3.「工賃倍増に向けた授産事業振興調査研究事業」の概要

社会福祉法人 全国社会福祉協議会

1.事業実施の背景

●授産施設等への官公需等優先発注に関わる制度化の動向

○重点施策実施5か年計画(H19.12.25 障害者施策推進本部決定)

→「工賃倍増5か年計画」による福祉的就労の底上げ

[数値目標]
授産施設等の平均工賃月額12,222円(18年度)→平均工賃倍増をめざす(23年度)
[「工賃倍増5か年計画」推進のための基本的指針]
  • 都道府県は、平成19年中に「工賃倍増5か年計画」を策定する (計画の対象期間:平成19年度から平成23年度までの5か年)
  • 「工賃倍増5か年計画」に基づく取り組みの推進
    • 事業所が作成する工賃引上げ計画への助言及び目標工賃の達成状況の把握・公表
    • 事業所に対する助言等・企業的な経営手法の活用 ・企業等からの発注の促進
    • 官公需の発注等の配慮・工賃倍増5か年計画作成のネットワークづくり など

→福祉施設等における仕事の確保に向けた取り組み促進

  • 国は、福祉施設等の受注機会の増大に努めるとともに、地方公共団体等に対し、国の取り組みを踏まえた福祉施設等の受注機会の増大の推進を要請する。
  • また、企業から福祉施設等に対する発注を促進する税制を創設し、当該税制の活用を促すこと等により、障害者の仕事の確保に向けた取り組みを促進する。
[仕事の確保に向けた施策への反映]
  • 都道府県労働局・ハローワークから福祉施設等への発注等の促進(H20.3スタート)
  • 地方自治法施行令の一部改正(随意契約対象の役務への拡大)(H20.3スタート)
  • 障害者の「働く場」に対する発注促進税制の創設(H20.5スタート)
  • 新たな官公需等優先発注の議員立法の動き(ハート購入法案)

●「ハート購入法案」における検討事項

  • 政府は、障害者就労施設の受注の機会の増大を図る観点から、障害者就労施設の自主性を尊重しつつ、適切な物品等の質の確保に関する技術的支援及び訓練を行い、並びに障害者就労施設が供給する物品等の購入者等に対し必要な情報の提供を行う体制の在り方について、三年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

2.事業目的

  • 政府の「重点施策実施5か年計画」において公共調達による福祉施設の受注機会の増大が求められるなど、福祉施設における仕事の確保に向けた取り組みの推進が期待されている。
  • 平成20年3月に地方自治法施行令が改正施行され、これまでの製品から役務の提供にまで授産施設等の優先発注が拡大され、政府や地方自治体の仕事を優先発注する新法を制定する検討も始まっており、平成21年度の導入が目指されている。
  • 加えて民需についても平成20年度から授産施設等への発注促進税制がスタートする。
  • そうした動きに的確に対応し、授産施設等を利用する障害者の工賃(賃金)を向上させるシステムづくりを行うことを目的とする。

3.事業概要

1.事業の実施主体

  • 事業の実施主体は、社会福祉法人全国社会福祉協議会(以下、全社協)とする。
  • 全社協内に「工賃倍増に向けた授産事業振興調査研究事業推進特別委員会」を設置し、事業の進め方の検討、調査・研究、事業結果のとりまとめ、報告書の作成を行う。
「事業推進特別委員会」の構成団体】
(授産施設・福祉工場・就労支援事業所関係団体)
  • 社会福祉法人全国社会福祉協議会 全国社会就労センター協議会
  • 特定非営利活動法人日本セルプセンター
  • 財団法人日本知的障害者福祉協会・社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会
(小規模作業所関係団体)
  • 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会・社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会
  • きょうされん

【工賃倍増に向けた授産事業振興調査研究事業・推進特別委員会委員】※五十音順

所属 委員名 役職名・施設名
委員長(学識経験者) 朝日 雅也 埼玉県立大学教授
委員(全国精神障害者社会復帰施設協会) 尾上 義和 常務理事
〃(㈱沖ワークウェル(企業関係者)) 木村 良二 取締役社長
〃(きょうされん) 斎藤なを子 鴻沼福祉会
〃(中野区(市区町村関係者)) 篠原 文彦 経営室特命担当課長・契約担当課長
〃(熊本県(都道府県関係者)) 芝田 忠博 障がい者支援総室主幹
〃(全日本手をつなぐ育成会) 白杉 滋朗 ねっこ共働作業所
〃(全国社会就労センター協議会
/日本セルプセンター)
鈴木 清覚 ゆたか福祉会
〃(滋賀県社会就労事業振興センター) 高橋 信二 センター長
〃(日本知的障害者福祉協会) 長谷川浅美 しろがね苑
〃(全国社会就労センター協議会
/日本セルプセンター)
星野 泰啓 よるべ沼代
〃(日本身体障害者団体連合会) 森 祐司 常務理事・事務局長

2.事業の進め方(事業内容)

(1)「官公需等受注システム(仮称)」の研究・あり方の提言

→授産施設等関係団体、学識経験者等による「工賃倍増に向けた授産事業振興調査研究事業推進特別委員会」を設置し、「官公需等受注システム(仮称)」の基本的な仕組みについて研究し、その中核的役割を担う「共同受注窓口組織」のあり方について提言する。

日時 事業内容
平成20年7月31日
(第1回事業推進特別委員会)
●授産施設等への官公需等優先発注の動向について
●仕事の確保や自治体・企業等からの発注の課題について(フリーディスカッション)
平成20年9月18日
(第2回事業推進特別委員会)
●仕事の発注側からのヒアリング
①熊本県
②中野区
③滋賀県社会就労事業振興センター
④㈱沖ワークウェル
●官公需等受注システムのあり方の意見に基づく協議
平成20年10月22日
(第3回事業推進特別委員会)
●仕事の受注側からのヒアリング
①全日本手をつなぐ育成会
②日本知的障害者福祉協会
③全国精神障害者社会復帰施設協会
④全国社会就労センター協議会/日本セルプセンター
●官公需等受注システムのあり方の意見に基づく協議
平成21年1月14日
(第4回事業推進特別委員会)
●仕事の受注側からのヒアリング
⑤日本身体障害者団体連合会
⑥きょうされん
●官公需等受注システムのあり方の意見に基づく協議
●官公需等受注システム(都道府県「共同受注窓口組織」)のあり方の提言とりまとめに向けた協議(論点(案)に基づく協議)
平成21年2月17日
(第5回事業推進特別委員会)
●官公需等受注システム(都道府県「共同受注窓口組織」)のあり方の提言とりまとめに向けた協議(報告書(案)に基づく協議)
平成21年3月13日
(第6回事業推進特別委員会)
●官公需等受注システム(都道府県「共同受注窓口組織」)のあり方の提言(報告書)とりまとめ
平成21年3月末日 ●事業報告書の提出

 

(2)全国の障害者就労施設における授産事業内容等の調査・研究

→「官公需等受注システム(仮称)」に参加を希望する事業所の授産事業内容、体制、官公需・民需の実績、今後の希望作業等についての調査を実施する。

→その調査結果をふまえ、発注先と受注先とをつなぐホームページの構築を目指し、基礎的な研究を行う。

日時 事業内容
平成20年9月18日
(第2回事業推進特別委員会)
●授産事業等調査の調査票の内容について
・調査票の内容についての協議
平成20年9月~10月 ●調査票の作成
●調査票送付先データの整理(7,629件)
・旧体系事業(2,433件)
・新体系事業(3,249件)
・小規模作業所(1,947件)
平成20年10月22日
(第3回事業推進特別委員会)
●授産事業等調査の調査票の内容決定
平成20年11月28日 ●授産事業等調査の実施(発送)
平成20年12月26日 ●授産事業等調査の〆切(集計作業)
平成21年1月14日
(第4回事業推進特別委員会)
●授産事業等調査の調査結果(粗集計)の報告
平成21年2月17日
(第5回事業推進特別委員会)
●授産事業等調査の調査結果(本集計)の報告
●官公需等の受発注拡大に向けた情報ツール(ホームページ)のあり方の提言とりまとめに向けた協議
平成21年3月13日
(第6回事業推進特別委員会)
●官公需等の受発注拡大に向けた情報ツール(ホームページ)のあり方の提言(報告書)とりまとめ
平成21年3月末日 ●事業報告書の提出

 

(3)官公需等の拡大の促進

→官公需の対象となる事業については、その拡大促進のためのパンフレット・ポスターを作成する。加えて、上記構成団体を中心に都道府県内の就労支援の中核となる障害関係団体が一体となって官公需等の拡大のための全国的運動を展開するとともに、都道府県「共同受注窓口組織」の組織化に向けた具体的な取り組みを行う。

日時 事業内容
平成20年10月22日
(第3回事業推進特別委員会)
●官公需等の拡大促進のためのパンフレット・ポスター(コンセプト)の協議
平成21年1月14日
(第4回事業推進特別委員会)
●官公需等の拡大促進のためのパンフレット・ポスター(案)に基づく協議
●効果的な官公需等の拡大促進戦略の検討
平成21年2月17日
(第5回事業推進特別委員会)
●「官公需等の拡大に向けた都道府県組織対応」(官公需等の拡大に向けた全国的運動の方針)のとりまとめ
(別紙①参照)
●官公需等の拡大促進のためのパンフレット・ポスターの決定
(別紙②③参照)
平成21年3月中旬~ ●官公需等の拡大に向けた全国的運動の展開
・パンフレット・ポスターの地方自治体への持ち込み
・都道府県「共同受注窓口組織」の具体化に向けた取り組み

年月 ①「官公需等受注システム」の研究・あり方の提言 ②事業所の授産事業内容等の調査・研究 ③官公需等の拡大の促進
7月31日 第1回事業推進特別委員会の開催(7月31日)
●事業内容とその目的・方向性の確認 ●事業内容とその目的・方向性の確認 ●事業内容とその目的・方向性の確認
●仕事の発注側からの「官公需等受注システム(受注窓口組織)」のあり方に対する意見・要望
・熊本県
・中野区
・沖ワークウェル
・滋賀県社会就労事業振興センター
●授産事業等調査の調査票・たたき台の作成(各委員に事前送付)
●調査集計業務委託業者選定
●各委員所属団体への調査対象施設・事業所データの提供依頼
9月18日 第2回事業推進特別委員会の開催(9月18日)
●官公需等受注システムのあり方に対する意見等に基づく協議
(仕事の発注側からのヒアリング)
●授産事業等調査の調査票の内容協議
●調査集計業務委託業者の決定
●仕事の受注側(事業者)からの「官公需等受注システム(受注窓口組織)」のあり方に対する意見・要望
・全日本手をつなぐ育成会
・日本知的障害者福祉協会
・全国精神障害者社会復帰施設協会
・セルプ協/セルプセンター
●調査票・原案の作成
●送付先データの整理
10月22日 第3回事業推進特別委員会の開催(10月22日)
●官公需等受注システムのあり方に対する意見等に基づく協議
(仕事の受注側からのヒアリング)
●授産事業等調査の調査票の内容決定 ●官公需等の拡大促進のためのポスター・パンフレット(コンセプト)の協議
11月28日
12月26日
●仕事の受注側(事業者)からの「官公需等受注システム(受注窓口組織)」のあり方に対する意見・要望
・日本身体障害者団体連合会
・きょうされん
授産事業等調査の実施(発送)
授産産事業等調査の〆切
●官公需等の拡大促進のためのポスター・パンフレット原案の作成
1月14日 第4回事業推進特別委員会の開催(1月14日)
●仕事の受注側からのヒアリング
●官公需等受注システムのあり方の提言とりまとめに向けた協議
●調査結果(粗集計)の報告 ●官公需等の拡大促進のためのポスター・パンフレット(効果的な促進戦略の検討)
●提言たたき台の作成 ●調査結果の集計(調査報告)
●ホームページの構築に向けた提案作成
●ポスター・パンフレットのデザイン
2月17日 第5回事業推進特別委員会の開催(2月17日)
●提言とりまとめに向けた協議 ●ホームページの構築に向けた研究とりまとめの協議 ●ポスター・パンフレットの決定・作成
3月13日 第6回事業推進特別委員会の開催(3月13日)
●提言とりまとめ ●ホームページの構築に向けた研究とりまとめ ●各都道府県組織による官公需拡大に向けた持ち込み運動(3月)
3月末日 ○国庫補助事業の事業完了(厚労省に事業報告書提出(全社協))

別紙①

官公需等の拡大に向けた都道府県組織対応について
(景気後退にともなう授産施設・作業所等への影響への対応)

「工賃倍増に向けた授産事業振興調査研究事業」
事業推進特別委員会

1.趣旨

  1. ここ最近の景気後退にともない、特に自動車産業や電機関連産業に大きな影響が出てきており、これらの下請加工の作業を行っている授産施設・福祉工場・作業所等を中心に大きな影響が出ている状況にある。この状況がさらに続けば、利用者への工賃・賃金支払いが難しくなることも懸念され、障害者の「自立」を支えるための安定的な仕事を確保するため、官公需等の拡大に向けた全国的運動を展開することを目的とする。
  2. 平成20年3月の「地方自治法施行令の一部を改正する政令」の施行にともない、随意契約の対象がこれまでの製品から役務(サービス)にまで拡大された。上記の改正にともなう授産施設・作業所等で受注可能な製品・役務(サービス)の内容などをPRすることにより、授産施設・作業所等への官公需の発注拡大を図ることを目的とする。

2.運動の内容

  • 官公需の拡大促進のためのパンフレット・ポスターの各地方自治体への持ち込み
    ※地方自治体(各都道府県・市区町村)に10部ずつ持ち込み
  • (ターゲット)
    1. 地方自治体(都道府県・市区町村)の首長(都道府県知事・市区町村長)
    2. 地方自治体(都道府県・市区町村)の契約担当課の発注担当責任者
    3. 地方自治体(都道府県・市区町村)の各部署における発注担当責任者
    ⇒各団体の都道府県組織で集まり、最も効果があると思われるターゲットにパンフレット・ポスターを持ち込み、官公需の拡大をお願いする。
    (運動団体)※都道府県の就労支援の中核となる障害関係団体
    • 都道府県社会就労センター協議会・都道府県セルプセンター
    • 都道府県知的障害者福祉協会・都道府県精神障害者社会復帰施設協会
    • 都道府県身体障害者団体連合会・都道府県手をつなぐ育成会
    • きょうされん都道府県支部など
  • 上記の団体による都道府県「共同受注窓口組織」の具体化に向けた取り組み

3.スケジュール

  • 3月中旬まで パンフレット・ポスターの送付(都道府県社会就労センターに送付)
  • 3月中旬~4月 パンフレット・ポスターの各地方自治体への持ち込み
    都道府県共同受注窓口組織の具体化に向けた取り組み

別紙② ※ポスター

障害者就労施設への発注を勧めるポスター

別紙③ ※パンフレット

障害者就労施設への発注を勧めるパンフレット

障害者就労施設への発注を勧めるパンフレット

障害者就労施設への発注を勧めるパンフレット

障害者就労施設への発注を勧めるパンフレット

障害者就労施設への発注を勧めるパンフレット

障害者就労施設への発注を勧めるパンフレット

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