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質疑応答

会場●ある県社協に勤めておりまして、今回の今日の会合を知ったんですけれども、私は個人的に大学に入り直して社会福祉の勉強をしておりまして、実際に個人的にNPO法人の、女性のシェルター機能を持ったところに話を聞きにいったりして、学生の研究活動として話を聞きに行ったんですけれども、ちょうど役職を見せていただくと、清水さんが特定非営利活動法人の、全国就労支援事業者機構の事務局長という肩書きを持っていらっしゃるんですが、私が話を聞いた限りでは、シェルター機能を持った現場の方々の職員は、このような動きがあることもご存じなかったんです。そして実際には現場が忙しくて手が足りなくて職員を募集しているというのが現状だったそうです。

社会福祉法人であれば、例えばこのような機能があるというのは、連絡とか情報も得られると思うんですけれども、忘れ去られているのか、NPO法人は、そのように実際県からとか市町村とか、委託されてシェルター機能を持っているんだというお話、内密のお話も聞けたんですけれども、NPO法人には、いったいどういうふうに、この地域生活定着支援センターができた場合に、連絡機能を持つか。委託されて受け入れてNPO法人とどのようにつながっていくかを、どのようにお考えになっているか、ぜひともお伺いしたいと思います。

清水●私からでございますが、様々なNPO法人がありますけれども、私の知っているいろいろ支援させていただいている限りでも、ホームレスの方たちの支援をしてくれているところもいくつもあります。ところがそのホームレスの方たちの中、そこで受け入れている方の中には、少年院を出て親もいなかったという人もいますし、満期釈放という方もいます。あるいは、その更生保護施設に一旦帰ったんだけど、委託期限が切れた後、その地域生活をそこに行って送る。そこで支援を受けている人、様々な人がいます。ただそういう人たちが、私ども更生保護事業の委託先としてやっているかというと、そうではなくて、生活保護等につないで、いろいろ支援をしているということだと思います。ただやっぱり最近そういうところの中で、更生保護事業として関わろうというようなNPOも出てきていらっしゃいます。

ちょっと話がそれますけれども、さっき藤本先生がおっしゃった、ハーフウェイハウスと言うような更生保護事業と関連しますけれども、どうも刑事司法の世界というのは、どうしても新しいものを考えると箱物を考え、別なものを作るという、更生保護施設の1つの「箱」としてやっているんですけれども、社会復帰というのは、地域生活支援と言うか、地域の中に居場所を、いろんな社会的な関係性の中で生きていくということだと思いますし、そういう意味で、NPOの方たちが、そういう支援に関わってきていただけるのは大変ありがたい。という場をNPOは持っているわけじゃなくて、アパートとか空き家とか等を使ってやっておられることが多いと思いますし、むしろそちらのほうが非常に可能性のある、個人的には、これからはそういうところがあると思うんです。20人の定員の更生保護施設を、今、25人とか30人という施設にするというのを、地域でご理解いただいていくというのは、ものすごく大変です。新しくつくるというのは本当に大変です。地域の中に、やっぱり空き家があったりアパートを確保できたりして、地域の中に移行していく場所があれば、20人施設も、30人支援できるという、それはやっぱり地域の力に結びついていくということがあるというふうに思います。

あまりお答えにならないんですけれども、私なりの考えということでお答えさせていただきました。

田島●NPO法人は、我々がもっとも大切にするところです。社会福祉事業のところはもうご承知しれませんけれど、第1種事業を除いた事業、すなわち今、自立支援法で言うところ、ほとんど第2種事業ですから。ですから、今ありとあらゆる事業、今回の定着支援センターの受け皿になるような事業は相当できますので、NPOは今から主力になってくるだろうと思います。

社会福祉法人ででかい施設がありますけれども、ほとんど期待してない。それは何故かと言うと、入所型施設のほうが多いから。要するにNPOのほうが小回りだから地域の中でしっかりつくっていただければと思います。

それから今、清水先生おっしゃったように、更生保護のところ、つまり法務省サイドでも今、近頃は検討されていると伺っています。ですから、両方からNPOは、志の持った人が集まって、どんどんそういうのをつくっていったらそういう重要な受け皿になると思います。他に質問ありませんか?

会場●私、大阪からまいりました。精神保健福祉士の東と申します。いろんな、小さい看板、いくつかあるんですが、今、大阪地方裁判所のほうで、精神保健福祉士をしておりまして、博士論文のほうで保護観察の社会的調整官の地域生活支援についてということで今準備しておりまして、今日の先生方の、似たような領域で、精神的なご活動を、ぜひ勉強させていただきたいと思いまして、今日は大阪からまいりました。

酒井先生に2つほどご質問をさせていただきたいと思います。1つ目は、お話とプリントでパワーポイントを頂戴しているのですが、大きなページの2ページ目の右上、タイトルが「仮釈放」の有効性(ソフトランディング)ということで、そのところで、措置入所という仕組みに変わる導入方法ということで、お書きになられていて、お話を伺っております。障害者自立支援法ということで、措置から契約ということで、介護保険も、高齢者の部分でも、そういうふうになってきておりますが、措置という部分も残っておりますし、どういう意味で先生がおっしゃりたかったのか。多分こうかなというのはあるんですが、もしかしたら間違っていたら申し訳ないので、もう少し具体的に詳しく、ご説明を頂戴したいと思います。

それから2点目なんですが、同じテーマで、重度の障害者で、判断能力が乏しいとか、契約という意味がどういうことなのか。契約書の中身がご理解いただけない障害者の方、いらっしゃいますよね。そういう部分で、このパワーポイントとお話頂戴しました部分で、「措置」「契約」ということがございますが、契約という部分で、成年後見制度ですとか、自立支援事業ですね。昔の名称が、地域生活でしたか、19年度から名称、変わっておりますが、そのへんの2つの制度との関係はいかがなものかをお聞きしたいと思います。以上です。

酒井●はい。まずは措置入所の説明なんですけれども、行政処分の、本人が言うまでもなく、意思とかではなくて、行政処分という形で施設に入所させられた。そこで本人の意思等が、あまり入る余地がなかった。

こういった、全部が全部、知的障害の方というのは契約になじまないという方ではないと思うんですけれども、しかし契約を拒否するとか、あるいは無断外出、あるいは反発等で、なかなか素直に施設入所というのを受け入れられない。そういった方を、ある入口のところは、仮出所という公権力が難しい場合は、入所措置でしばらく、なじむまでは1つの導入方法として活用をしていければと。ただ我々が心配するのは、本人の意識がそうであっても、刑務所に入ってるから、そういうことを言うのかもしれない。だからただ利用をした後に本人の気分というのがガラッと変わってしまう。ここだともういたくないと。ある意味では施設の利用が本当に好ましいんだけれども、本人の気持ちが変わってしまって、そこから契約が成り立っていかない。そういった意味で、わりと強制権のある入所措置というのをしばらくの間、入所する制度をしばらく少し変えないといけないと思います。

田島●それでは、次の質問。

会場●山梨からまいりました。私どものグループホーム・ケアホームの利用者二十数名いらっしゃいますが、うち5名が触法あるいは委託保護ということになっています。問題は、入っていらっしゃるときには、ほとんど触法の情報がない。狭い地域ですから、噂話ではある。ご本人がしゃべるまで待つ、半年後からようやくゴソゴソ言い始める。それでようやくその後対応を考えるということにならざるを得ない。そうすると、中にはやっぱり失敗する例が出てきてしまう。最初から分かっていれば、もう少し違う支援の仕方があったと思われるケースがあるんですけれども、そういう場合に、今現在の話ですと、これから出ていらっしゃる人たちに対する対応としてはある程度見えたわけですが、現に既に出てしまっている人たち、きちんと罪を償って出ていらっしゃっている人たち、その人たちへの支援はいったいどうするのかということについて、なかなか見えてきにくいということがありまして、質問させていただきたい。

田島●そこはごめんなさいです。本当にご苦労されているというのは十分分かります。遡ってくると、本当に、私なんかも100人位いるんです。けれども、これは新しい仕組みをつくるときには、ルールとして、今から始めるところからにさせて下さい。申し訳ありません。ただ今後、そういう人を受けられる、優先して、優良として○をつけておきます。定着支援センターのところで。それで、ぜひお願いしますという形になる。よろしいでしょうか。

会場●福岡保護観察所で保護観察官をやっています。先程から、更生保護施設をシェルターとして活用したいというお話がありまして、現に私、更生保護施設を担当しておりまして、非常に関心もありますし、逆に危惧も非常に持っております。なぜかと言うと、やはり現在の更生保護施設の職員体制を含めて、ハード面も含めて、非常に劣悪だということで、これからもかなり予算的な措置がなされないと、実際に施設を運営されている法人のほうが、なかなかこれに踏み切れないのかなというのが、率直な私の感想でして、現に私が担当している更生保護施設でも、こういった触法の方々を受け入れることについてやや躊躇しているというのが、おそらく全国の現場の多くの考え方じゃないかなというふうに考えています。

しかし、今、先ほどからお話を聞きまして、やはり今まで満期だった人を仮釈放のレールに乗っけて、それでうまく福祉につなげていくということはすばらしい方向だと思いますので、これまでなかなか施設の方々が、そういう情報を得られなくて、ご苦労されているということがご説明でもありましたので、正に保護観察官がやっているリスク管理であるとか、アセスメントの方法などを、施設の方々と共有していく、また一緒に勉強していくような場があれば、もっとすばらしいものになるんじゃないかなというふうに私も考えました。もしそういうような、一緒にそういう、罪を犯した方たちである犯罪者処遇というところを勉強していくような場を設けていただければいいなというふうな、私は個人的な考えです。これ何か先生方のご意見があれば伺いたいなと思っております。

清水●今、前向きなご意見をいただいたので、私はコメントするまでもないんですけれども、更生保護施設の体制のことをあまり議論しても仕方がないというのも、現にそういう課題はあるということですけれども。何て言うんですかね、更生保護施設が、独自の1つの領域として新しいことをやるというのではなくて、やっぱり、新しい、つないでいくシステムというか、制度をつくって、その中で、どういう役割を果たしていくことができるかと。ですから更生保護施設だけでできる、できないの議論じゃなくて、全体のつないでいく仕組みの中で、何が今できる、もうちょっとこういかないとできないという、それは一人ひとりの支援とか受け入れをしながら、やっぱり議論していくことで、先のことをしていかなくちゃいけないなと思っているのですけれども。それよりも、今日ここにいらっしゃる方、おそらくおっしゃらないけれども思っていると思うのですが、実際に、障害を持っている方たち、高齢者を含めて、随分受け入れをしているんですよね。だいぶご苦労して、地域の福祉事務所とも非常に良い連携をして協力をいただいて、かなりいろんな経験を積んできているわけ。だからこそ、そのつなぎの役割を一定の範囲でできるのではないか。でもそこに終の棲家にするんじゃないし、それではやっぱり自立支援にはならないということ、それはもう現にあるわけです。やっぱり全体の中でやっていくと。そのために今おっしゃった通り、福祉の方々が、入所型の施設で受け入れるのでは仕方がないというお話の中で、やっぱり地域へ返すということを、お1人お1人、長いこと時間をかけてやった。全国から来た人を全国に返すということを、本当に1人に対して手間暇かけて地域に返すということをされますけれども、そこは入所型の施設として、移行受け入れをするのではないと。そのためには3か月から長くても2年以内に、こういうケアプラン立てて、こういう段階を踏んで地域に移行するための処遇をしていくんだということを私、伺ってびっくりしました。更生保護施設ではとてもできないこと。でもそういうことを我々は、我々と言うか、更生保護の人間としては、やっぱり福祉施設の現場に行って、あるいは専門の方にお話を聞いて、やっぱり学ぶ必要があると思います。私たちはつなごうとする先がこういうところだと。こういうところに彼らをつないでいくためには、我々が今できること、何をしたらいいのか、あるいは、その福祉の人たちに入ってきていただいて、どういうことを助言をし、福祉につないでいくかという、やっぱり我々自身がもっとつながって学ぶところからいかないと、支援を受ける人たちをつなぐことはできない。そういうことを今、まさにおっしゃったんだと思います。合わせた感じでご協力していただきたいと思います。

田島●では最後に1人。

会場●私も保護観察官をしていまして、妻は知的障害者更生相談所の派遣ということで、罪を犯した障害者の問題に夫婦で関心があって、今のところ、夫婦で、司法と福祉の連携はとれているかなと思うんですけれども、もう1つ関心があるのは発達障害者の問題に関心があって。今日、話題それてしまうかもしれませんが。

田島さんも発達障害のことを先ほどからおっしゃっていましたけれども。IQが80くらいあって知的に障害がない軽度発達障害の方だと、本当に福祉サービスというのはなかなか使えない。支援体制が整わない。やっぱりIQのほうが出たりしまして。障害の方の生活支援ということで今後研究を進めていくことがあるのかなと、先生方の軽度発達障害についてのご意見を伺いたいと思います。

田島●発達障害者については、やっと今、障害者自立支援法の中で、何とか対応をしましょうと、福祉の世界もやっと今、取り組もうとしているところです。実際は学校教育の中で今、調査が進んできて、ある程度数がいて、まず学童・児童の中で、そういう処遇をしようかというところですね。実際の対応はなかなかまだ、不充分です。福祉のほう、今からやろう、取り組みましょうというところが少しずつ出てくるだろうと。この我々の研究事業と別のところでやられています。発達障害については非常に難しい。具体的に受け入れの仕方が難しいんだと思います。

ただ発達障害と言っても、いろんな人がいて、知的障害者というのもいろんな場合がありますので、その性質によって受け入れられるもの、どういう場合、どこでどうやって受け止められるかって、今、そういう論点が出てきたときに、定着支援センターのところが相当しっかり探すということになる。そういう意味から、定着支援センターの果たす役割みたいなところに入ってくる。今すぐ対応できる準備は、まだほとんどできていないというのが実情だと思います。

これは精神障害者の人たちのところもそうです。それから他のいろんな発達をテストして、相当広い範囲内で今回は定着支援センターに期待していただいている部分も相当ありますけれど、先ほど申し上げたように、まだまだスタートする時はよちよち歩きですので、無理をしないということだと思います。無理はできない。したいけどできないということです。ぜひ皆さまのお力を借りて、1つ1つの事例を積み上げて、それでそれがいろんな人たちが受けられるようにしていきたい。

最後に、私のほうからひと言申し上げたいのは、今、お話があったように、ご質問ありましたように、いろんな関係をもった人たちが支援の必要があると言うか、沢山おられるということに、やっと気づきました。やっと気づいたということです。さあ、それをどういう具合にきちんと組み立ててやっていくかというのは、今からです。

ですから、ここでいろんな、皆さまの専門の部分や、それぞれやっておられるところで、お力添えいただいて充実させていきたい。特に先ほどからあった更生保護施設、それと、もう1つは保護観察所の、観察官の皆さんのところには、ぜひお力添えいただきたい。と言うのは、やはりそこのところが、罪を犯して外に出て行くときの水先案内になっていただければありがたい。福祉サイドも出迎えにはまいりますけれども、福祉サイドは実は非常に苦手なところがたくさんあります。それからあまり当てにならない、一生懸命やろうという人たちも相当少しずつ増えてきていますけれども、まだ気づかない。あるいはまだできない。まだ、あるいはもっとその前の段階で、入所型施設の中に13万人もの知的障害者が今なおいるんです。口先でいろいろなことを言ってみたって、実際は、罪を犯していない、ごく、本当に障害を持った人のことさえ、今、十分我々が、その人たちを支援できている状況ではありません。

そういう中で、しかしそれでも気づいたわけですから、そういう罪を犯した人たちも含めて一生懸命やりたいという人たちが、今、少しずつ増えてきて輪が広がっている。今日も多分、ここにおいでの方は、半分ぐらい、そういう福祉と関係をもった方においでいただいている。こういうことをぜひご理解をいただいて、期待をしながら、しかし現実はやっぱり1つずつ1つずつ積み上げていきたいという具合に思っています。ぜひ皆さまのお力添えをいただきたい。

それではこれで終わらせていただきたいと思います。

司会●パネラーの皆さん、大変お疲れ様でした。会場の皆さん、5名のパネラーの皆さんに、もう一度拍手をお願いいたします。

以上をもちまして、厚生労働科学研究「罪を犯した障害者の地域生活支援に関する研究」の研究成果発表会を終了させていただきます。

長時間のご清聴、まことにありがとうございました。

以上