財団法人全日本ろうあ連盟は、全国47都道府県に傘下団体を要する全国唯一のろう者の当事者団体であり、約23,000人の会員がいます。その運動理念は、「ろう者の人権を尊重し、文化水準の向上を図り、その福祉を増進すること」です。
この理念を実現するために、1)手話言語の社会的、法的な認知と手話通訳事業の制度化、2)聴覚障害を理由とする社会的、制度的な差別の撤廃、3)聴覚障害者の社会参加と自立の推進、4)聴覚障害者の自己選択・自己決定の環境促進を掲げて、全国的なろう者による自主的、主体的な運動を展開してきました。この、連盟と全国47都道府県の傘下団体の取り組みは、1)手話の国民的な普及と手話通訳事業の発展、2)民法、医師法、道路交通法などの欠格条項の撤廃と運転免許証の獲得、3)職業選択の自由に基く専門分野を含めた就労条件の拡大、4)情報・コミュニケーション等の保証による自己選択。自己決定の環境推進等の成果をあげてきました。
今後も、国連での手話を音声言語と対応な言語として位置づけた「障害者の権利条約」の採択、発効を追い風として、日本における「手話言語の法的認知」を目指して運動を進めていきます。
全国手話通訳問題研究会(全通研)は、1974(昭和49)年に設立されました。手話学習や手話通訳学習だけではなく、耳の聞こえない方々や障害者の様々な生活問題(地域での暮らし、医療、労働、教育等)に関心を寄せる方々が会員として活動をしている任意団体です。
全国すべての都道府県に支部を持ち、10,000人を超える方々が会員になっていて、各支部毎の学習研究活動を基礎に、(財)全日本ろうあ連盟との共催で、年2回、全国レベルでの研究交流集会を開催しています。また毎年、3カ所の広域圏を対象にして、コミュニケーション、手話、手話通訳、発達、福祉制度、運動などの多彩なテーマと講師陣を揃え、「全通研学校」を開催し、沢山の方々に受講していただいています。
その他、会員を対象に、研究誌「手話通訳問題研究」を年4 回発行し、会員や広く市民を対象にして手話や手話通訳、聴覚障害者問題、障害者問題などの学習のための出版事業を行っています。
[URL]http://www.zentsuken.net/
日本手話通訳士協会は、手話通訳士の資質及び専門的技術の向上と、手話通訳制度の発展に寄与することを目的として1991(平成3)年に創立しました。手話通訳士の資格を有し、この目的に賛同した会員によって構成されます。会員数は1,563名(2009年3月30日現在)。1997年に「手話通訳士倫理綱領」を策定。事業としては、手話通訳士研修会の開催、手話通訳士研究大会の開催と研究紀要の発行、手話通訳士に関する情報の発信、手話通訳士の養成や研修への協力、手話通訳士の社会的地位を高める活動、国際交流などを行い、情報誌「翼」を発行しています。
[URL]http://www.jAsli.jp/
全国聴覚障害者情報提供施設協議会は、聴覚障害者及び関係者に対して、聴覚障害者への情報提供を行う施設及び情報支援を行う団体等と連絡連携をはかり、よりよい情報ネットワークを構築して、聴覚障害者の生活自立と社会参加並びに生活・文化の向上に寄与することを目的に2005(平成17)年4月11日に設立しました。2009(平成21)年3月1日現在全国37の聴覚障害者情報提供施設が加入しています。
当法人のホームページでは事業計画、全国の聴覚障害者情報提供施設の紹介、取り扱い書籍の紹介、全国聴覚障害者情報提供施設協議会の歴史など、聴覚障害者福祉に関する情報を提供しています。また、各情報提供施設のホームページでは、動画による手話・字幕付き情報提供も行っています。
筑波技術大学は、聴覚・視覚に障害のある学生を専門的に受け入れ教育を行っている国内唯一の高等教育機関です。学内には聴覚・視覚に障害のある学生の高等教育について研究・支援を行う「障害者高等教育研究支援センター」があり、同学に在籍している学生だけでなく、全国の障害学生およびその受け入れ大学に向けた教育的支援を行っています。このうち学外に対しては、同センター内の「支援交流室」を中心に種々の相談対応を行っている他、聴覚障害学生の支援に積極的な15大学・機関とともに日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)を構成し、日常的な情報交換・発信をするなど、障害学生支援のための全国拠点として積極的な活動を展開しています。
[URL]国立大学法人 筑波技術大学 http://www.tsukuba-tech.ac.jp/
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan) http://www.pepnet-j.org/
日本手話研究所は、1969(昭和44)年に全日本ろうあ連盟内に設置された手話法研究委員会が前身であり、現在は標準手話確定普及研究部、ろう教育研究部、外国手話研究部の研究部を有しています。その中の標準手話確定普及研究部では、聴覚障害者の社会参加の拡充に向けて、日常用語から専門用語まで幅広く新しい手話の確定を行っています。医療分野では、全日本ろうあ連盟や専門家などと連携して、医療や薬関連の手話を研究しています。日本手話研究所で確定した手話は、当研究所のウェブサイトにて順次公開しています。
[URL]社会福祉法人全国手話研修センター http://www.com-sagano.com/
日本手話研究所 http://www.com-sagano.com/
新しい手話サイト http://www.newsigns.jp/
医療関係の資格をもつ聴覚障害者がコミュニケーションに不自由することなく業務などを遂行できる社会環境の実現と、医療資格を目指す聴覚障害学生との交流や支援等を図ると共に会員相互の親睦と連携を深めることを目的として運営されています。
聴覚障害を持つ医学生が社会のニーズにこたえうる医師となり、また聴覚障害という特性を生かした医療を行える医師となるために、医学部医学科独自のカリキュラムや教育内容に適応していくための情報交換を目的として2005(平成17)年6月に設立されました。
[URL]http://adhims.blog92.fc2.com/
(委員は五十音順)
委員長 垰田 和史(国立大学法人滋賀医科大学准教授)
委員/事務局長 大杉 豊 (国立大学法人筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター准教授、社会福祉法人全国手話研修センター日本手話研究所事務局長)
委員 河原 雅浩(財団法人全日本ろうあ連盟理事)
委員 近藤 幸一(全国手話通訳問題研究会副運営委員長)
委員 柴田 浩志(特定非営利活動法人全国聴覚障害者情報提供施設協議会副理事長)
委員 白澤 麻弓(国立大学法人筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター准教授)
委員 新中 理恵子(日本手話通訳士協会理事)
事務局 小出 新一、小縣 ありす、松本 久美子