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第2部 シンポジウム 武田 康晴
資料(スライド13~スライド16・図・表)

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「自立支援協議会」聞き取り調査

調査実施日 08.01.29./02.22/ 08.18./10.01. 調査地域 A県B圏域(A市、B市、C町)  調査協力者 M氏  調査者 武田康晴

カテゴリー 質問 内容
自立支援協議会の状況   A県B圏域は2市1町からなるが、市町村の地域自立支援協議会については、2市1町とも設置されているが充分に機能していない。B圏域としては、「B圏域障害児者総合支援ネットワーク」(以下、「圏域ネット」)を設置し実質的な自立支援協議会として機能している。今回の調査では、圏域の自立支援協議会を対象として、圏域の総合相談支援センター『S』のジェネラルマネジャー(GM)であるM氏にインタビューを実施した。尚、M氏はA市にある知的障害者入所更生施設の施設長でもある。
設立までの経緯 ・設立された年月日を教えてください H18年10月26日、障害者自立支援法下で圏域内に設置された各種会議をつなぐ広域的相談支援ネットワークの構築を企図し、「B圏域障害児者相談支援のあり方検討会議」の第1回会議が開催された。H19年3月6日の第3回「あり方検討会議」で「圏域ネット」の設立が決定され、H19年4月1日より圏域の自立支援協議会としてスタートした。
  ・設立時や現在の運営上、誰かキーマンがいれば教えてください 上記「あり方検討会議」のメンバー構成は、2市各2名、1町1名、圏域保健所2名、圏域教育局1名、特別支援学校高等部1名、総合相談支援センター3名、地域生活支援センター2名、地域療育等支援事業(当時)1名である。設立時・現在において、キーマンは総合相談支援センターGMのM氏である。総合相談支援センターを設置する際、A県としては圏域内の有力者であるY氏に全て任せる計画であったが、M氏とY氏が相談した結果、Y氏はセンター長、M氏は現場の責任者としてGMとなった経緯がある。行政については、設立時・現在において、2市1町に温度差・専門性の差はあるものの一貫して1メンバーとして連携している。
  ・どのような人や団体が主導集団となって、動き始めましたか 自治体・保健所・教育局を含む「あり方検討会議」が連携しながら、総合相談支援センター主導で動き始めた。
  ・設立のきっかけとして既存ネットワークの有無とその活用がありましたか。その形成過程はどのようなものでしたか 総合相談視線センター『S』は、A県アクションプラン「障害者自立支援計画」に基づいて設立された。「あり方検討会議」の前段で『S』の設立は大きなきっかけとなっている。圏域内の既存ネットワークには、相談機関会議・ケアマネジメント推進会議・圏域教育局管内特別支援連携協議会・圏域地域発達支援障害支援会議・A市「施設ネットワーク会議」(社会福祉法人3・NPO法人2・自治体・圏域保健所)などがあり、それが素地として有効に機能した。
  ・その時に、行政サイドは、どのような役割を果たしましたか 県が総合相談支援センター『S』を設立した。その後、「あり方検討会」「圏域ネット」の設立に至るまで、保健所・2市1町の行政は常に1メンバーとして連携している。M氏は「行政は出し惜しみなく協力し、それなくして現在の状況はあり得なかった」と話していた。
  ・委託相談支援事業者は、どのような役割にありましたか 利用者の声の窓口として、設立時・現在において「圏域ネット」運営委員会の中心メンバーとして機能している。
  ・自立支援協議会を設立する上で参考になった、あるいは参考にした事例はありますか。 S県の事例を全面的に参考にし、複数回視察して部会を含め説明を受けシステム形成のモデルとしたほか、ケアマネジメント推進会議・発達障害研修などの講師として招き話を聞いた。
自立支援協議会の構造(運営コストを含む) ・全体の仕組みを描いた図等があれば入手する。 ネットワーク図の提供を受けた。
  ・会議運営費などのコストを教えてください 総合相談視線センター『S』の委託費(他事業も含め年総額500万円)で運営している。運営委員会・専門部会等への参加は、メンバーが所属する機関・団体の業務内となっており、交通費などは支出していない。
全体会、各委員会、部会等の名称と役割 ・どのような団体や個人が組織化されていますか 運営委員会には「あり方検討会議」のメンバーにオープン参加の隣接市にある視覚障害者団体が不定期に参加する。専門部会には、発達障害児支援担当者会議・管内特別支援連携協議会・B圏域障害者就労連絡会・精神保健部会があり、余暇支援部会が設置予定である。尚、運営委員会・専門部会とも障害当事者・当事者団体の参加はない。
  ・どの部門にどのようなメンバー(機関のトップ、実務者レベル等)が存在していますか 運営委員会の担当者(メンバー)は実務者レベルが中心である。専門部会の構成は、運営委員会メンバーが全員兼務するほか、それに加え就労連絡会にはハローワーク、商工会(A市1団体、B市3団体、C町3団体)が、精神保健部会には医療機関(医師、PSW、臨床心理士の3名)、精神障害者作業所(2箇所各1名)が参加している。尚、商工会からの参加メンバーは特定の担当者ではなく、B市・C町が複数団体なのは市町村合併の影響で、各1団体ずつに統合される予定である。
ただし、Y氏・M氏が参加しているため「(圏域の施設・事業所の中には)2大法人の施設長が動かしていると考えている人もいるのでは…」とのことであった。
  ・またその選定基準や決定の過程はどのようなものでしたか。 既存ネットワークの担当者が中心になっているが、運営委員会メンバーについては、総合相談支援センターが「この人」と考える人材にめぼしをつけて依頼した。
  ・全体会・部会における方向性を共有する作業はありましたか(それぞれの目的・目標・キーワード等)。 行政を含む運営委員会の会議により、専門部会の内容をはじめ全ての方向性を合議により決定している。また、専門部会の全てに運営委員が参加しているため方向性にブレはないが、部会によっては、ハローワーク、就労・生活支援センター、医療機関にも意見を求めている。
参加団体 ・委員会・部会ごとに整理 運営委員会の参加団体は、2市1町、圏域保健所、圏域教育局、特別支援学校高等部、総合相談支援センター、相談支援センター2箇所、重症心身障害児者施設(地域療育等支援事業)である。専門部会は、運営委員会メンバーが全ての部会を兼務するほか、それに加え就労連絡会にはハローワーク・商工会(A市1団体、B市3団体、C町3団体)が、精神保健部会には医療機関1箇所・精神障害者作業所2箇所である。
  ・運営の主軸は、どのような機関になっていますか(現状と問題点) 総合相談支援センター『S』が主軸である。
2市1町の地域自立支援協議会の動きが鈍いこと、ニーズ把握・ネットワークの強さ・事業所の専門性・行政の意識などの面で圏域内に差があることが課題である。
  ・各団体のかかわりの姿勢を教えてください(積極的か?消極的か) 「圏域ネット」参加団体は、みな進んで協力している。M氏は「この圏域は、行政を含め良心的」との印象をもっていた。
ただし、社会福祉協議会は「顔が見えない」、圏域に存在する事業所には「閉鎖的な施設」もあり課題である。
設立から現在までの活動状況 ・各委員会部会などの活動回数および回数の妥当性は? 運営会議は月1回、運営会議後に各部会を必要に応じて開催している。開催頻度に関しては、前者・後者ともに妥当であると考えている。また、そのほかに、総合相談支援センターと相談支援センターは、月1回の相談支援会議を開催している。
  ・運営会議は、定期的に開催されていますか(できない理由) 月1回のペースで定期的に開催されている。
  ・全体会議は、年に何回くらい開催されていますか(できない理由) 年1回の開催だが、運営会議では年2回の開催が必要だとの意見もある。開催できない原因としては、事務局を担う『S』のマンパワー不足が挙げられた。
  ・各会議への参加状況はどうですか 開催日時の調整を綿密に行っているため、全ての会議について参加は非常に良好である。
  ・会議での具体的な議題、内容はどんなものがありますか。何か記憶にあるエピソードがあれば教えてください。 余暇支援部会の設立必要性に関する運営会の議論、専門医療機関が1箇所しかない弊害に関する精神保健部会の議論が印象に残っている。
※)尚、「もしも詳しく必要であれば議事録から後日抽出します」とのことであった。
  ・個別支援会議は行っていますか(協議会設立以前から開催していたのであれば、いつ頃からどのような形態で行っていたかも聞取る。) 必要に応じて、行政、学校、施設、相談支援センター等が参加して、個別支援会議を以前から行っている。
調査日も、障害福祉課、子ども福祉課、家庭児童相談室、府児相、教育局、学校と総合相談支援センターが個別支援会議が開催される予定になっていた。
  ・行政や他機関との連携は取れていますか。 自治体、保健所、学校、事業所等との連携は取れているが、圏域内には「温度差がある」とのことであった。
自立支援協議会設置による効果 ・社会資源の開発もしくは検討がなされていますか。新しく開発された資源はありますか 就労支援に関してサポーター養成を行っている。また、各専門部会で、新たな社会資源の発掘とネットワーク拡大が議論されている。
新たな資源開発ではないが、ニーズの発掘に関する相談機能の充実、相談員のスキルアップに取り組み、少しずつ力量がついてきた。
  ・特に個別支援会議などによって、本人のニーズを中心とし、エンパワメントに着目した支援につながっていますか 総合相談支援センターが関与しているケースは、ケース数が少なく困難ケースが多いため、エンパワメントに着目した支援は難しい。
自助機能を整理すると、自助へのバックアップ、家族の関与を通じた障害当事者のエンパワメントは重要であると考えられ、家族支援というスタンスでの関わりに少しずつ取り組んでいる。
  ・参加者の意識の変化はありましたか。 相談支援事業所の意識・スキルは確実にアップした。運営その他に行政が提案することもあるが、あくまでも1構成メンバーとしての提案である。
行政には「個別支援会議、ケース会議が充実した」と感謝されることが多くなった。
  ・組織のネットワークが強化される、結束力が強くなるというようなことがみられましたか。 強くなったと考えられる。例えば、次々と出てくる新しい企画案、資源やネットワーク拡大の前向きな議論には「楽しんでいる」という印象を持つ。
  ・今後自立支援協議会を発展させ、維持するうえでの方向性、課題として何がありますか。 良好な連携システム、ネットワーク、底力はある。しかし、このシステムやネットワークに掛かってこないケース、個別性を満たしていないが制度を甘んじて受けているケース、圏域内格差によってニーズが見えにくいケース、一部の施設・事業所により抱え込まれている可能性のあるケースなどへの対応が今後の課題である。
  ・また段階を経て変化・工夫したところはありますか。 当初から、行政を含む構成メンバー同士が「対立せず、なおかつ方向性は絶対にブレない」ということに最大限配慮してきた。
方向性に関しては、ニーズの掘り起こしと把握の面で相談事業所の力量が必要不可欠だが、少しづつ意識・スキルともにアップしてきた。
準備から設立、運営について、保健所の果たした役割は非常に大きい。
地域内に存在するその他のネットワーク    
種類と概要 ・自立支援協議会以外に障害者や地域住民のためのネットワークが存在していますか。 圏域内に親の会を3団体把握している。
協議会設立に寄与したネットワークの中で現在も独自に機能しているものとして「A市施設ネットワーク会議」がある。
※)対象に「(障害のない)市民」を含めれば多数存在すると考えられるが、詳細については「必要な範囲で情報提供します」とのことであった。
  ・その役割と設立の経緯を教えてください 総合相談支援センターGMのM氏が施設長を勤める施設の法人はA市あるため、常に連携を図っている。
※)詳細については「必要な範囲で情報提供します」とのことであった。
自立支援協議会との関係 ・自立支援協議会の各委員会や各部会等にこれらネットの関係者を招聘したことがありますか ※)詳細については「必要な範囲で情報提供します」とのことであった。
  ・障害者個別の課題で協働したような事例があれば教えてください。 ※)詳細については「必要な範囲で情報提供します」とのことであった。
今後の課題 ・協議会の運営に関して、支障があると思われる現象を教えてください。 市町村合併の直後にB市で発覚した政治的問題が、圏域内の足並みに良くない影響を及ぼしていることは今後の課題である。
協議会参加団体はもとより、圏域内にある事業所・施設等の専門性の違い、レベルの違いをどう調整していくかが今後の課題である。
A県が、自立支援協議会の具体的なイメージを提示しないことは、2市1町の協議会設立・運営にとって課題である。
推進会議との兼ね合いは課題となっている。
  ・今後改善・解決する課題があれば具体的に教えてください。 圏域の課題は協議会の課題と同様であると考えられるので、上記と同様である。

この表は、平成19年度厚生労働科学研究「ライフステージを包括する地域生活支援システムの構築を目指す相談支援事業者の在り方と自立支援協議会の機能に関する研究」(主任研究者:谷口明広)における調査内容を編集している。