参考13 研修会資料

視覚障害者への情報提供の模索
デジタルペンを使用した墨字情報提供実証概要

社会福祉法人岐阜アソシア
担当 棚橋 公郎

1.はじめに

現在視覚障害者の日常生活における最大の障害は視覚からの「情報取得障害」であり、郵便物や薬の処方箋、チラシ広告などの身近な情報、自治体から発信される公共的情報などが自由に取得できません。

この状況に対して晴眼者(目の見えるもの)からや、パソコン、専用読み取り機器などを利用し取得していますが、晴眼者からの情報取得においては読み取り方の個別差や、発音、点字の知識などの観点から正確性、利便性の問題があり、IT機器に至っては取扱訓練等を要し、即時性としては難しい状況です。

そこで最近は、

①自立支援法の介護給付によるサービス提供を受けている方が増えていること

②ボランティアなどの活動が活発になってきていることから、晴眼者による情報取得を中心に考えて、点字・音声・拡大文字・SPコードなどでの取得容易にできる流れを作ることに主眼を置いた実証です。

2.概要

市販品である「デジタルペン」等の使用研修を行い、視覚障害者の自宅及び外出先で必要な墨字情報を記録し、センターへデータを送付する。その後データを適切な情報に変換し提供する。

3.使用機器

市販品である「デジタルペン」等を使用 テキストデータ化する。

機器 デジタルペンほか

仕様 専用ノート(紙)・専用タブレット他

4.活動の流れ

①視覚障害者・ヘルパー等にこの実証に参加依頼と募集

②それぞれに説明会及び使用研修

③活動開始およびデータ入力開始

④変換作業

⑤配布

⑥聴き取り

5.支援者(ヘルパー等)に対しての情報提供研修

①デジタルペンの使用法研修

②情報取得から入力の練習と実践

③デジタルペンに記録した情報をテキスト化の実践。

④作られたテキスト情報を基に、視覚障害当事者が必要とする情報の形に変換する。その種類として、

(ア) 合成音声変換ソフトを利用し音声化する。

(イ) 点訳ソフトを利用し点字化する。

(ウ) 各種エディターを利用して拡大文字化する

(エ) SPコード変換ソフトを利用してSPコード化する

この4種を基本に変換し、提供する。

6.視覚障害者への研修

①日常においてどのような文字情報を必要とするのか。

②使用する文字種の確認

③配布された文字情報に対する検証

7.実証

①デジタルペンの実証と選定

市販品であるデジタルペン等を利用して文字認識の正誤率などの実証。

②使用研修及び入力練習

(ア) 情報取得研修

  1. 家庭における情報提供物の記録(例:買い物のレシート・郵便物・自治会の情報)
  2. 音声化ソフトグループ・点字化グループ・拡大文字グループ・SPコードグループのチーム構成で研修する。

③入力実証(オンタイム・オフタイム入力)

(ア) 同時進行での情報変換と事前情報の情報変換

④利用実証(日常生活での入出力)

(ア) 実際のサービス提供時に文字情報提供実証

(イ) 一人あたりの文字情報提供時間は5時間までとする

⑤課題と今後まとめ

より入力しやすい機器及び訓練カリキュラムの作成。または今後予測される、視覚障害者向けコミュニケーション支援で、支援者が視覚障害者への情報提供を行うためのシステムつくり。

8.スケジュール

①2008年7月~登録者・利用者への協力依頼

②8月~10月説明会および研修(8月23日・26日の全4回)

③11月~2009年1月 実証

④1月~実証まとめ

9.報告収集

①実証における報告から墨字情報提供に関する内容の把握

②提供媒体の把握

③移動支援サービスとの関係 など

10.協力

蓼科情報株式会社
〒115-0055 東京都北区赤羽西1-7-1 パルロード3
電話 03-5963-7281

ペンテル株式会社
〒103-8538 東京都中央区日本橋小網町7-2
電話 03-5695-7229

社団法人岐阜県視覚障害者福祉協会
〒500-8804 岐阜市京町1-64
電話 058-265-2946

社会福祉法人岐阜アソシア
〒500-8815 岐阜市梅河町1-4

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