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平成18年度厚生労働科学研究
障害保健福祉総合研究成果発表会報告書

フロアからのコメント

武田 はい。もっと会場とやりとりがあるのかなと思って、今のお話いただいた人にこんな話とか書いていたのですが、ちょっと時間もちょっとしかないので、要点だけ。

まず、土屋さんがお話していた、介護保険のネットワークと寄り添っていくという、土屋さんは控え目な性格なので「寄り添う」と言ったのですが、逆に障害者福祉が高齢者福祉に何か貢献できることというのは山盛りあるのではないかと私は思います。土屋さん自身もそう思っていらっしゃると思うのですけれど、よく考えたら高齢者福祉というのは今でこそ福祉といえば高齢者みたいな感じですけれども、実は歴史的にはそんなに古くないわけですよね。そういうことで考えると、よく考えると今福祉の基本理念になっているたとえばノーマライゼーションにしてもリハビリテーションにしても自立にしても、ほとんど障害者福祉の領域から出てきた理論であったり考え方、手法であったりすると思うんですね。そういう意味では、やはり高齢者福祉と一緒にやっていく部分というところで、十分に貢献もしながら一緒にやれたら、それは広がっていく部分というのはあるのかな、と思います。

もう一つ、芝野さんのお父さんが寂しい話という話で谷口さんは言っていましたけれども、一つやはり公的なサービス、使える部分は使ってもちろんいいし、権利だし、そこが足りない前提の中でやはりそれはすべきだなと思います。ただ、今日私に与えられたテーマのエンパワメントを広げていくという視点からみると、やはりそこの、それで使ったからナシでなくて、さらに広げるためにつなげていくみたいな部分というのがぜひまだまだ頑張っていただかなきゃいけないところがあるのかな、というところ。

それと、お名前がわからなかったのですが、四国の道後温泉のお話の方で、私は十津川に調査に入ったときに、お年寄りの話もいっぱい聞いてきたのですけれど、そのお年寄りの口から、いやあ、ケンちゃんがいい子でという話がずっと出てきて。別のところに行くとまた、話をいろいろしていくと「ケンちゃんといういい若い者がいて」みたいな話が出て、そのケンちゃんって誰だろうという話で、ケンちゃんにすごい興味をもって「ケンちゃんって誰ですか?」という話をしていたのですね。ケンちゃんのやっている活動、最後にたどり着いて、ガソリンスタンドで働いているお兄ちゃん、経営者の息子だったのです。どんな活動をやっているかと聞くと、十津川で野菜をみんな畑で作っているのだけれども、それを農協まで持っていくことができないために、売れないまま置いてある野菜という。自分で食べる分は食べて、それ以外は廃棄する。そこにケンちゃんが目をつけて、それを集めて回るんですよね。それで販売所で販売して、その利益を生産者の方にお渡しする。少し手数料みたいなものを取る。それはケンちゃんが私腹を肥やすためにやっているわけではなくて、それで今度ケンちゃんは、いずれ生のものというのはやはりキープしておくのが難しいし、観光客がきたときには新鮮な野菜として売れるけれども、土日は売れるけれども平日は難しい。それを加工して、加工食品にする工場を作るための資金として貯めている活動をしているんですね。

そんなことで、障害をもっている人ではないけれども、地域の村おこしみたいな部分と、それから何かそこも工夫が、一工夫ではなくて二工夫、三工夫いるのかもしれませんけれども、やはり多領域の部分と一緒にやっていく工夫みたいなものを是非考えられたらすごくいいなあという、なかなか簡単ではないのでどこもできていないのだとは思うのですが、でも道後温泉ってたぶんネームバリューとしてある部分を抱えている、そこのへんで何か可能性があるのかな、と思いながらお聞きしていました。

あと、奈良の県の障害福祉課の方がおっしゃっていたところで、確かにキーパーソンを養成するというのは確かに難しいやろうなあ、実際言うとやるとはぜんぜん違うだろうと思います。ただ、地域をいろいろ回っている中で、キーパーソンっているんですよね。ただ、そのキーパーソンの方がもうちょっと力をつけていただいたらということで言うと、最初の一人のキーパーソンを作るという考え方も大事かもわからないけれども、既にいるキーパーソンの方が力をつけていけるような養成の仕組みとか、あるいはもしかしたら、一人で頑張っているキーパーソンの方のサポートをする人を養成するみたいな、そういう視点まで少し広げると、もうちょっと可能性が出てくるのかな、というところが感じたりしました。

ちょっとぜんぜんまとまりませんけれど、ありがとうございます。(拍手)

谷口 ありがとうございました。

今日この会場には高齢者関係の京都府の介護保険課の室長さんも来ていただいていますので、また協力できることがあれば、お願いいたします。ありがとうございます。

それでは最後に、小田島さんのから、もうまとめてください。

小田島 今フロアの方々からもいくつかコメントがあって、いくつかポイントがあるなあと思って聞いていました。3~4点ほど挙げたいと思います。

まず一つは、我々3人からも共通した話ですが、公助、互助、共助というものについて、これは永田さんの図でおわかりのように、それぞれに特徴があって、当事者をとりまく環境の中でうまく機能して行くということが非常に求められる。どこかが突出すればいいという話ではない。これが一つのキーワードだろうと。ただしそれは、その地域の実情によって違い、やはり小規模な地域と都会では違うだろうと考えられるところです。しかし普遍的にあるのはどうも、その人の行動範囲の中の、要するに互助の範囲でのつながりがかなり必要かなと思う点です。

2つ目のポイントとしては、特に相談支援に当たっている人たち、ケアマネージメント、障害者のケアマネージメントを担うという面で考えると、郡山の事例でも思ったのですが、共助とか公助のところはすごくコーディネートが上手く行くのですよね。それは資源がはっきりしているし、「そのニーズだったらこのサービスがあるよ」ってできるからですよね。ところが、互助の部分での支援というものが、ちょっと、なんて言うのだろう、郡山が疎かにしているというわけではないのですけれども、今まで我々が地域という見方の中で、不足していたかなという気がしております。

だけど、先ほど武田さんも言いましたけれども、キーマンはいないのかというと、今回の事例で面白いのは、たとえば和泉村でしたか、郵便配達のおじさんが実は民生委員を兼ねておりいろいろ情報交換のキーマンになっているとかですね。あるいは渋谷で出てきたように、ある1人にとっての靴屋のおやじさんとかマンションの管理人、こういう人がキーマンであったりするのですね。そうすると、核になる人を育てるというのは、永田さんのお話でも、公的なケアマネージャーを核とするということのみではないのだろうと思うのです。奈良県の方がおっしゃっていた、県が養成するというのは、最初に何か国が実施するサービス管理責任者とかいろいろ養成するじゃないですか。ああいうふうに地域の実態とはちょっと違うところでこういう資質が必要だというやり方ではなくて、実は我々が今回調査して思ったのは、地域の中をみると、何かキーマンいるのですね。そうすると、そのキーマンというのはどういう人なのか、どういう成り立ちでどういうことをやっているから地域の中で、認知されているのか、というところを養成計画を作成する前に、そういうキーマンの動きというものを分析する必要がすごくあるという点を今回感じたところなのですね。

それから、3つ目のポイントとしては、これも先ほど永田さんからあった話ですが、介護保険のケアマネージャーが専門家であるがために返って、関与してくるとやりづらいよという話があったと思うのですけれども、実は障害のケアマネージメントの体制整備を平成7、8年から国でもずいぶんやってきて、障害者自立支援法になってちょっと色が変わったという感もありますが、その中でニーズ優先ということをかなり言ってきていたのですね。そして障害者ケアマネージメントの重要な役割として、地域の個々の利用者の方に寄り添って、その人のニーズから始まり、結果として地域の資源創設に至るまでの過程を担うこととされてきていたのですが、障害者自立支援法施行以降障害者の相談支援事業所のケアマネージメントに従事する方の業務が認定作業とか支給決定、事務請求手続きというのにかなり業務を割かれているのですね。つまり何かというと、本来は障害者ケアマネージメントで語られるケアマネージャーの存在というのは共助や互助のところにかなり活躍する人だったはずが、公助の下請けになっているという状況にあるということです。これは先ほどの京都の方からも指摘があったように、公助が伸びればいいという話ではないというところにすごく共通していると思うのです。どうも相談支援事業が公助の下請け化してくる。そうすると介護保険のケアマネージャーの課題として挙げられる業務の形骸化という課題を同じように、障害者の相談支援事業も持つことになる。いや、介護保険が形骸化しているというわけではないですよ、業務的にみると形骸化しやすい立場になりかねないなという危惧を感じているとご理解ください。

先ほど言ったように、相談支援を担う方は地域の中のキーマンだと思うんですね。であればその人たちが、共助でも互助でも、それぞれに合ったアプローチというものをしていくことが必要だと思います。郡山のケースで見たように、地域の中で孤立している人たちに対して、近隣の人たちに支援者として何ができるかということを模索し、形にしていくことも互助としての支援だと思うのです。そういう視点を持って、共助、互助、公助、それぞれの良さ、悪さというものを頭に置きながら、それぞれに合った支援と、本人のニーズを合わせていくという作業をかなり意識的にやっていく必要が今後はあるかな、と思います。それをしていかないと、本当に公助の「下請け」になっていく。そしてその「下請け」が、障害のケアマネージメントだというふうになってしまうと、かなり危ないなという感想を持っているところであります。

最後に、この研究を始めるときに、主任研究者の谷口さんが大変共助と互助にこだわったんですよね。実は我々も以前は共助と互助ってかなり近接したものだと思って考えていたんですよ。でも、今回の研究で、我々の説明である程度ご理解いただいたかと思いますが、共助と互助というのはかなり違うというふうに私たちは思っております。そこは明確にしたうえで、先ほど言いましたように、共助、互助に適した支援、つまり、どのようなニーズや課題を共助で、どのようなニーズや課題を互助でと、それぞれの枠組みの性格を把握しながら支援を考えていくことが重要だと思うのです。その上で、今後地域の障害者の方に寄り添っていただけるとありがたいかなと思います。その辺はまだ今日の説明では不十分だと思いますので、報告書等をご覧いただいて、ご質問があればいただければと思います。

こんなまとめでいかがでしょうか。

谷口 本当にありがとうございました。

時間がすぎております。ここを5時までに明け渡さないと怒られるんですよね、司会の徳竹さん。そうしたら最後にちょっと一言だけで終わりたいと思っています。

地域でのコーディネーターがすごく大事だと思うということであります。地域のコーディネーター、今日はずっとその地域の核というのが大事になってきています。私たち数人で今、八方美人の会というのを作っております。やはり嫌われないことが大事なのではないかなって思います。地域でやはり嫌われるとネットワークというのができません。好かれなくてもいいから嫌われない。そして、自分が便利な人間であるということがすごく重要なのではないかな、と思います。フットワークの軽い、なんでも嫌がらない、これが地域を作っていく核になるのではないかな、と私は思っています。

本来ならば私たち4人で全国を回って、地域力の活性化というのをやっていきたいと私は思っているのですが、嫌でしょうけれども、私は思っている。

どこかでこんなことをやってほしいというのがありましたら、またお声をかけていただければ、私たちは飛んで行きたいと思っておりますので、またよろしくお願いします。

今日は長時間、本当にありがとうございました。本当にありがとうございました。終わりたいと思います。(拍手)

司会 シンポジスト、ならびにコーディネーターの方々、お疲れさまでした。ありがとうございます。

さまざまな地域があり、そしてその地域ごとの実情や特徴があるかと思いますが、そこに人が生活していることには変わりないと思います。この研究発表会、皆様がそれぞれ地域に、何か持ち帰れたら、何かのお役に立てれば、開催した意義があるかと思います。

壇上の講師の方々、そして突然のご指名にも関わらずご協力いただきました方々、そして本日お集まりいただきました会場の皆様方、また発表会の運営を支えていただきましたスタッフの方々、ありがとうございました。この場をお借りしまして、御礼申し上げたいと思います。

それでは皆様に、それぞれに拍手で終わりたいと思いますので、どうも本日はありがとうございました。

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