2.官公需等の受発注拡大に向けて情報ツール(ホームページ)について

「工賃倍増に向けた授産事業振興調査研究事業」推進特別委員会

(1)本委員会の調査結果からの考察

 現状の官公需等の受発注において「発注側と施設側とをつないでいく仕組みがないため、発注側の担当者からは、どこの誰につなげばいいのか皆目わからないと言われており、発注側に障害者が対応可能な仕事があるにも関わらず、施設等に届かず、放置されている状況にある」との指摘があった。

 本委員会では、「授産施設・小規模作業所・就労支援事業所における事業の状況調査-商品・サービスの内容および実績調査-」の設問において、施設・事業所の側に「貴施設において積極的に売り込みを図りたい商品・サービスのセールスポイント」を一定のフォーマットの中でフリーに書いていただき、施設の側からの「受注可能な商品・サービスに関する情報の発信」の具体的内容・手法(ホームページ等情報発信ツールの開発)の検討を進めてきた。

①官公需等に積極的に売り込みを図りたい商品(1,049施設から1,816品目の回答あり)

「商品・サービス」分類 回答数(%)
1 菓子(クッキー、ケーキ、焼き菓子、ジャム等) 13.5%
2 建物・公園等の清掃作業・除草作業・管理業務 9.0%
3 その他の繊維・皮革製品(工芸品、雑貨、玩具、寝具、小物、グッズ等) 5.7%
4 パン 5.6%
5 袋詰め・封入・包装・シール貼り等 4.7%
6 郵便物の封入・封緘、仕分・発送作業(メール便事業含む) 4.2%
7 紙製品(和紙(便箋、はがき、しおり、小物)等) 3.7%
8 部品等の加工・組立(下請加工)(ネジバリ取り、機械部品の組立、箱の組立等) 3.5%
9 その他の加工食品 3.4%
10 その他の製品 3.4%
11 弁当・惣菜 3.2%
12 その他のサービス・役務の提供 3.2%
13 その他の木工製品(工芸品、玩具、生活雑貨、小物、グッズ等) 3.0%
14 花卉類(花苗、園芸、鑑賞用植物等) 2.9%
15 野菜類(芋類、きのこ類含む) 2.7%
16 陶磁器(工芸品、湯呑、花瓶等) 1.9%
17 豆加工品(豆腐、納豆等) 1.7%
18 名刺印刷 1.7%
19 クリーニング 1.5%
20 情報処理(データベース管理、ソフトウエア、インターネット関連) 1.5%
21 タオル・手ぬぐい 1.4%
22 プラスチック製品(工芸品、玩具、生活雑貨、小物、グッズ等) 1.4%
23 売店・喫茶店・レストラン等の運営 1.4%
24 茶草類(日本茶、ハーブ等) 1.2%
25 その他の印刷 1.2%
26 その他のリサイクル事業 1.2%
「商品・サービス」分類 回答数(%)
27 木製家具(机、いす等) 1.0%
28 資源回収・分別(古紙、ダンボール、ペットボトル、空き瓶・空き缶、タイヤ等) 1.0%
29 穀物類(米、小麦、大豆、とうもろこし等) 0.8%
30 製麺(うどん、そば、ラーメン等) 0.8%
31 刺しゅう・染物加工 0.8%
32 ビニール製品(ごみ袋等) 0.8%
33 普通印刷(ポスター、パンフレット、リーフレット、資料、冊子等) 0.8%
34 果物類 0.7%
35 制服(ユニフォーム)・白衣 0.5%
36 その他衣料品(軍手、手袋、靴下等含む) 0.5%
37 防災用品(防災頭巾、消火バケツ、非常食等) 0.5%
38 封筒・はがき印刷 0.5%
39 リネンサプライ 0.5%
40 その他の農作物等(林業・漁業(養殖等)含む) 0.3%
41 野菜加工品(漬物等) 0.3%
42 飲料(ジュース、お茶、コーヒー、酒類等) 0.3%
43 金属製品(工芸品、玩具、生活雑貨、小物、グッズ等) 0.3%
44 リース・レンタル 0.3%
45 畜産類(酪農、養豚、養鶏、養蜂等) 0.2%
46 肉・魚介加工品(ソーセージ、かまぼこ等) 0.2%
47 乳製品(チーズ、バター等) 0.2%
48 ウエス 0.2%
49 看板印刷 0.2%
50 生ゴミ処理 0.2%
51 テープ起こし 0.2%

 今回の調査で「官公需等に積極的に売り込みを図りたい」と回答のあった1,816品目を「商品・サービス分類コード(小区分)」に分類し、多い順に並べたものが上記の表である。

 ここで分類された項目を、ホームページ上で検索する際の「商品・サービス」の項目分類のためのベースとなるデータとして活用した。

②施設・事業所側の「官公需等に積極的に売り込みを図りたい商品・サービスのセールスポイント」の記載内容

 今回の調査では、施設・事業所の側に「貴施設において積極的に売り込みを図りたい商品・サービスのセールスポイント(200字以内)」をフリーに書いていただき、その記載内容から共通化できる部分(例えば単価、納期、注文方法など)をピックアップし、フォーマット化を試みる中で、下記の課題が明らかになった。

  • 授産施設・作業所等で取り扱っている商品・サービスは多岐にわたっており、すべての品目に共通するフォーマットを作成することには無理がある。
  • 大きく分類すると「商品の生産・加工・販売」では単価、納期、注文方法など、一定のフォーマット化が比較的図りやすいが、「サービス・役務の提供」については非常に難しく、さらなる分析を試みる必要がある。
  • 無理にフォーマット化して枠にはめ込むよりも、フリーに書いてアピールした方が、売り込みを図る上で効果があると思われるものも多く見受けられた。

(2)ホームページの設計にあたっての基本的考え方(図④「基本的骨格(案)」参照

①ホームページの運営主体:都道府県共同受注窓口組織

  • ホームページの運営において重要なことは、掲載されたデータが随時更新され、常に最新のデータが掲載されていないと、官公需等の受注においては逆効果となる。登録施設・事業所の掲載データの更新管理を行うとともに、受注・販売に効果的な掲載内容の指導までの役割が、都道府県共同受注窓口の担当者には求められる。
  • 「サービス・役務」の発注において都道府県をまたぐことはあまり想定できない。「商品・サービス」の中の記念品やグッズの選定において、全国さまざまなところから情報をとるようなことは想定できるが、各都道府県共同受注窓口組織ホームページの間のリンクを張ることにより、一定の対応が図れると思われる。

②ホームページの形態:掲示板

  • 都道府県共同受注窓口の登録施設・事業所が、自ら売り込みを図りたい商品・サービスをアピールできる「掲示板」とし、登録施設・事業所側が書き込む内容は、下記の項目の、最低限商品・サービスの概要がわかるものとし、受注側は、売上(受注)実績や納品実績なども参考に、詳細はお問い合わせ先(担当者)に問い合わせることができるものとする。

③ホームページの運用時期について

  • ホームページの運用までに、今般の「基本的骨格(案)」の内容について、来年度、既に「共同受注窓口組織」を立ち上げる条件が整っている都道府県においてモデル的に運用し、その内容と効果について更に検証を進めたい。

施設において官公需等に積極的に売り込みを図りたい商品・サービスのポイントを書いてもらうための用紙

(図④)ホームページの基本的骨格(案)①

基本的骨格(案)ホームページ例1

(図④)ホームページの基本的骨格(案)②

基本的骨格(案)ホームページ例2

(図④)ホームページの基本的骨格(案)③

基本的骨格(案)ホームページ例3

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