2.3 フォローアップ

 適切な判定により支給した後であっても、支給後の身体状況の変化により、操作スイッチの不適合が生じて、装置が利用できなくなってくることがあります。

 意思伝達装置が、補装具になったことのメリットの1つに、スイッチ交換(修理基準)が、身体状況の変化に応じて(必要な時点で)申請が可能となることがあります。適切なタイミングで操作スイッチを交換することで、利用可能な状態を維持することができ、本人が操作できなくなってきたという挫折からの装置の利用をあきらめることなく、可能な限りの長い期間に渡り装置を利用できることになり、結果として補装具費の効率的な支給につながると考えます。

 このためには、判定だけではなく、判定後のフォローアップが大切であるといえます。第1段階としては、支給後の一定期間を経た後の利用状況の確認調査が考えられます。しかし、身更相が自らフォローアップできる場合もあれば、できない場合もあるかと思います。身更相がフォローアップ出来ない場合には、市町村に対してフォローアップを行うことを指導することも考えられます。

 その後は、経年変化による身体状況の変化もあるため、定期的なフォローアップ調査をおこなうか、不適合が生じたときには、市町村に相談するようアドバイスしておくことが望まれます。

 ⇒ 様式例は、「3.3.重度障害者用意思伝達装置の処方箋等(例)」をご覧下さい。

(1) 確認調査

 支給決定した構成の装置が納品されているか、操作上での不具合はないか、などを確認します。これらに関して問題点があれば、その改善指導が必要になります。

 装置の確認であれば、納品直後を含めた早期の訪問でも可能ですが、操作上の不具合の確認のためには、ある程度操作に慣れてきたであろう数ヶ月(目安としては1~2ヶ月)後の確認が妥当といえます。

 特に、ALS等の進行性疾患のために早期支給をしている場合は、支給が早期すぎると、まだ利用されていない可能性もあります。早期からの使用練習等を含めた適切な利用を指導することも大切です。

 スイッチ操作は良好であっても、機器の操作ができていない場合は、操作方法の指導も検討する必要があります。補装具として支給された意思伝達装置を利用することは社会的リハビリテーションであり、その操作方法の習得は、本来は、車いすや義足同様に更生訓練の一環と考えることもできます。利用者にとって、意思伝達装置が必要かつ有用という判断のもとで、支給していると考えますので、更生医療・訓練、訪問リハビリテーションや、地域での支援事業ITサポートセンター、関係団体の支援等の活用を検討してください。

(2) 経年変化確認(調査)

 適切な利用状態にあることが確認され、介護者との関係や、支援者の体制が良好であったとしても、利用者の身体状況の変化(障害程度の重度化)により、利用中の操作スイッチでは、操作が困難になってくる場合があります。

 スイッチの不適合により上手く操作できないから装置を利用しなくなってくるのか、他の問題から意思伝達そのものが困難であるのかを見極めた上で、前者であれば、操作スイッチの交換(修理申請)を勧めることも大切です。

 身体状況の変化は、個人差がありますので、適切な時期は一定ではありませんが、少なくとも年に1回程度の確認が妥当と考えます。対象者は年々増加しますので、まずは、支援者からの相談以外にも、市町村のケースワーカー、保健師等による状況確認が行われ、更生医療・訓練、訪問リハビリテーションや、地域での支援事業、ITサポートセンター、関係団体の支援等の活用等を図りながら、必要に応じて身更相が指導・助言していくことが妥当と考えられます。

 一部の身更相では、フォローアップとして「初期確認」を実施していますが、それに加えて「経年変化確認」の実施の在り方を検討しておくことも必要です。

(関連情報)

 スイッチ交換の申請手続きとして、修理申請を行う場合、既に利用している装置の操作上での不適合が生じることによる交換申請ですので、書類判定でも可能と考えます。

 通常の故障による同等品の再支給等の場合であれば意見書は不要かと考えますが、障害状況の変化によるスイッチ交換(変更)の場合、適合に関して再判定となります。

 このとき、原則としては、申請時には、意見書が再度必要となりますが、同種のスイッチ(例えば接点式スイッチ)の範囲内での変更であれれば、同等品の再支給等として意見書は不要と考えます。

【参考:導入検討からフォローアップの流れ】

意思伝達装置の導入検討からフォローアップの流れの表

※ 操作方法の習得に問題があり、操作ができていない場合は、操作方法の指導も検討する必要がありますが、内容により、更生医療・訓練、訪問リハビリテーション、あるいは地域での支援事業、ITサポートセンター、関係団体の支援等の活用も検討してください。仮に、これらの対応ができない場合に、業者へ対応を求めることもできますが、有償となる場合があります。

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