平成18年10月1日の障害者自立支援法の二次施行(全面施行)にともない、補装具と日常生活用具は、以下のように見直されました。
障害者自立支援法施行規則(平成18年2月28日 厚生労働省令第19号)第六条の十三では、「法(=障害者自立支援法)第五条第十九項 に規定する厚生労働省令で定める基準は、次の各号のいずれにも該当することとする。」とされています。
平成18年9月29日 厚生労働省告示第529号において、以下のようにされています。
一 用具の要件
意思伝達装置は、会話をはじめとした意思の伝達という基本的な身体機能を代替、修理基準としてスイッチ交換による個々への適用が補装具の定義の一、スイッチの固定など利用状況が定義の二、身体状態の判断の必要性が定義の三に該当するといえます。
意思伝達装置本体は、身体への適合というよりは、ソフトウェアの設定による対応となりますが、スイッチの選定等には、利用者の身体状況や生活環境等を見極めた適合が必要であり、システム全体で考えれば、身体への適合なしには利用できないといえます。
以上のことから、意思伝達装置が補装具へ移行されたことは妥当であるといえます。
補装具である意思伝達装置についても、その取扱い事業者には、車いすなど他の補装具と同様に、機器の機能、操作方法、取り扱いなどに精通し、また、利用者に対して直接納品し、機器の説明や操作確認を行い、適切な利用のための必要な保証等の責務があると考えられます。
具体的な保証内容等については、当該申請者と事業者の間で最終的に交わされる補装具の売買契約において取り決められることとなりますが、実際には、契約書まで作成していない場合も想定されます。このような場合、保証内容についての両者の認識の差異により、トラブルを生じることが懸念されます。
補装具業者の責務については、指針の補装具費の支給における代理受領の項目において、以下のようにまとめられています。
5 代理受領について
(1)代理受領の前提条件(中略)
(出展:平成18年9月29日 障発第0929006号「補装具費支給事務取扱指針について」、最終改正:平成20年3月31日 障発第0331003号)
この指針を参考に、各市町村においては、「障害者自立支援法に基づく補装具業者の登録等に関する規則」等の規則に基づき、各市町村と補装具事業者の間での契約(登録)が行われているものと考えられます。
つまり、市町村と代理受領契約を結んでいる事業者から購入した場合は、当該申請者が契約内容を意識していなくても、保証についても一定の担保がとれているといえます。
補装具費支給制度では、現物の給付ではなく、当該申請者と事業者の間で契約を取り交わし、購入(修理)に要した費用の一部を支給するものであり、費用の支給も法律上は原則償還払いとなっています。しかしながら、実際の手続を定めた規則においては、当該申請者が、適合しているかどうかの確認がないまま補装具を先に購入してしまうことがないよう、市町村への事前申請を基本としています。
そして、制度に不慣れな当該申請者に、不利益が生じないように、市町村の役割として、事業者についての情報提供があり、指針の中にもまとめられています。
3 都道府県等の役割について
(3)市町村
市町村は、補装具費支給制度の実施主体として、補装具費の支給申請に対して適切に対応できるよう、補装具の種目、名称、型式及び基本構造等について十分に把握するとともに、申請者が適切な補装具業者を選定するに当たって必要となる情報の提供に努めること。
情報提供する際には、補装具業者の経歴や実績等を勘案し、安定的かつ継続的に販売又は修理を行うことが可能であるか等について十分に検討の上行う必要があること。
(出展:平成18年9月29日 障発第0929006号「補装具費支給事務取扱指針について」、最終改正:平成20年3月31日 障発第0331003号)
この情報提供により、当該申請者が申請段階において、どの補装具事業者から購入すると良いのかの判断ができることになります。通常であれば、当該申請者は、代理受領契約を結んでいる補装具事業者の中から選択すると考えられ、その場合には補装具事業者の責務が担保されることとなります。
契約制度のもとでは、利用者個人も責任を持つことになるといえますが、利用者が、適切な保証をうけ、安心して利用し続けることが可能となるよう、行政や事業者等の適切な情報提供と、フォローアップ(⇒2.3参照)が重要です。