V. さらによくする点~今後にむけて~

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防災は日常的な活動

今年度は日常的なかかわりの中で、今まさに幻聴に襲われている人が安全に避難する方法を見出そうとしたが、明確な答えを探り出すことはできなかった。しかし、発達障がい傾向の強いメンバーへの情報伝達方法を学習するうちに、トータル的な支援やコミュニケーションを伸ばすことが幻聴さんの世界にいるメンバーが現実感を強めたり、普段の支援を充実させ、いざというときに安全を確保できる可能性を底上げしていることに気づいた。

いきなり幻聴の世界にいる人に対して、安全に確実に避難できるような援助や練習をすることは難しい。だからこそ、日常的なかかわりの中で、たくさんの種類と量のコミュニケーションを経験しておくことが大事なのである。

べてるでは、これからも防災プロジェクトを継続し、防災を特別ではないようにしていくことが目標である。日常的に防災活動をすることで、防災活動が非日常的なことではなく、住居MTのように当たり前のことになっていれば入っていきやすい。一緒に勉強したり研究したりすることで仲間との接点ができれば、防災を通じて現実感を取り戻すきっかけを見つけることができるかも知れないし、そういうつながりを持っていればいざというときどうすればいいか選択肢も増える。暮らしの場でも普段、お付き合いをさせていただいている地域の方たちとのコミュニケーションが広まっていけば、メンバーも地域の方も安全を確保できるようになってくる。

これからも、普段からのコミュニケーションを大切に、地域の方たちとともに防災事業に取り組む姿勢を大事にしたい。

さらによくする点(平成20年度 防災ふりかえりミーティング より)

◆避難訓練が大事とわかったので、継続して避難訓練をしたい。ひとりの場合でも動けるように確認したり、訓練したいと思った。

◆ひとりひとり避難グッズを準備していく。

◆冬期・夜間に大地震が起きた場合、睡眠時や入浴時には外に出るための手順を開発し、練習していきたい。たとえばお風呂に入っていたとき、体を拭き、体温を保つために最も早い準備(防寒アルミをまとう)には何分かかるか計っておき、逃げやすい場所に防寒具を置いておくなど。

◆助かる人が多いほど、他の人を救出できる可能性が広がるという考え方に基づき、標高10mの高さにすんでいる人たちは、避難物資(日用品やトイレットペーパーなど)を備蓄しておいたり、津波が来そうなときには海岸沿いから逃げる人の手助けや、避難物資を避難場所まで運ぶことを手伝えるように訓練していきたい。

◆ニューべてるでも、地震が起こったらいつもとおり冷静にできないかも知れない。階段もあるし靴も無造作においてあるので、怪我しないように靴をゆっくり履く練習をしたい。

◆神戸に視察にいったときに阪神淡路大地震を体験された役場職員の方が、スタッフとしてどういう風に行動したか聞いた。自動車は使えないから家族の安全を確認してから、食べ物だけを持って自分は歩いてあるけるということ。スタッフ側の法も丁寧な動きを考えていかなきゃなと思っている。

◆被災地の視察より、普段のコミュニケーションが被災時には大事になると聞いたので、できるだけ声を掛け合い、コミュニケーションを大事にしていきたい。

◆発達障がい傾向の強いメンバーや、児童デイサービス利用者たちのパワーカード作成体制を整え、DAISYチームのような作成グループを養成していく。

◆モデルとなる共同住居を定め、常用している薬や身体補補助具についての情報カードを作成する。

◆夜間、寝ているときに被災した場合、起きることができるか不安だ、幻聴さんの世界にいるメンバーにどこまで声をしたら良いか分からない。睡眠時、および幻聴の世界にいるメンバーと仲間の避難方法を考えたい。

◆津波被害の他、火災や土砂災害への備えについて、さらに具体的に考えたい。

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