手法についての情報不足や不安により、円滑な移行につながらない現状もある。

そこで、本研究は、全国の精神障害者地域生活支援センターや小規模作業所、小規模通所授産施設の新体系移行の実態や移行後の運営状況を把握し、移行後の効果的な運営事例を紹介することを通じて、これらの拠点の移行先の中心となる地域活動支援センターならびに相談支援事業所、就労系事業を中心とした自立支援給付事業について、従来の活動をさらに発展させていくための事業展開の方法と、それら各事業所間の連携によるサービス提供体制のあり方について提言を行うことを目的として実施したものである。

(2)調査の全体構成

本研究の企画、結果分析を行うための検討委員会を設置し、平成20年8月から平成21年3月の間に15回の検討会を開催した。

また、本研究においては、郵送によるアンケート調査ならびに、事例についてのヒアリング調査の2種の調査を実施した。主な調査項目は、新体系移行の有無、移行前後の機能・人員体制・利用者数・活動場所・予算状況・運営方法、移行に当たっての課題と工夫点、地域自立支援協議会との関係等とした。

(3)各調査の概要

調査対象、調査方法、回収状況等の概要は、下記のとおりである。

図表 1-1 調査の概要

調査対象 (1)アンケート調査
①旧法における精神障害者地域生活支援センター
②小規模作業所および小規模通所授産施設
③①②の利用者
(2)ヒアリング調査
①精神障害者地域生活支援センターから新体系に移行した事業所
②小規模作業所、小規模通所授産施設から自立支援給付事業に移行した事業所
③小規模作業所、小規模通所授産施設から地域活動支援センターに移行した事業所
対象者数 (1)アンケート調査
①旧法における精神障害者地域生活支援センター全数 472か所
②全国精神障害者地域生活支援協議会会員事業所 348か所
(2)ヒアリング調査
全国8つの地域ブロック(北海道・東北、関東、東海・甲信、北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄)において、それぞれ3種の移行事例を抽出し、24事業所を対象とした。
抽出方法 (1)アンケート調査:悉皆
(2)ヒアリング調査:抽出(アンケート調査回答から先進的な事例を選定)
調査時期 (1)アンケート調査:平成21年1月から2月
(2)ヒアリング調査:平成20年11月から平成21年3月
調査方法 (1)アンケート調査:郵送配布・郵送回収
(2)ヒアリング調査:訪問聞き取り
回収状況 (1)アンケート調査
① 126か所(回答率 26.7%)
② 162か所( 同 46.6%)
③1,891名

2.本報告書における表記について

◇ 回答数について

  • 図表中の「回答数」は、各設問に該当する回答総数であり、回答率(%)の母数をあらわしている。

◇ 図表の単位について

  • 本報告書に掲載した図表の単位は、特にことわりのない限り「%」(回答率)をあらわしている図表 1-1 調査の概要。
  • 回答率は小数点第 2 位を四捨五入して掲載しているため、合計が 100%にならないことがある。

◇ 図表における選択肢等の記載について

  • 図表の記載にあたっては、調査票の選択肢等の文言を一部簡略化している場合がある。簡略化していない選択肢は、資料(調査票)を参照のこと。

◇ クロス集計について

  • クロス集計表の記載にあたっては、分析の柱の項目の「無回答」は掲載を省略している。したがって、分析の柱となる項目の回答者数の合計は、全体の人数とは一致しない。
menu