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TWG-DC(障害問題作業部会)

TWG-DC第4回会議(2002年6月24日)議事録

(財)日本障害者リハビリテーション協会

項目 内容
発表年月 2002年7月8日
備考 英語版:原文

UNITED NATIONS
REGIONAL COORDINATION MECHANISM
THEMATIC WORKING GROUP ON DISABILITY-RELATED CONCERNS

日時:2002年6月24日
場所:国際連合会議場 バンコク

議事録

開会

第4回障害問題作業部会(TWVDC)は、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)社会開発部部長のMs Kim Lamによって開会された。開会の言葉の中で、同部長は、2002年5月に開催された第58回ESCAP委員会で決議58/4「21世紀における、アジア太平洋地域の障害者にとって包括的でバリアフリーの、権利に基づいた社会の促進」が採択されたことを本作業部会に通知した。同決議には特に、2002年以降の「障害者に関する世界行動計画」と「ESCAP地域のアジア太平洋障害者の十年の行動課題」の実施にさらに弾みをつけることを狙って、「アジア太平洋障害者の十年(1993年~2002年)」を次の十年間(2003-2012年)延長することが謳われている。同部長はTWGDCのメンバー全員に対して、2002年10月に日本で開催される「アジア太平洋障害者の十年(1993年~2002年)最終年政府間上級高官会議に積極的に参加するよう強く求めた。

第4回障害問題作業部会は、財団法人日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)の河村宏氏とESCAP社会開発部高嶺豊氏を共同議長として開催された。本会合には、9つの政府、ESCAP、5つの国連機関と専門機関、18のNGO団体の代表が出席した。出席者リストは付録Iに添付した。

議題の採択

TWGDCは以下の議題を採択した。

1. タスクフォースの会合
(a) 情報技術(ICT)タスクフォース
(b) 障害をもつすべての子どもと若者のための教育(EFA) タスクフォース
(c) 起業研修、小規模事業経営と所得創出活動、開発(起業家精神) タスクフォース(自営を含む)
(d) 東チモール

2. 開会(本会議)

3. 議題の採択

4. 第3回障害問題作業部会(2002年12月10日開催)議事録の承認

5. 議事録への質疑応答

6. 「アジア太平洋障害者の十年」の行動課題の実施状況の評価

7. 「アジア太平洋障害者の十年」最終年を記念する国際フォーラムの準備報告

8. 「アジア太平洋障害者の十年最終年政府間上級高官会議」(2002年、滋賀県大津市)の準備報告

9. 2002年以降の計画

10. タスクフォースの活動報告

11. その他

TWGDC第3回会合の議事録

ESCAPの事務局は、2001年12月10日にハノイで開催されたTWGDC第3回会合の議事録を提出した。本会合は議事録の「アフリカ障害者の十年」の期間を2000-2009年に訂正した。

次の「十年」の計画の提言に関する部分ついて、「・・・キャンペーン会議は2年ごとに、5つの地域の1箇所で『十年』の間に行う」という文言は削除され、キャンペーン計画に不当に制約を加えないようにした。同じ部分で、「小地域の協力を強化し、地域間の連携、協力を推進するために、TWDGCが地域ごとの障害者同盟を発展させることが出来るメカニズムを構築する」という文章も削除された。TWGDC自体がそのようなメカニズムを構成していることと、この文が国際障害者連合と混同される虞があることが本会合で指摘されたためである。

議事録への質疑応答

Ms LimはTWGDCに対して、全作業部会を監督する局長会議が2002年4月に作業部会の機能を再検討したことを報告した。局長会議からは、TWGDCが取り扱う問題は重要であるが、発足以来3回しか会議を開いていない点が指摘された。TWGDCの第5回会合は2002年12月に開催されるが、これは、全作業部会について設定されている18-24ヶ月の期間の終了と一致したものとなる。Ms Limは、TWGDCが今日までの自らの活動と業績を見直し、局長地域調整機構(the Heads of Agency Regional Coordination Mechanism)の後援の下、1つの作業部会としての将来の機能の必要性などを検討するには今が適当だろうと提案した。

TWGDCは、本作業部会が2002年12月の発足以来、「アジア太平洋障害者の十年」の業績の調整と「十年」の終了に向けた評価および準備計画で重要な役割を果たしてきたことを報告した。TWGDCは、本作業部会の独特の性質、すなわち、国連機関、政府およびNGO(地域全体の障害者の機関および障害者のための機関を含む)という大規模で積極的なメンバーで構成されていることについて言及した。参加は自前なので、会合の回数を増やすと財政的な負担が増えるだろう。しかし、TWGDCは、教育、起業家活動、ICT、東チモールの4つのタスクフォース網を通して継続的に活発に活動した。

TWGDCは、「アジア太平洋障害者の十年」を2003-2012年に延長することを考慮し、2002年12月以降もTWGDCの継続を確保し、新しい十年の枠組みの実施で重要な調整役を引き続き務められるようにすべきであると全会一致で勧告した。

「アジア太平洋障害者の十年」の行動課題の実施状況の評価

ESCAP事務局は「アジア太平洋障害者の十年」(1993-2002年)の業績評価報告案を提出した。本会合は、評価が、ESCAPの質問表に対する32カ国の回答に基づいたものであることに注目した。評価には、行動課題のいくつかの政策分野で重要な成果があったことが示されている。例えば、国の調整・立法・政策、訓練と雇用、障害原因の予防と障害者の自助組織である。小地域の行動課題の実施状況は一様ではなく、主に懸念される分野としては、障害者に関する総合的なデータが相変らず欠如していること、この地域の障害を持つ子供が教育を利用する割合が非常に低いことなどが挙げられている。

評価報告書は国の行動課題の実施に基づいているので、国連機関やNGOによる地域レベルの活動に関する情報を追加すべきであると本会合は勧告した。国連機関とNGOは、国家レベルの活動に関する追加情報も提出することができる。出席している国連機関は、特に地域の協力に関する部分について、評価に対する追加情報を提出することに合意した。

本会合は、評価は、特定の成果をあげた国の数を記載する上で、概ね定量的に行われている点を指摘した。行動課題の実施の影響を解明する上で、評価は、定性的および分析的に行うべきであると強調した。また、障害者のNGOが国家政策の作成、立案、プログラム実施に十分に関与していないことが多い点も強調した。本会合は、また、太平洋の諸島の国々は、TWGDCの一連のキャンペーンや会合など、地域活動に参加する代表の比率が少ないことが多い点も指摘した。

本会合は、行動課題の成果の評価には、TWGDCが果たした貴重な機能を特記し、報告でTWGDCの活動期間の延長を求めるように勧告した。

2002年「アジア太平洋障害者の十年」最終年を記念する国際フォーラムの準備報告

国際リハビリテーション協会アジア太平洋地域(RI/AP)の副会長、松井亮輔氏は、2002年10月に日本各地で開催される「アジア太平洋障害者の十年」最終年を記念する国際フォーラムの準備について報告した。国際フォーラムの一環として、2002年10月21-23日に開催される大阪フォーラムでは、以下の4つの中心となる会議が行われる。

  • 第12回国際リハビリテーション協会アジア太平洋地域会議
  • 「アジア太平洋障害者の十年」推進キャンペーン2002
  • 第25回総合リハビリテーション研究大会
  • 国際職業リハビリテーション研究大会

国際フォーラムの一環として行われるその他の重要な関連会議は以下のとおり。

  • 第6回障害者インターナショナル(DPI)世界会議札幌大会(於: 札幌、2002年10月15-18日)
  • 国際リハビリテーション協会執行委員会(於: 札幌、2002年10月17-18日)
  • 国際リハビリテーション協会総会(於: 大阪、2002年10月19-20日)
  • 地域NGOネットワーク総会(2002年10月20日)

大阪フォーラムは障害者のためのパートナーシップとなるだろう。大阪フォーラムでは、障害者の権利と尊厳を高め、保護をするための総合的で絶対必要な国際協定の詳細作成をメインテーマに、地域ネットワークの仕組みについて話し合う。政府間上級高官会議で大阪アピールが採択される。キャンペーン2002は、「アジア太平洋障害者の十年(1993年~2002年)」の成果を評価し、新たな十年の行動計画の提案を行う。

「アジア太平洋障害者の十年最終年政府間上級高官会議」(滋賀県大津市)の準備報告

ESCAP事務局は、政府間上級高官会議の計画に関する情報を提出した。政府間上級高官会議の主要な議題項目は、(a)ESCAPが準備中の「アジア太平洋障害者の十年(1993年~2002年)」実施の成果の評価、(b)行動課題の実施の中で最も重要な部分についての発表、(c)アジア太平洋地域の障害者にとって包括的でバリアフリーの、権利に基づいた社会に向けた「びわこミレニアム・フレームワーク」の検討、(d)「びわこミレニアム・フレームワーク」を含む報告書の採択、である。

本会合は、ESCAPが、政府間上級高官会議に障害者や障害者NGOの代表を含めるように各国政府に対して要請すべきであるという点で意見が一致した。本会合はまた、行動課題の実施の評価では、成果に加えて、不足部分、残っている課題、学んだ教訓についても注目すべきであると勧告した。政府間上級高官会議は、障害者の権利と尊厳を高め、保護するための総合的で絶対必要な国際協定の詳細作成努力に注目するように本会合は提言した。

2002年以降の計画

アジア太平洋地域の障害者にとって包括的でバリアフリーの、権利に基づいた社会の促進の枠組み「びわこミレニアム・フレームワーク」の概略が、本作業部会で協議された。「びわこミレニアム・フレームワーク」は、障害者に関する既存の国際・地域的な要求に沿いながらも、特定の目標達成のための基本原則と戦略を強調したものとなる。この新しい枠組みはまた「ミレニアム開発目標とターゲット」を補完するように構築されていて、障害者への適用について明記される。

本作業部会は、この将来の枠組みの名称と中身について話し合った。DPIの代表は、バリアは身体的なものだけではなく、制度、社会、文化的なものもあることを反映して、「バリアフリー」という表現よりも「バリアのない」という表現を使いたいと述べた。地域に基づいたリハビリテーションの部分では、「機会均等」の方が「エンパワーメント」という表現よりも目標がはっきりするという意見もあった。世界保健機関(WHO)の代表は、慢性病による障害をはっきりと含めるべきであると述べた。食糧農業機関(FAO)の代表は、食糧の安全は貧困削減の本質的な要素であり、この枠組みは、もっと農村部の障害者に重点を置いたものにする必要があると力説した。本会合はまた、この行動の枠組みには、障害者の権利と尊厳を高め、保護する国際的な条約に対する支援の必要性を含めるべきであると主張した。

タスクフォースの活動報告

A. 情報技術(ICT)タスクフォース
ICTタスクフォースは、ESCAP、タイ政府、地域のNGO、その他の国際機関と緊密に協力して、2002年6月20-22日にバンコクで「ICT(情報とコミュニケーション技術)アクセシビリティセミナー」を主催したことを本会合に報告した。同セミナーは、この種のセミナーとしてこの地域で開催される初めてのものだった。ICTタスクフォースは、「アジア太平洋地域における障害者のための情報技術(ICT)アクセシビリティについての政策/立法の指針に関する勧告」という題のセミナーの勧告を本会合に報告した。勧告では、情報通信へのアクセスは、著作権法により禁止するのではなく、基本的人権とすべきであると提言している。国際基準と指針は、情報通信を普遍的、開放的で、非独占的なものとして維持すべきである。タスクフォースの報告書は、ICTの全ての開発活動に障害者団体が関わることの必要性を強調している。本会合は、ICTタスクフォース・セミナーが採択した勧告を支持した。本会合は、開発活動で農村部の全ての人々と接触するのに、農業協同組合が効果的なルートになるかもしれないと指摘した。本会合はまた、ICTのワークショップやタスクフォースの会合を太平洋地域で開催するよう要求した。本会合は、障害者アジア太平洋開発センターが小地域のワークショップを実施すべきであると勧告した。ICTタスクフォースの報告書を付録に添付した。

B. 障害をもつすべての子どもと若者のための教育(EFA) タスクフォース
EFAタスクフォースは、ESCAPが同地域のEFAの国家コーディネーター宛てに、書簡を送付したことを報告した。ESCAP は書簡の中で、EFA運動の一環として、インクルーシブ教育の枠組み内で、障害のある子供のための教育を実施する必要性を力説している。この構想は2002年12月9日のハノイ会議でTWGDCに承認されている。

本会合は、教育が、決議58/4で延長された「アジア太平洋障害者の十年」の活動として明らかにされた主要な戦略分野の1つであることを指摘した。次の10年(2003年~2012年)に、アジア太平洋地域の障害を持つ子供と若者のための質の高い教育へのアクセス増加を達成するための目標と戦略について話し合われた。同タスクフォースの報告書は、障害を持つ子供に対する早期教育とインクルーシブ教育の必要性を力説している。本会合は、インクルーシブ教育の概念について話し合い、少なくとも、障害を持つ子供が教育へのアクセスで差別を受けないようにすることが、インクルーシブ教育の概念に含まれているということで合意した。しかし、インクルーシブ教育は、障害の種類および地域内・国内の経済開発水準の幅を考慮する必要があった。また、「びわこミレニアム・フレームワーク」の期間が「国際識字の10年」<注: 「国連識字の10年:すべての人に教育を」2003年から2012年まで>の期間と重なっていて、障害者の利益のために「国際識字の10年」と一緒に活動する機会があるという指摘もあった。同タスクフォースの報告書を付録IIIに添付した。

C. 起業研修、小規模事業経営と所得創出活動、開発(起業家精神) タスクフォース(自営を含む)
同タスクフォースは、他の人が良いやり方を真似できるように、システムを構築し、それを使って、ウェッブサイトで直接、事例研究を入力できるようにしたいと述べた。同タスクフォースは、そのシステムの構築および管理への支援を要求した。同タスクフォースは、また、職業訓練や自営業の訓練で障害者を主流に参加させるための開発の指針に従って事を進めていた。同タスクフォースの報告書を付録IVに添付した。

D. 東チモール
東チモールタスクフォースは、東チモールの新たな憲法に、障害者の権利の平等を規定した条項が盛り込まれていることを報告した。本会合は、RI/APの副議長、Mr. Joseph Kwokがまもなく東チモールへ派遣されることに言及した。本会合は、東チモールの障害者に政府の支援が効果的に届いているか、タスクフォースは直接支援の方法を試みるべきかについて尋ねた。同タスクフォースの報告書を付録Vに添付した。

その他
TWGDCは、障害者インターナショナルを本作業部会の共同議長とすることに合意した。各組織が推薦した議長が会合を十分かつ効率的に主催できることを条件に、同会合は、議長を持ち回り制にすることを勧告した。

TWGDCは、第5回会合を2002年12月に開催することで合意した。ESCAP事務局が、副議長と協議の上、日程を提案する。