平成6年度障害者文化芸術振興に関する実証的研究事業報告
(財)日本障害者リハビリテーション協会
項目 | 内容 |
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発行月日 | 平成7年3月31日 |
目次
- 1.障害者文化芸術振興の流れ
- 2 障害の特性別に見る現状と課題
はじめに
身体的にはもちろんのこと、精神的・知的にも重い障害をもつ人々が、他の同世代の人々と同様に通常の生活が送れるようにすることに対する認識が進んできている。わが国におけるこのための努力は、経済的な面のみならず文化的な面にも拡がり始めてきた。重い障害をもつ人々が表現をする機会を得たときの、生み出される作品に対する高い評価がされ始めてもいる。また、表現をする機会そのものの重要性も、その人自身の基本的な権利として認めようとする考えも浸透してきている。
特に福祉分野における文化芸術活動について新たな展開がされてきていることに関して、本芸術委員会は、社会福祉・医療事業団の助成を受けて、積極的な奨励と実証的な研究を重ねることができた。本報告は、この10年を改めて振り返り、わが国における新しい障害者文化芸術振興の流れを検証しようとするものである。
まず、それまで埋もれていた重い障害をもつ人々の作品に、新たな価値を見出した1980年代からの動きを概観したうえで、障害の種別に見る特徴を分析的に見てみる。
次に、各地で取り組まれた実際の活動について、周辺に与えた影響も含め、その効果をまとめてみた。
これらを含めて、今後における障害者の文化芸術の取り組み課題についての提言と構想の論議を試案としてまとめている。
さらには、海外における新たな芸術文化の取り組みに対する論文を資料とし、わが国の動きと比較を試みた。
国運総会で決議された「機会均等に関する標準規則」のなかでは、各国政府に対して、
“障害をもつ人が平等な立場で文化活動に統合され、参加できることを保障すべきであり、政府は
① 都市・農村において、障害をもつ人自身のみならず、地域社会を豊かにするために、障害をもつ人の創造的・芸術的・知的な潜在能力を活用する機会を保障しなくてはならない。芸術活動の例としては、ダンス、音楽、文学、演劇、プラスティック・アート、絵画、彫刻である。特に発展途上国では、人形、朗読、語りなどといった伝統的、現代的芸術様式が強調されるべきである。
② 障害をもつ人が、劇場・美術館・映画館・図書館といった文化的催事やサービスについて、利用可能で参加が可能となるように促進を図るべきである。
③ 映画・演劇・印刷物を障害をもつ人が利用できるための技術的な方策を開発し、提供することに力を注ぐべきである。”
としている(1993年国連総会決議)。
また、この20年近く前の1975年の「障害者の権利宣言」においては、障害者の権利として、“創造的活動またはレクリエーション活動に参加する権利を有する”ことが決議されている。
わが国の場合は、障害者基本法(昭和45年、平成5年改正)において、文化的諸条件の整備(第25条)として文化活動に関する助成と必要な施策を講ずることが示されている。
本研究事業が、今後も拡大され発展される障害者の文化芸術活動への促進となれば幸いである。
(財)日本障害者リハビリテーション協会
障害者文化・芸術活動推進委員会
主題・副題:障害者文化芸術振興に関する実証的研究事業報告書 平成6年度
著者名:
掲載雑誌名:
発行者・出版社:(財)日本障害者リハビリテーション協会
巻数・頁数:1頁~144頁
発行月日:平成7年3月31日
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