<実施後アンケート結果より>
Q グループのご感想、ご意見があればお書きください
①小グループ
②大グループ(保育園、幼稚園)
③大グループ(地域機関)
<結果のまとめと考察>
内容については、参加者全てが、ペアトレ的保育の手法は、実際の保育で利用が可能であると考えており、より深い理解のために再度参加したいと希望する参加者や、 同じ施設のより多くの職員にも参加してほしいと感じた参加者も多かった。今後もペアトレ的保育の講義は継続していく意義があると考える。
プログラムの進行については、我々は「行動を分類する」、「ほめる」は最も大事な内容であると考えている。 今回、参加者全員の宿題を集めてコピーし、プログラム終了後にプログラム内容の理解の状況について確認したが、 「行動を分類する」では、具体的に行動をあげられていた。また、「ほめる」については、様々な場面で、多様なほめ方で、ほめるポイントをおさえながらほめている実践の様子が分かった。 初回の講義の中で、「行動を分類する」、 ほめる」の2つの項目を一度に説明することは十分可能であると思われた。
しかし、中には抽象的な表現(例:やさしくする、かっこよくする)や、 「∼しない」 という見えない行動のあげかた(例:かたづけない、おしゃべりをやめない)もみられたり、好ましくない行動と危険な行動の分け方が難しい様子がみられた。 集めた宿題の結果を用いて、ポイントをおさえながらうまくできている報告を多く紹介するとともに、修正 するべき点も説明できるように3回目の機会があると理解が深まると思われた。
「無視」については、もともと親グループでも理解、実践が難しいため2回(合計3時間)の講義時間をつくっている。 今回のような短い時間での十分な理解は難しかったと思うが、複数の具体例を説明したり、より分かりやすいロールプレイを設定する工夫も必要である。 また「無視」の実践をした上で、その運用の難しかった点についてフィードバックする機会が必要だと思われた。
「指示」については、日常的に指示を出すことはあり、予告やCCQなどは実践可能と 思われる方も多く、フィードバックの機会がなくても十分な理解は可能だと思われた。 ただし、保育園では発達段階の様々な子どもたちがいるが、発達の遅れや偏りがあり、自分では望ましい行動が分かりにくい子どもでの「指示」の必要性の大きさと、 自分の力で状況にあわせてするべき行動が分かり抽象的な表現でも理解できる定型発達の子どもでの対応の違いについて、説明をしていく必要があると思われた。
大グループでも2回目の講義の際に、数名の方に宿題の内容を発表してもらい、行動の あげ方、分ける際に迷った部分の考え方、 ほめる際のポイントなどの復習を行った。全員の宿題を検討することはできなかったが、他の施設の関わりがみることができて良かった、 という感想がみられ、 今後もできるだけ多くの参加者の意見を参加者同士で共有していただける講習会にしていきたい。
2回コース、5回コースともに参加した方からは、「2回の講座より5回の方が理解が深まり、5回を行う方が実践者が増えるのではないか」との感想がでていた。 ただし、5回コースへの参加は勤務体制や、時間の拘束もあり参加希望者は少なかったという結果もある。
一方、職員間で統一した関わりをしていただくためには、より多くの保育者にぺアトレ的保育を知ってもらうことが必要である。
今回の参加者の状況、プログラムの実践や理解の状況をふまえて、今後は以下のような講習会の形を検討したい。
10名以上の大グループでロールプレイ、宿題を含めた講習会
1回目 行動分類、ほめる の講義とロールプレイ
2回目 行動分類、ほめる の宿題の数名の検討
無視とほめる、指示の講義とロールプレイ
3回目 行動分類、ほめる の宿題の全体の検討
無視とほめる、指示 の宿題の数名の検討 指示を加えた、無視とほめる のロールプレイ
小グループ参加者のひとりの児童館職員が、プログラム終了後に、地域の児童館職員に むけた報告会を企画し、 その後、館全体でぺアトレ的保育内容を協力して実践しているとの話をして下さった。 より詳しく理解している参加者がいることで、施設内に正しい理解のもとぺアトレ的保育が広まっていきやすいと思われるため、 今回のような5回の少人数グループの開催もあわせて検討していきたい。
(1)参加者のこれまでの ほめる、叱る、しつけ、についての考え方
<実施前アンケート結果より>
Q ほめることについて心がけていることはありますか?
Q しつけや叱ることについて心がけていることはありますか?
<結果のまとめと考察>
これまでも、ほめることについては参加者の多くが意識して行っていることが分かったが、 それらの工夫のほとんどがペアレントトレーニングでの「ほめる」のコツに含まれている内容であった。
また、叱る際には、冷静に感情的にならないで落ち着いて話しかける、などCCQと同様のことを意識している人が多かった。 また、人格ではなく行動をとりあげるようにする、 というペアレントトレーニングの基本の考え方そのものをあげている。
ペアレントトレーニングは多くの保育者が日頃心がけている子どもへのかかわり方を、あらためて整理して考えることに役立つと思われる。
リーフレット作成にあたって、以下の工夫を行った。
(参考)保護者への指導
Q 保護者の育児の方法について指導、アドバイスすることはありますか?
大・小グループ(全 保育園・幼稚園 32名)
ほとんどの参加者何らかの形で育児について保護者にアドバイスをする機会があった。
グループ終了後の感想で、「保護者に子どものことをほめると、保護者の方もうれしそうにしてくれた」「保護者との面談に役立てたい」という感想があった。
保育園向けのリーフレットを、保護者への指導に役立てていただきたい。
行動を3つに分ける の例(参加者の宿題より)
好ましい行動
好ましくない行動
危険な行動
「ほめる」の例
着替え
ほめた行動 | どのようにほめたか | 子どもの反応 |
---|---|---|
くつ箱のふたを静かにしめた。 | 「くつ箱のふたを静かにしめられたね」 | 笑顔で「うん」と返事をした。 |
くつを立ってはこうとした。 | 「すごいね。もう立ってくつがはけるの!!」頭をなでる。 | 「見ててね」と嬉しそうに立ってはいてみせた。 |
ズボンに肌着シャツをしっかりしまっていた。 | 「Hちゃんは、いつも上手にしまえてすごいね。さすが!」 | 「フフン」と鼻で笑って得意顔。 |
登園すると、すぐ上ばきをはいた。 | 「早くはけたね。立ってはけるようになったんだね。」 | できるようになって、とてもうれしそう(いつも、すわりこんでなかなかはけず、母親 に早く早くといわれていた)。 |
くつを反対にはいていたのを直した。 | 「よくわかったね。自分からなおせるなんてすごいね。」 | いつも、ろくに見ずにはき、 間違えることが多く、人にいわれるといじけていたが、となりの子をほめたり、自分から直して「できたぞ」という顔をしていた。 |
くつを立って履いた。 | 「すごいね。もう立って履けるんだね。」(頭をなでる) | 「見ててね」と嬉しそうに履いた。 |
衣類をたたむ。 | 「きれいにたためたね。」「一緒に先生もやろう。」 | 肌着・ズボン・Tシャツ全てたたもうとした。そしてビニール袋に入れた! |
靴をしまう。 | 「1人でしまったの?」「きれいにそろっているね。」 | 「うん」と笑顔でうなずく。 「見て」と言う。 |
片づけの声かけで、おもちゃを もってきた。 | 「○○ちゃん、もってきてくれたの。すごーい。」と言って頭をなでた。 | にこにこしてうれしそうな顔をした。また、おもちゃをとりにいった。 |
着替えを始めた。 | 「自分でできるんだ、スゴイ!」 「ひとりでできちゃったね!!」 | 「うん、できるよ!」と言って、はじめうまくいかなくてもなげださずがんばる。 |
片付け
玩具の片づけ。 | 「すぐに片づけを始めるなんてすてきだね。」 | 沢山、片づけてくれた。 |
お片付けをした。 | 「えらい!ちゃんとブロックを箱に入れられたんだね!」 | うなづいた後、他の物のお片付けを続けた。 |
片付けを始めた。 | 「○○くんがやってくれると、早く片付くね。」 | 「持ってあげるよ」と他の人の物もやろうとする。 |
食事
野菜が食べられた。 | 「食べられるようになったんだね。お兄さんになったね。」 | 「うん、小さい時は食べられなかったけど、食べられるようになったんだ」とうれしそうにする。 |
給食を全部食べるといい、全部食べて完食。 | 「す ご い ね!!全 部 食 べ ち ゃ っ た の?」 | 「お 野 菜 も ち ゃ ん と 食 べ た よ!」と誇らしげ。 |
食べるのにあきてしまったが、 スプーンにごはんをのせようとした。 | 「自分でたべられるの。やるねぇ。」 | そのまま、口に入れた。 |
給食をきれいに食べきる。 | 「お 皿 ピ カ ピ カ だ ね。す ご い ね。」 | 「もっとおかわり」と食がすすむ。 自分で給食を食べる(いつもはほとんど介助)。 |
自分で給食を食べる(いつもはほとんど介助)。 | 「自分で食べてるんだね」「おいしい?」とニコニコ話しかける。拍手する。「上手に食べてるね。」 | 「おいしい」とニコニコしながら、大きくかむ。また、次を口へ運ぶ。 |
苦手なものを自分から食べた。 | 「きらいな物もがんばって食べて、えらいね。」 | さらに意欲的に食べ、いつもより早く完食。 |
給食を箸を使って食べようとする。 | 「Kちゃん、お箸でたべられるんだぁ、すごいね。」 | 「今 度 か ら お 箸 で が ん ば る ね」と言い、嬉しそうにしている。 |
活動
発表会、列にいてうたをうたっていた。 | 「かっこいいね。よくうたをおぼえられたね。」 | 「また、うたいたいね…。」と言う。 |
丁寧に絵を描いていた。 | 「おかお、かわいいね。上手にかけるようになったね。」 | どんどん描いて見せてくれた。 |
かけっこがはやかった(いつも、すぐに止まる)。 | 「今日は、Hちゃん早かったね。 先生、びっくりしたよ。」 |
「うん、いっぱいはしったよ」 とうれしそう。 |
製作が上手(ネギづくり)。 | 「Hちゃんの作ったネギ、すごいキレイ。ネギづくりのHちゃんだ!」「ネギおじさんだ!!」 | 「ネ ギ お じ さ ん じ ゃ な い よ ー」とますますつくる。 |
折り紙制作に取りくんだ。 | 「すごい!きれいに折れてる。頑張ってるね!」 | (苦戦しながらも) こんなの簡単だな」 |
お片付けをした。 | 「えらい!ちゃんとブロックを箱に入れられたんだね!」 | うなづいた後、他の物のお片付けを続けた。 |
折り紙制作に取りくんだ。 | 「すごい!きれいに折れてる。頑張ってるね!」 | (苦戦しながらも) こんなの簡単だな」 |
発表会での踊りの練習。 | 「沢山練習して頑張ったから、すごく上手になったね。」 | やりたがらなかった練習を、自分からやろうと言うようになった。 |
「お片付け」と言われて、すぐに使っていたおもちゃを片付ける。 | 「もう、お片付け終わったの、早いね!!」 | 他の使っていないおもちゃも片付け始めた。 |
朝の会で、お名前を呼ばれたら「ハイ」とすぐ返事をする。 | 「大きい声でお返事できたね。」 | 「そ う で し ょ !!」と い う 表 情 で、先生の方を向いていた。 |
朝の会の時、お名前を呼ばれるまで背すじを伸ばし、ちゃんと腰かけキレイな姿勢で座っている。 | 「格好よく座れてるね。」 | より背すじを伸ばし、いい姿勢を保とうとしていた。 |
玩具をしまう。 | 「お友だちのもしまってくれたの?」「気付いてくれて嬉しい。」 | 「そうだよ」と誇らしげな様子。 |
ブロックを使って、見立て遊びを友だちと上手にする。 | 「高 速 道 路 を 上 手 に 走 っ て る ね。5号線?」 | ニコニコして「池袋にいくの」と、ブロックで作った高速道路にミニカーを走らせる。 |
歌をうたう。 | 「○○君のおうたがよくきこえてうれしいな。」 | 私の方をチラチラ見ながら、歌い続ける。 |
意欲的に体操に取り組む。 | 「Kちゃん、先生のお話よくきいてたんだね。かっこよくできてるよ。」 | 「うん」とうなずいて、笑顔。 |
友達
泣いている友だちにティッシュをあげる。 | 「Rちゃん、Bちゃんが泣いていたからティッシュをあげるなんて、やさしいね」 | 笑顔で保育士に抱きついていた。 |
友だちに玩具をゆずってあげる。 | 「やさしいね。ちゃんと友だちに貸してあげられるんだ。」 | 別の玩具も貸していた。 |
けんかをした理由を自分から言えた。 | 「どうしてけんかしちゃったかいえたね。」「あやまれたんだ、えらかったね。」 | いつも人のせいにしていて、あやまれなかったが、自分で きちんと行動できたことをほめられ、やり方がわかったようで、すっきりした表情でいじけず、次の行動に移った。 |
すもうで負けても泣かなかった。 | 泣きたいのを我慢していたので すもうで負けても泣かなかった。 「がんばったね。いっしょうけんめいやって負けちゃったけど、強かったよ。もう少しだったね。」 | くやしくても我慢できたことをほめられ、ほこらしげだった。 |
散歩で車道側を歩く。 | 「小さい子、守ってあげたね。」「やさしい。」 | 「○○ぐみさんも、やってくれたんだもん」「もうすぐ、○○ぐみだからさ」と自慢げ。 |
年下児の世話をし、話し始めた。 | 「助かるわ。ありがとう。」 | もっといろいろやってあげようとする。 |
自分より小さい子を入口まで連れてきてくれた。 | 「○○ちゃん、つれてきてくれてありがとう。」 | ニコニコしながら走って、自分の部屋へ走っていった。 |
大好きなミニカーを友達が使っても、かみついたりしなかった。 | 「ミニカー使いたかったけど、お友達からとらないでがまんできたんだね。」 | 他のミニカーを探しに行った(泣きやみ)。 |
あいさつ
「おはよう」が言えた。 | 「おはようを言ってくれてうれしい。」 | 今までいうことはわかっていても、すっと通り過ぎていたが、 おはよう」が言えてとてもうれしそうであった。 |
元気よく挨拶する。 | 「すごい元気な声でビックリした!Kちゃん、上手にご挨拶できたね。」 | 笑顔で、自分のことをたくさん話しだす。 |
お昼寝
いつもは遊んでしまうが、静かに午睡時間を過ごす。 | 「かっこよくねてるね。」 | 少しの間、静かに横になっていられる。うれしそうな顔をしている。 |
目覚めた時、泣かなかった。 | 「一人で泣かないで起きたの? すごいね。」 | その後、何日も目覚め良い。うれしそう。 |
その他
手洗いのしかたについて | 「あわが沢山で、手の甲もあわだらけで、上手に洗えているね」 | 嬉しそうに「見ててね」と続きを見せてくれた。 |
トイレの手洗い | 「忘れずに手を洗って、バイキンがいなくなったね。」 | てれて、保育士を叩いて逃げ た。 |
ていねいに手を洗った。 | 「きれいに洗えてバイキンいないね。」「ピカピカだね。」 | 次回からもていねいに洗うようになる。洗った後、手を見せてくれる。 |
昼寝後、自分で布団を片付けた。 | 「自 分 で 片 付 け ら れ て え ら い ね。気持ちよく起きられたね。」 | 他児の布団の片付けも手伝う。 |
お手伝いでタオルを持ってきてくれた。 | 「Sちゃんありがとう。」「お手伝いしてくれて、とてもたすかるわ。」 | ニコニコしてほこらしげな顔をしていた。 |
歩いて登園。 | 「あれ、きょうはお姉さんみたいだね。」「じょうずに歩いてきたね。」 | 歩けることに自信を持ち、うれしそうに歩いてきた。次の日も歩いてきた。 |
テーブルを拭いた。 | 「お手伝いしてくれてありがとう。」 | 次の行動にスムーズに移れた。 |
靴(サンダル)を揃えた。 | 「次に履く人嬉しいだろうね。」 「揃 っ て い る と 気 持 ち い い よ ね。」 | 「先生履いていいよ」と言ってくれた。 揃えない友だちに知らせた。 |