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平成19年度厚生労働科学研究費補助金障害保健福祉総合研究推進事業報告書

スイスにおける精神障害の普及啓発とその日本への援用

野口 博文
社団法人 日本精神保健福祉連盟

構成:

Ⅰ はじめに
Ⅱ スイスにおける普及啓発の焦点
Ⅲ 普及啓発活動の取り組みに向けて―ニーズアセスメント―
Ⅳ 精神科医療機関における普及啓発の取り組み
Ⅴ 関連する研究とその評価
Ⅵ 医療従事者への教育システム―チューリッヒ・エンパワメントプログラム(Zucher Empowerment program)―
Ⅶ 周辺諸国の状況
Ⅷ 専門職を対象とした普及活動の実践
Ⅸ 普及啓発ガイドライン
Ⅹ おわりに
謝辞
参考文献

資料 医療従事者への教育ツール(チューリッヒ大学Beate Schulze先生より提供)

1)バーンアウトの予防とは
2)バーンアウトの理解
3)対処の戦略

Ⅰ はじめに

現在我が国においては、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の実現に向け、国、都道府県、市町村、関係団体等の連携による普及啓発の組織的・戦略的推進の方法を明らかにし、効果的な手法を開発するとともに、普及啓発の効果測定の方法を明らかにすることが求められている。

厚生労働科学研究費補助金障害保健福祉総合研究事業「精神障害者の正しい理解を図る取り組みの組織的推進に関する研究」では、精神疾患や精神障害者についての普及啓発を、国民運動として広く推進するために取り組んでいる。本研究においては、精神障害の性質や治療法に対する関心を高め、偏見や差別を撤廃するための活動を促進しているところであるが、これをより効果的に行うために、普及啓発に積極的に取り組んでいる諸外国での情報収集、および先行的な研究者とのネットワーキングを行うことが不可欠となっている。

今般、平成19年度厚生労働科学研究費補助金障害保健福祉総合研究事業日本人研究者派遣事業により派遣先としたスイス連邦共和国は、精神保健福祉の普及啓発にかかる各種事業で先行している国のひとつであり、本研究班で検討を進めている普及啓発の組織的・戦略的推進に関する指針の構築、およびそのツールやマニュアル作りへ寄与する情報を収集した。また、研究の中長期的課題である普及啓発の効果測定に向けた展望を得、総合的な普及啓発システムを開発する契機を得ることができた。

さらに、派遣先および周辺の国や地方自治体において、普及啓発に取り組む担当者等と事業レベルでの意見交換を行ったことによって、我が国の行政現場や精神保健医療福祉関係団体等との交流を一層促進することができた。