本調査研究の方向性、内容などについて、学識者および当事者家族から意見を得るための検討 委員会を設置した。委員は11名であり、大学教員4名、医師2名、当事者家族4名、特別支援学校教員1名から構成された。委員長には早稲田大学教育・総合科学学術院の坂爪一幸教授、副委員長には早稲田大学大学院教職研究科の山口幸一郎客員教授が就任した。(委員の氏名、所属 は資料を参照)。
全ての回が財団法人パブリックヘルスリサーチセンター会議室で開催された。当初5回の予定であったが、議事上の必要から1回を追加し合計6回の検討委員会を開催した。日程および議題は以下の通り。
表1 検討委員会日程
回次 | 日 付 | 議 題 | 出席者数 |
---|---|---|---|
1 | 8 月 9 日(土) | コールセンターの担うべき役割の検討 | 6名 |
2 | 9 月 5 日(金) | 発達障害児(者)のご家族への調査票検討 | 7名 |
3 | 10 月 10 日(金) | 発達障害児(者)のご家族、及び高次脳機能障害児(者) のご家族への調査票の内容検討 |
9名 |
4 | 10 月 31 日(金) | 効果的な調査票の配布についての検討 相談員・機関への調査票の内容検討 |
5名 |
5 | 11 月 19 日(水) | 相談員・機関への調査方法について シンポジウムの開催について |
8名 |
6 | 12 月 10 日(水) | 調査票の回収状況についての報告 シンポジウムの内容について |
4名 |
※ 詳細な議事録については、資料編を参照されたい。
※ 出席者数は検討委員のみ。事務局の人数はカウントしていない。
議論の結果、以下の点に関して意見が出た。
当計画では当初、コールセンターの設立を目標としていていたが、今年度は調査に力を注ぐべきとの意見が提出された。
委員中には4名の当事者家族が含まれていたが、それ以外にも積極的に当事者家族の意見を聴く機会を設け、より詳細な調査するべきであるとの意見があった。
従来より当事者や当事者家族に対する調査は数多存在するが、相談を受ける側に対する調査は皆無に近い。コールセンター設立のためには、相談機関の現状調査が必要との意見が出された。
二つの調査票は、事務局とワーキンググループで草案を作成し、検討委員会において質問数の調節等をしたうえで完成させた。なお、調査の詳細については次章、調査票については巻末の参考資料を参照。
調査票のデザインを専門的観点から具体的に行うべく、ワーキンググループを組織した。検討委員会の副委員長をトップに、調査の経験が豊富な心理学の研究者3人の参加を得てワーキングクループを組織した(リストについては資料の章を参照)。ワーキンググループの会議は以下のような日程で行われた。場所はいずれも財団法人パブリックヘルスリサーチセンターの会議室にお いて開かれた。
表2 ワーキンググループ会議開催実績
回次 | 日 付 | 議 題 | 出席者数 |
---|---|---|---|
1 | 8 月 6 日(土) | 調査票のデザインについて | 3名 |
2 | 8 月 20 日(金) | 同上 | 2名 |
3 | 9 月 3 日(金) | 同上 | 4名 |
4 | 9 月 17 日(金) | 同上 | 2名 |
※ 詳細な議事録については、資料編を参照。
※ 出席者数はワーキングメンバーのみ。事務局の人数はカウントしていない。
検討委員会にも4名の当事者家族が就任しているが、より幅広く意見を聞くための機会として、検討委員の発案により⌈座談会⌋が2回開催した。延べ人数で合計21名の当事者家族および検 討委員の参加を得て、現在の相談についての意見や感想ならびに調査票の内容についての回答者側からみた場合の意見を得た。さらに、調査票のて配布や回収についての依頼をした。
表3 当事者座談会の開催実績
回次 | 日 付 | 議 題 | 出席者数 |
---|---|---|---|
1 | 9 月 26 日(金) | 調査票の検討、相談支援の現状について | 11名 |
2 | 10 月 24 日(金) | 調査票の回収方法等 | 10名 |
※ 出席者には同席した検討委員の数も含む。
調査結果の報告、コールセンターシステムについての普及啓発、発達障害児(者)および高次脳 機能障害児(者)家族にとっての相談を考えるため、2009年3月末にシンポジウムを開催した。
前半は検討委員会委員長である早稲田大学教育・総合科学学術院教授の基調講演、さらに財団法人パブリックヘルスリサーチセンターよりアンケート調査の結果報告がなされた。
後半ではパネルディスカッションとして、6名の当事者家族および相談員より、現在の活動についての報告があった。続いて、フロアからの質問を受ける形でパネルディスカッションを実施した。
◯開催概要◯
多くの参加者を得、盛会の内に会を終えることができた。発達障害児(者)および高次脳機能障害児(者)当事者ならびにその家族のみならず、行政関係者、福祉関係者、教育関係者など広い分野からの参加があり、当事者家族向けのコールセンター設立に関する社会的要請の強さが推測された。また、シンポジウム後にも、今後の同様のイベントについての問い合わせや、他の地区での開催の要望があり、発達障害および高次脳機能障害についての啓発効果も得られたと考えられ た。リーフレット、プログラム、アンケートの結果は参考資料を参照。