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日本政府代表、藤井克徳氏の発言(要旨)

アジア太平洋障害者の10年(2003-2012)の実施に関する最終評価のためのハイレベル政府間会合に向けた地域準備会議

2012年3月14日~16日・バンコク


ゴール2について

ゴール2の政治プロセス政策決定過程への参加の促進については、原案を支持したい。
この点での最近の日本での取り組みについて、参考になる面が少なくないと思われるので紹介したい。それは、新たな政権の公約に基づいて新設された障がい者制度改革推進会議で、2010年1月から実施されている。設置の最大の目的は、権利条約を批准するための国内法の整備を図ることにあった。

推進会議そのものの特徴は4つ。
1. 障害当事者主体。26人の委員のうち14人が障害当事者で占められていること
2. 障害当事者の委員に対する合理的配慮を含む特別な支援体制
3. 実質的な審議、2年余で38回、1回が4時間という点。
4. 情報公開、傍聴、CS放送方式によるテレビ生中継、オンデマンドでのインターネット中継

成果として、三年連続で大きな法律が改正もしくは制定。

障害者基本法の抜本改正 2011年 (カバーされなかった難病が加わった)
障害者の日常生活と社会生活を総合的に支援するための法律 2012年
障害者差別禁止法3つの法律の改正もしくは制定 2013年

この推進会議は、本年4月から法律に基づいて障害者政策員会に生まれ変わる。機能と権限が強化される。主には3点。

1. 障害者基本計画等に関する監視機能
2. 総理大臣を通して関係大臣への勧告
3. 総理大臣など関係大臣は応答義務が課せられる

以上の取り組みは、「私たち抜きで私たちのことを決めないで」の日本での実践事例。政策と言うのは、何を決めるかも大切であるが、誰が決めるかが決定的。ゴール2はアジア太平洋地域の障害分野の新地平を開くうえでとても重要では。

ゴール7について

各国政府及びNGOより東日本大震災に対する多大なる支援を賜り、この機会に心より感謝申し上げたい。

東日本大震災における障害者の犠牲に関するデータの一部を紹介したい。

それは、NHKや大手新聞社によって明らかにされた障害者の死亡率である。それによると、障害者全体の中での障害者の死亡率は2,06%とされた。総人口に占める死亡率は1,11%で、障害者の死亡率は総人口の死亡率と比較して実に2倍に達している。
地震も津波も、障害があろうがなかろうが、天災と言う形で平等に襲った。しかし、障害者の死亡率が2倍と言うのは天災だけでは済まされない。そこには、障害者に対する固有の震災政策の不備が重なるのであり、人災という側面を無視できないのではなかろうか。

以上を前提にしてゴール7について、原案を補強したい。

「障害者に対する被害の大小ならびに復旧・復興の速度はその地域の障害者に対する福祉サービスなど支援策の充実の度合いと関係が深い。

すなわち、ユニバーサルデザインの視点に加えて、平常時の障害者に対する合理的配慮を含む支援策の強化が問われるのである。」