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シンポジウムII
「地域で暮らすために何ができるか」
明生病院における取組から

医療法人健生会明生病院
医長 秋田 宏弥

秋田● 熊本からまいりました明生病院の秋田と申します。私のコンピューターの調子悪くて、蓑輪先生に資料を送ったのですけども、うまく送れませんで、資料と言えないようなものしか準備してありませんので、申し訳ありませんがモニターの方を注目していただきたいと思います。では着席をお許しください。

「保証人のいない患者さんの住居確保の取り組み」ということで今日は話させていただきますが、私、明生病院に行きましたのが平成15年です。この4~5年のことを考えてみますと、保証人協会も相手にしてくれない、保証人が全くないようなかなり問題のある患者さんでも、住居確保に苦労したことが一度もありません。それがなぜ今、このようにできているのかということが、これまでの取り組みをお話しすることでご理解いただけるかなと思います。

蓑輪先生もおっしゃいましたように、住居は足りているんですね。しかも大家さんはどんどん高齢化している。そこで精神病院がこんなふうに働きかけるだけで、住居確保は実に簡単にできてしまっているという現実があるように私は思っています。

明生病院がどういう病院かということからまずお話しします。234床の医療法人、民間病院です。普通の精神科病院でございます。昨今の精神科のアメニティの改善のムーブメントがありまして、18年5月に全面の建て替えをしております。医療観察法の指定通院病院ということで、今、6名通院中。常時10名程度の措置入院患者がいらっしゃる。ということはかなり問題のある患者さんをたくさん抱えている病院でして、研修医の間では、建て替え前は明生病院は3Kだったですね。きつい、汚い、危険という。本当に研修医が来たがらない病院の代表でありました。

年間大体3人ぐらい、新規の措置入院を受けています。触法患者とかアルコールの難治例とかをたくさん持っていまして、僕の外来患者も前科10犯という人はざらにいます。病棟を見ますと、過去に殺人とか強盗をした人がいっぱいいますし。

急性期の病棟を1つ、それから一般病棟2つと療養病棟2つを持っています。検察庁が近いこともあって、簡易鑑定をよく頼まれます。本鑑定も昨年1例やっています。大体毎年このくらいはやっていると思います。

病院自体は6階建てのきれいな病院です。遊びにきていただけるとうれしいです。案内して回るのが大好きです。病院は熊本市を望む高台の上にありまして、正面に見える山が夏目漱石の「草枕」の舞台になった立田山というところです。市の北半分がここから見渡せる感じです。東の方を見ますと阿蘇の噴煙が見えますし、右の方にも非常に形のいい山がたくさん並んでいます。私どもの病院の6階の上の屋上に立ちますと、ご案内しますとたいていの方が、おお! と声を上げられます。なかなかきれいな景色がございます。

病院の裏手は、熊本市は森の都と言われまして割と森が多いんですけども、病院の裏側に回りますとトトロの森みたいになっています。すごい木がうっそうと繁りまして。この道はあとで言いますグループホームへの近道になっている道です。明生病院が今、関与しております患者住宅が7つあります。グループホーム、これは精神保健福祉法でいうグループホームですね。補助金をもらっています。それから共同住居と集団住居。これは私たちが勝手にこのように呼んでいるだけでして、あえて区別すれば共同住居というのはうちの患者さんが占領している住宅です。もともと一般のアパートだったんですけれども。集団住居はまだ混在の状況で、5人以上入っているのを集団住居と呼ぶようにしました。

まず「大窪荘」。これが平成9年4月に認可されたグループホームです。当時私は県立の病院で働いていまして、やはりグループホームの立ち上げに関わっていました。本当に同じ時期に県が認可を始めて、同じ時期に計画をして進めて、明生病院は平成9年4月には認可を受けてしまいましたが、私らはその後、延々と地域の住民への説明会みたいなこと、自治会への説明会みたいなことを真夜中まで何回も何回もさせられました。本当に疲労困憊してしまったのをよく記憶しています。当時の院長、実はその院長がこの4月に急逝してしまったんですけども、当時の院長に、「先生のところは何で簡単に認可を受けられたんですか?」と聞いたら、「何もせんだった、せなんと思うこと自体が偏見たい」と言うだけで、勝手に無断でつくったとのことでした。

実際はもともと古いアパートだったんですね。かなり人が入りにくくなっていた状況で、1Kの風呂・トイレ付き2万8,000円という、熊本でもかなり安い水準にあるんですけども、ちゃんとした住居です。ただ、なかなか人が入らない。この地区は非常に旧住人型の地区、古くから住んでいる方ばかりの地区で、アパートが全くないわけではありませんけれども、あと1つか2つ、同じ地区にあるぐらいで、ほとんどの住人が旧住人で、実はこの家は、町内会長さんの隣の家で、家主さんの妹さんは地区の民生委員もされていると。そういうこともありましたんで、家主さんに許可をとって町内会長さんが話をつけて、妹さんに話をしておけばよかろうということで、見切り発車をしてしまったんですね。実は翌年、大事件がありまして存亡の危機に立つんですけれども、何とか地域に溶け込みまして受け入れていただきました。非常に歓迎されているという状態です。

病院が秋の文化祭と夏祭りと春の演芸会というのをやっているのですけども、この大窪地区から必ず参加がありまして、出演もされるしお客さんもたくさん来られます。つい先日、文化祭をやりましたときに、ものすごいたくさん来ていただきまして、病院の催し物などにも非常によく参加していただけるようになっています。

院内共同住居で「やすらぎ」というのを、病院の建て替えに合わせましてつくりました。これは最初のグループホームができた後、もう一度グループホームをいこうかみたいな話になったんですけど、県から、同じ病院で二つは認めないと言われて、一回計画が流れました。ただ、病院としてはやはり、患者さんにはいろんなステージの住居が要るのではないかという考え方がありました。うんと世話の届くところから、あまり目の届かないところまで、何とか保証人なしで入れる住居をいろんな形で確保したいという考えの中で、どうせなら病院でつくっちゃおうという話になりまして、敷地内に新築をしました。形としては個人の方に建てていただいて、管理のお手伝いをしていると言う形ですけど。

普通のアパートですが、オール電化です。冷蔵庫、エアコン、洗濯機、ベッド、照明器具は標準装備で、家賃が3万1,000円。熊本の生活保護の生活住宅基準が3万1,000円です。ここは一応3年間で出ていただくお約束になっていまして、だから3年の間に貯金をして少しお金を貯めていただこうと。その分、ちょっと安くしますよという考え方で家賃を設定しています。世話人を置いていまして、病院の職員が毎日見にいきます。

共同住居「のぞみ荘」。これも共同住居となっていますけれども、これはもともと一般のアパートでした。うちの住宅の確保はここから始まったと言ってもいいかもしれません。平成11年に入居を開始したんですが、そのときにはアルコール依存症の方3人と、統合失調症の方の古い方を1人、4人を何とか、保証人もいないけれど住宅を探したいということで、ここにお願いしようとしたのですが、当然、保証人もいないので断られました。じゃどうするかということで、私たち、というか院長がやったのですけど、今は死んでいますが院長がやったのが、個人で保証人になってやるとやり始めたんです。「保証人がおらんなら俺がなるたい!」みたいなことを言い始めて。まあ院長ちょっと待ちなさいよという話になりまして。最初は、病院で保証人に立つ代わりに保険に入って、安全を保つことはできないだろうかという模索をしたんですけれども、病院でそういう保険に入りますと、見積もってもらいましたら莫大な額の保険になってしまったんですね。個人で入ると年間3万かそこらの保険で済んだんです。じゃ、病院で払うけん個人で入ろうという形で、最初に4人を入れました。そしたら家賃も滞りなくちゃんと払うし、ちょっと問題があるときにはすぐ病院に入れて面倒を見てましたので、これはよかたい、と。かえってよかばいという話になりまして、徐々に徐々に受け入れていただけるようになりました。当初は全部院長が保証人でしたけれども、10人過ぎてからは保証人の話が出なくなりました。原則保証人なしでやろうということで、その代わり一生懸命お世話をしました。

原則、ここに入ってらっしゃる方は全員、金銭管理です。「のぞみ荘」というのはあまり病状のよくない方を入れるグループホームと位置づけていまして、生活保護あるいは年金をもらっている方がほとんどで、とにかく家賃分はもらってからあとをお渡しするという形の金銭管理をする。あるいは2週間に1回お金をお渡しする形の金銭管理、いろんなパターンがあります。週に2回渡さなければいけない人も中にはいますけれども。そういう形で金銭管理をしまして、家賃はちゃんと払う。そうするともう不動産屋さん、大家さんは大喜びなんですね。去年まで2人ほど一般の方が入ってらっしゃったんですけど、家賃は滞るわ、ゴミの分別はしないわで、よっぽど僕らの患者さんの方がいいという話になりまして、結局今はもう、患者さんたちが今21名が入っていますけれど、独占する形になりました。うち5室ぐらいはエアコンが壊れていたりして使用不能な状態で、1室はトライルーム(try room)として病院が借り上げています。月々の家賃3万円を払いまして、いつも空いているんです。そこの空いている部屋は、先ほどからNPO法人の方の発表にもありましたような、生活訓練、外泊訓練に利用させてもらっています。患者さんに1泊1,000円を負担してもらって使っていますから、当然赤字ですけれども、でも患者さんにとってはすごいいい体験になるみたいです。実際、能力が大分、病院にいるときとは違った能力が見えたり、あるいは逆にこの人はものすごくできない人だということを思い知らされたり、いろんなことがわかります。

病院の中で退院準備プログラムという既成のプログラムがあるのですけれども、それに手を加えた独自のプログラムを使って、ゴミの分別であるとか買い物であるとか、公共機関の利用のやり方であるとか、いろんなことをトレーニングするプログラムに、常時10人ぐらいがのっています。そういうプログラムの中でこの外泊の訓練も位置づけられていまして、いろんなことをやります。

ここに入ってらっしゃる方はデイケアに原則全員参加。アルコールの方とか覚せい剤の方も入っていまして、一応、院内断酒会と地域断酒会が病院で行われますので、それには必ず参加していただくという条件になっています。院内のミーティング今ちょっと休会中ですけれども、原則は参加するということになっています。

そういうことがうまくいき始めて、うちの患者さんが入ってもそんなに危険なことはない、何かあったときにも病院が面倒を見てくれるということを、大家さんが理解し、不動産屋さんもそういうことでということで。では次に何をしたかというと、家族用の住居を探しました。「のぞみ荘」に隣接してあり、同じく辻産業という企業が持っているビルで、2DKのビルがあります。そこには単身ではない患者さんのお部屋を借りることができます。現在、10室あるうちの3室をうちが使っています。夫婦ものが2人、親子が1人、兄弟が1人。すべて統合失調症の方です。全員、保証人がいませんで、保証人協会に頼んでも断られたところですけれども、立派に住居を確保できています。

そういうことから徐々に発展していきまして、少子・高齢化は熊本もかなり進んでいます。学生用につくったしゃれたマンションが、だんだん空きができるようになってきたんですね。そこがたまたま、「のぞみ荘」と同じ不動産屋さんが扱っていましたので、「うちの患者を入れてもらえないだろうか、責任持つけん」という話で、保証人なしで入れてくれるということになりました。

京町という場所が、熊本ではすごい高級住宅地の一つです。地方裁判所があり、検察庁があり、それから国立大学の教育学部付属小学校・中学校があり、ものすごい高級住宅地が周囲にいっぱいあります。そういうところに建っているマンションで、非常にきれいです。私もよかったら住みたいなと思うところです。バスの利便性もすごくいいんですよね。時間帯によって1時間に10本以上バスが、マンションからほんの200mの場所から乗れまして、散歩をしようと思えば熊本城まで10分。本当にいいところです。そこに最初1人入って、2人入ってということで、今8人入っています。

ただここに関してはかなりこちらで選んで入れています。何か起こしたら大変だということですね。

これ(UU京町台)も同じです。学生用につくられたマンションで同じような構造をしています。これも3万2,000円ギリギリの家賃で設定していただきまして、同じように今9人入っています。

そこからは少し離れますが、これ(メゾンド・アルフィー)は病院のすぐ近くになるんですけれども、やはり学生用につくったマンション。ユニットバス・トイレがついて4畳半と6畳がついて3万2,000円。ここもなかなかいいところです。これは病院から駐車場を挟んだ非常にいい建設に立地しています。病棟から手を振ると向こうも手を振るんです。そういう挨拶をよくしています。今9名、入所しています。そのうちの5人が保証人なしで入れてもらっています。

これだけの7つの住所で、全部で68人。うち保証人なしは35人。保証人がある方は保証人を立てていただきます。保証人がない方は何とかお願いをして入れていただくという形で、本当にこの5年ぐらいは住居確保に苦労したことはあまりありません。

非常にPSWが頑張って働いてくれたということが大いにあります。特に大家さんとの人間関係、信頼関係に関しては、PSWがしょっちゅう顔つなぎをしてくれたおかげででき上がったというところもあります。

保証人があれば一般のアパートにまず入っていただくのですけれども、うちでうまくやれているのは、やはり段階的に住居を分けているのですね。病状に応じて住居を使い分けています。非常に病状が悪くても対応できる「のぞみ荘」。これは病院のすぐ向かい側にありまして、たくさん患者さんが入っていて、何かあればすぐ教えてくれます。何かあればものの1分で走っていけます。そういう状況で何とか対応すれば、おおよそやれている。

「大窪荘」、「やすらぎ」という、どちらも3年ですけれども、3年間限定の、卒業する方をより質の高い住宅に回す。もちろん「のぞみ荘」の卒業者も高い住宅に回すという形で、「のぞみ荘」の方が、周りの人に「俺は今度、京町台に入ったぞ」みたいに自慢をしたりするんですね。そうするとかなり目標もできますしね。常時、「のぞみ荘」の準備群が病棟の中には10人ぐらいいて、「のぞみ荘」から引っ越してという形で、そういうことをやる。

頻回に訪問をして病状悪化を早めに察知する。週一は必ず行きますし、PSWは不定期に行きます。基本的には「のぞみ荘」の場合には毎日デイケアに来ますので、デイケアから情報が必ずいろいろ上がってきます。少しおかしなことを言ったとか、ちょっと様子がおかしかった、顔つきが変だったみたいなことも、朝のミーティングで必ず主治医に伝えられます。外来の患者、PSW、OTと情報を共有するようにしています。

「大窪荘」は特にそうなのですが、地域との濃密な交流をするということを努力してやっています。病院自体がそういう形でやっていますので、大家さんたちを催し物ごとに招待すると、必ず来賓として来てくださいます。

そういう形での関係がうまくいっているのですが、しかしやはりいろいろまずいこともたくさん起こりました。一番危機だったのが、平成10年7月。これはグループホームをつくってまだわずか1年ちょっとのときだったんですけれども、この頃までは主治医の指示一つで入れたんですね。亡くなった院長が、これは紹介されて来た患者さんで、3ヶ月ぐらい入院していて、もう問題なかろうということで、本当は過去に性犯罪を犯していたんですけれども、そのことが紹介状にも書いてなかったし、こっちも全く情報として得ていなかったんですね。そういう方だったんですけれども、3ヶ月入院させて問題なかったし、保証人も全然おらんけん、「大窪荘」に入れようやという形で、ちょうど「大窪荘」の空きができたときに入れられたんです。「大窪荘」の裏側にもう一つ、民間のきれいなアパートがあるんですけど、そこに住んでいた女性に対して、ナイフで脅してケガもさせて、強姦しようとしたという事件がありました。その患者さんは、これも縁かなと思うんですけれども、被害者の女性は県立病院の私のところに来られまして、PTSDとして治療をしばらくしていましたけれども。

そういうことがありまして、それからやはり、これは危機管理を徹底しましょうということで、グループホーム共同住居等管理運営委員会というのを設けました。これには、院長、主治医、担当看護師、外来看護師長、デイケア主任、これは心理士になりますけど、OT主任、担当PSWで成ります。非常にフランクに対等な立場で意見を言い合っています。この前なんか、私の患者さんを共同住居の「やすらぎ」に入れようとしたんですけれども、随分いろいろ入院中に暴力事件を起こしたことがあったので、「ちょっと待った」というのが2回ぐらいかかりまして、結局4週間ぐらい待たされました。主治医の意見がなかなか通らなくなりました。しかし、非常にOT、PSWとかが積極的に関与するようになってくれて、とてもよかったと思っています。

これはつい最近あったことです。9月のことなんですが、「のぞみ荘」の孤独死。死後5日ぐらいはどうも経っていたんですね。デイケアがあるときにはいろいろ情報が来るのですけれども、連休中に発生して、5日間、連休がありましたよね、ちょうどあのときでした。このときはたまたま熊本では何もニュースがなくて、みんなテレビ局も暇だったものだから取材に来たんですよ。しばらく大事でした。本当に大変でした。

患者さん間では、姿が見えないぞ、変だぞみたいな声はちょっと上がっていたらしいんですね。2日ぐらい以内には上がっていたみたいで。ただそれが病院職員の耳に届かず、デイケアもなかったもので聞こえてこなかった。今後は、そういうことがあったらすぐにここに教えてくれということで、管理当直の電話番号を「大窪荘」にも知らせて窓口をはっきりさせました。

この方はどうも、メタボで心臓病も抱えていて亡くなったので、この件を機会に、健康への関心が患者さんに非常に高まりまして、むしろとてもいい結果が得られました。メタボクラブとか、お散歩クラブとかできましたし、健診みたいなもの、人間ドックみたいなものをみんな受けてくれました。

それから、事件とまではいかなかったんですけれども、「ラフォーレ京町」という高級住宅地にあるところで、立てこもり事件が起こりました。訪問時にドアをだんだん開けなくなってきまして、声だけしか聞こえない。だんだん通院も途絶えまして、2ヶ月間になった。それでも週に1回訪問を続けていたんですけれども、その上、家賃も払わない、ガスも止められると。電気だけはかろうじて続けてもらっていたみたいですけれども、訪問したときに返事もしなくなってきて、これはいよいよヤバいんじゃないかという話になって、合い鍵でドアを開けるんですけれども、うまく工夫して、もともとスキルの高い方だったのですけれども、ドア栓をうまくねじると開かなくなるんです。本当ならガバッと開いてニッパーでバチッと切って侵入してということは、前も何回かしたことがあるので、そういうことをするんですけれども、このときばかりはそれもできない。困ったな、どうしようということで、外から見ますと、3階ですけれどベランダの戸が少し開いていて、鍵がかかっていないのが確認できたんです。それで、これはしようがないということで、隣の住人は熊大の学生さんだったのですけれども、事情を話しまして、「ちょっとすいません、隣の人間がうちの患者なんですけど」みたいな話をして、ベランダに入れていただきまして、ベランダを外から伝って。昔、私は山登りをしていましたので、そういうのは得意なんです。まあ侵入しましてね。昏迷状態で憔悴し切っていて、ちょっと危なかったですね。あと一日、二日遅れたらヤバかったかもしれません。

「ラフォーレ京町」でそんなことが起これば、多分もう大家さんは入れてくれないでしょうし、うちの患者はダメということになったかもしれないなと。非常にヒヤッとした事件でした。

まとめますと、この10年間、保証人のいない患者さんの住宅確保に努め、保証人のいない方だけで35人の住宅を今、確保しております。実際に保証人なしでも住宅確保に困らない状況ができています。

とりあえず確実な家賃支払いを保証し、問題が生じた際に迅速な対応を行うことによって、不動産屋さんとか大家さんとの信頼関係を築くことが重要です。先ほど竹島先生もおっしゃっていましたけれども、もうそのとおりだと思うんですね。蓑輪先生がおっしゃるように、住居は足りている。大家さんは年をとって困っている。そこに確実な家賃支払いの保証と、問題が生じたときの迅速な対応ということ、非常に信頼関係が築ければ、住宅確保は難しくなくなるんじゃないかと思っています。これは熊本だけが特別なのではないだろうなと思います。

私たちの病院は非常に多職種の仲のいい病院でして、よその病院からよく言われるんです。「あんたたちは仲よかな」ってよく言われます。病院旅行に行きますと4班ぐらいに分かれていくんですけれども、ほとんど全員が参加します。文化祭とか演芸会なんかでも、大体どの職種も必ず発表します。この間も文化祭で、医局員で「アルプスの少女ハイジ」というのをやりましてね。エコカーのコマーシャルのインターネットでやっているのをひねってやってみました。えらく患者さんたちには好評でした。そういう多職種で仲よくやっている。いざ往診というときには、私、屈強な看護師2名、外来看護師、PSWなどがバッとチームを組んで、すぐに往診に出たりすることができます。そういう多職種の連携が、こういう状況をつくるのに有用だったなと感じています。

以上です。ご清聴ありがとうございました。