障害福祉サービスの基準等については、質の高いサービスが、より適正なコストで、できるだけ多くの人に効果的・効率的に提供されるよう、利用者の状態やニーズ、サービスの機能に応じて設定することとされている。また、地域生活移行や就労支援といった新たな課題に対応して、必要となるサービス基盤の計画的な整備を図るとされている。
本調査は、障害福祉サービスの提供実態を把握し、それを分析することによって基準等に内在する制度的な課題と解決方策を検討し、今後の国における制度見直しに向けた示唆を与えることを目的として実施するものである。
本調査の調査対象及び回収状況は以下のとおりである。
母集団① | 客体数② | 抽出率 | 有効回収数③ | 回収率④ (③÷②) |
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1 施設入所支援 | 381 | 381 | 100.0% | 224 | 58.8% |
2 療養介護 | 25 | 25 | 100.0% | 16 | 64.0% |
3 生活介護 | 2,417 | 1,331 | 55.1% | 801 | 60.2% |
4 児童デイサービス | 1,358 | 1,358 | 100.0% | 880 | 64.8% |
5 短期入所 | 3,598 | 1,408 | 39.1% | 634 | 45.0% |
6 自立訓練(機能訓練) | 271 | 271 | 100.0% | 117 | 43.2% |
7 自立訓練(生活訓練) | 737 | 737 | 100.0% | 362 | 49.1% |
8 就労移行支援 | 1,068 | 1,068 | 100.0% | 608 | 56.9% |
9 就労継続支援(A型) | 261 | 261 | 100.0% | 140 | 53.6% |
10 就労継続支援(B型) | 2,192 | 1,332 | 60.8% | 750 | 56.3% |
11 共同生活支援・共同生活介護 | 14,755 | 2,936 | 19.9% | 895 | 30.5% |
合計 | 27,063 | 11,108 | - | 5,427 | 48.9% |
調査方法は発送・回収ともに郵送による。調査時期は平成20 年7月から8 月。
障害福祉サービスの実態を把握するために、11 種類の施設・サービス別の調査を実施し、その結果を取りまとめた。
11種類の障害福祉サービス別の実態について、それぞれ以下のような結果が得られた。
①施設入所支援票
経営主体は、「社会福祉法人」が73.7%で最も多く、「社会福祉事業団」が15.6%で続いていた。
施設の状況は、定員が平均58.8人、実利用者数が平均53.8人、延利用者数が平均1533.3人、平均障害程度区分が4.7であった。
入院期間は、「28日以上」が平均0.9人で最も多く、「2~8日」が平均0.7人で続いていた。6月末入院中は平均1人であった。
外泊期間は、「1日」が平均7.3人で最も多く、「2~8日」が平均5.1人で続いていた。6月末外泊中は平均2.5人であった。
夜間の勤務体制は、夜勤が平均2.3人、うち看護職員は平均0.1人であった。宿直は、平均0.7人、うち看護職員は0.1人であった。
食材料費は、「40,000~50,000円未満」が13.4%で最も多く、平均は38,417円であった。
光熱水費は、「10,000~20,000円未満」が26.8%で最も多く、「5,000~10,000円未満」が25.9%で続いていた。平均は9,194円であった。
特別な居室料、被服費、日用品費は、「0円」がそれぞれ93.3%、93.3%、83.5%で最も多かった。
②療養介護票
経営主体は、「その他の法人」が75%で最も多く、「国」が18.8%で続いていた。
施設の状況は、定員が平均74.6人、実利用者数が平均70.3人、延利用者数が平均2089.8人、平均障害程度区分が5.6であった。
入院期間は、「2~8日」が平均0.5人で最も多く、「1日」が平均0.3人で続いていた。6月末入院中は0人であった。
外泊期間は、「1日」が平均4.1人で最も多く、「2~8日」が平均1.4人で続いていた。6月末外泊中は0.8人であった。
時間帯別の実利用者数は、各時間帯とも大きな差異はみられなかったが、平日(入浴あり・入浴なし)が平均71人に対して、土日は75人であった。
常勤の職員実人員と勤務時間合計は、いずれも14時~17時が最も多く、平日(入浴あり)が平均42.3人94.8時間、平日(入浴なし)が平均40.8人89.3時間、土日が平均31.2人63.5時間であった。
非常勤の職員実人員と勤務時間合計は、いずれも11時~14時が最も多く、平日(入浴あり)が平均3.4人4.8時間、平日(入浴なし)が平均2.8人4.0時間、土日が平均1.1人1.2時間であった。
③生活介護票
経営主体は、「社会福祉法人」69.3%で最も多く、「特定非営利活動法人(NPO)」が7.5%、「社会福祉協議会」が7.2%と続いていた。
施設の状況は、定員が平均25.2人、開所日数が平均22.6日、実利用者数が平均25.3人、延利用者数が平均423.8人、平均障害程度区分が4.5であった。
主な通所の交通手段別実利用者数は、「施設・事業所による送迎」が平均15.2人で最も多く、「その他」が2.1人で続いていた。家族・介護者等の付き添いがある人数は、「自家用車」が平均3.4人で最も多く、「その他」が2.9人で続いていた。
看護職員の配置実人数の平均は、看護師(常勤)0.5人、看護師(非常勤)0.5人、准看護師(常勤)0.3人、准看護師(非常勤)0.2人であった。
④児童デイサービス票
経営主体は、「社会福祉法人」が28.2%で最も多く、「都道府県・市町村」が25.8%、「特定非営利活動法人(NPO)」が19.4%と続いていた。
施設の状況は、定員が平均17.8人、開所日数が平均21.8日、実利用者数が平均31.7人、延利用者数が平均178.7人であった。
主な通所の交通手段別実利用者数は、「自家用車」が平均20.4人で最も多く、「施設・事業所による送迎」が平均9人で続いていた。家族・介護者等の付き添いがある人数は、「自家用車」が平均19.8人で最も多く、「自転車・徒歩」が4.6人、「公共交通機関」が4.2人と続いていた。
⑤短期入所票
経営主体は、「社会福祉法人」78.2%で最も多く、「社会福祉事業団」が6.3%で続いていた。
事業所形態は、「併設型」が70.3%、「空床型」が29%、「単独型」が11.2%であった。
「単独型」の場合の併設の事業の有無は、「日中活動事業所」が49.3%で最も多く、「その他」が19.7%、「無」は9.9%であった。
施設の状況は、定員が平均5.7人、実利用者数が平均7.8人、延利用者数が平均49.5人であった。
利用期間別利用者数は、実利用者・延利用者とも「1泊2日」が最も多く、それぞれ平均1.8人、2.8人であった。
常勤の職員実人員と勤務時間合計は、いずれも「14時~17時」が最も多く、平日(入浴あり)が平均8.7人15.3時間、平日(入浴なし)が平均9.2人16.8時間、土日が平均7人12時間であった。
非常勤の職員実人員と勤務時間合計は、いずれも「11時~14時」にピークがあり、平日(入浴あり)が平均1.6人3時間、平日(入浴なし)が平均1.4人2.4時間、土日が平均0.7人1.3時間であった。
⑥自立訓練(機能訓練)票
経営主体は、「社会福祉法人」が42.7%で最も多く、「都道府県・市町村」が14.5%で続いていた。
施設の状況は、定員が平均20.6人、開所日数が平均22.1日、実利用者数が平均175.5人であった。
主な通所の交通手段別利用者数は、「施設・事業所による送迎」が平均8.3人で最も多く、「その他」が2.3人で続いていた。このうち、家族・介護者等の付き添いがある人数は、「自家用車」が平均1.7人で最も多く、「公共交通機関」が0.6人、「施設・事業所による送迎」が0.5人と続いていた。
居宅への訪問は、「有」が15.4%、「無」が82.1%であった。機能訓練指導員の実人数は、常勤では「看護師」が平均1.4人、非常勤では「理学療法士」が0.9人で最も多かった。
⑦自立訓練(生活訓練)票
経営主体は、「社会福祉法人」が58.6%で最も多く、「特定非営利法人(NPO)」が15.7%で続いていた。
施設の状況は、定員が平均12.1人、開所日数が平均22.4日、実利用者数が平均10.8人、延利用者数が平均170.9人であった。
主な通所の交通手段別実利用者数は、「施設・事業所による送迎」が平均5人で最も多く、「自転車・徒歩」が平均2人で続いていた。このうち、家族・介護者等の付き添いがある人数は、「自家用車」が2.3人で最も多く、「施設・事業所による送迎」が1.8人で続いていた。
居宅への訪問は、「有」が12.7%、「無」が80.7%であった。
通所利用者の生活訓練の実施状況で、「ほぼ全員」と「7割以上」を合わせた割合が多かったのは、「着脱衣、洗顔、身だしなみ等の身辺対処の習得訓練」50.8%、「洗濯、調理、買い物、掃除など身体健康対処の習得訓練」57.7%、「地域生活のルール、マナーの習得訓練」57.7%、「適切な人間関係の構築を図るための習得訓練」61.6%であった。
⑧就労移行支援票
経営主体は、「社会福祉法人」が72.7%で最も多く、「特定非営利法人(NPO)」が11.3%で続いていた。
施設の状況は、定員が平均14.6人、開所日数が平均22.1日、実利用者数が平均13.4人、延利用者数が平均242.9人であった。
主な通所の交通手段別実利用者数は、「公共交通機関」が平均4.2人で最も多く、「自転車・徒歩」が平均3.5人、「施設・事業所による送迎」が平均3.1人で続いていた。家族・介護者等の付き添いがある人数は、「自家用車」が平均0.9人で最も多かった。
ジョブコーチ有資格者人数は、平均0.4人であった。
入所前の場所別入所者数は、「その他施設」が平均3.3人で最も多く、「未就労」が平均2.1人で続いていた。
退所後の行き先別退所者数は、「一般就労」が平均2.5人で最も多く、「その他施設」と「未就労」が平均0.8人で続いていた。
⑨就労継続支援(A型)票
経営主体は、「社会福祉法人」が60%で最も多く、「特定非営利活動法人(NPO)」が18.6%で続いていた。
施設の状況は、定員が平均22.8名、開所日数が平均23.2日、実利用者数が平均20.9人、延利用者数が平均394.4人であった。
身体障害者手帳を持つ実利用者数は、「2級」が平均1.5人で最も多かった。療育手帳を持つ実利用者数は、「中度・B・B1・3度」が平均7.1人で最も多かった。精神障害者保健福祉手帳を持つ実利用者数は、「2級」が平均1.9人で最も多かった。
実利用者数の障害者基礎年金等級は、「1級」が平均1.6人、「2級」平均9.4人であった。
主な通所の交通手段別実利用者数は、「自転車・徒歩」が平均6.7人で最も多く、「公共交通機関」が平均6.2人で続いていた。家族・介護者等の付き添いがある人数は、「自家用車」が平均0.2人であった。
ジョブコーチ有資格者人数は、平均0.2人であった。
入所前の場所別入所者数は、「その他施設」が平均2.8人で最も多く、「未就労」が平均2.7人で続いていた。
退所後の行き先別退所者数は、「一般就労」と「その他施設」が平均0.7人で最も多く、「就労継続支援(A型事業所)」が0.6人で続いていた。
⑩就労継続支援(B型)票
経営主体は、「社会福祉法人」が58.5%で最も多く、「特定非営利活動法人」が22.8%で続いていた。
施設の状況は、定員が平均21.2人、開所日数が平均21.9日、実利用者数が平均19.4人、延利用者数が平均336.2人であった。
身体障害者手帳を持つ実利用者数は、「1級」と「2級」が平均1.0人で最も多かった。療育手帳を持つ実利用者数は、「中度・B・B1・3度」が平均5.6人で最も多かった。精神障害者
保健福祉手帳を持つ実利用者数は、「2級」が平均3.7人で最も多かった。
実利用者数の障害者基礎年季等級は、「1級」が平均3.4人、「2級」が平均8.3人であった。
主な通所の交通手段別実利用者数は、「施設・事業所による送迎」が平均5.4人で最も多く、「公共交通機関」が平均5.2人、「自転車・徒歩」が平均5.1人と続いていた。家族・介者等の付き添いがある人数は、「自家用車」が平均1.4人で最も多かった。
ジョブコーチ有資格者人数は、平均0.1人であった。
入所前の場所別入所者数は、「その他施設」が平均4.2人で最も多く、「未就労」が平均2.1人で続いていた。
退所後の行き先別退所者数は、「未就労」が平均0.7人で最も多く、「その他施設」が平均0.6人、「一般就労」が平均0.5人と続いていた。
⑪共同生活支援(ケアホーム)・共同生活介護(グループホーム票)
経営主体は、「社会福祉法人」が66.5%で最も多く、「特定非営利法人(NPO)」が15.9%で続いていた。
類型は、「共同生活介護・共同生活援助一体型」が58.5%で最も多く、「共同生活援助単独」22.9%、「共同生活介護」15.8%と続いていた。
定員は平均10人で、一体型の場合の共同生活介護の定員は平均9人であった。
実利用者数は平均9.5人で、一体型の場合の共同生活介護の実利用者数は平均7.8人であった。
延利用者数は平均222.1人で、一体型の場合の共同生活介護の延利用者数は平均186.1人であった。
障害種別・区分別延利用者数は、知的障害では、「区分2」が平均44.4人で最も多く、「区分1」が平均25.2人で続いていた。精神障害では、「非該当」が平均12.7人で最も多く、「区分2」が平均8.9人で続いていた。3障害いずれかの重複障害では、「区分4」「区分3」「区分2」が0.8人で並んでいた。
入院期間は、「28日以上」が平均0.4人で最も多かった。6月末入院中は平均1.5人であった。
外泊期間は、「1日」が平均2.9人で最も多く、「2~8日」が平均2.2人で続いていた。6月末外泊者数は平均1.5人であった。
夜間の勤務体制は、夜勤が平均0.3人、宿直が平均1.1人、夜勤・宿直者のうち併設施設の職務に従事している者が平均0.3人であった。夜勤・宿直者が巡回している共同住居の戸数は平均1.4戸であった。
夜勤・宿直者の職種は、「世話人」が40.2%で最も多く、「生活支援員」が21.6%、「バックアップ施設職員」が15.9%と続いていた。
看護師配置の有無は、「有」が8%、「無」が84.7%であった。
常勤の職員実人員と勤務時間合計は、いずれも「17時~20時」にピークがあり、平日(入浴あり)が1.2人2.6時間、平日(入浴なし)が1.2人2.2時間、土日が0.9人1.9時間であった。
食材料費は、「20,000~30,000円未満」が38.4%で最も多く、「10,000~20,000円未満」が27.8%で続いていた。平均は20,499円であった。
家賃は、「10,000~20,000円未満」が34.9%で最も多く、「20,000~30,000円未満」が27.5%で続いていた。平均は20,687円であった。
光熱水費は、「10,000~20,000円未満」が38.4%で最も多く、「5,000~10,000円未満」が35.2%で続いていた。平均は8,780円であった。
日用品費は、「0円」が45.8%で最も多く、「2,000~5,000円未満」が19.4%で続いていた。平均は1,357円であった。