音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

TWG-DC(障害問題作業部会)

TWG-DC第7回会議(2003年12月1~2日)付録 II (e)

項目 内容
発表年月 2003年12月31日

議題1 e) 障害者の当事者団体(SHO)

TWGDC7/TFEDUC/MINUTES
1 December 2003
UNITED NATIONS
REGIONAL COORDINATION MECHANISM
THEMATIC WORKING GROUP ON DISABILITY-RELATED CONCERNS
TASK FORCE ON SELF-HELP ORGANIZATIONS OF PERSONS WITH DISABILITIES (SHOs)

日時:2003年12月1日
場所:国際連合会議場 バンコク

議事録

1. 会議の開会

1. 当事者団体に関するタスクフォース会議担当コーディネーターであり、障害者インターナショナル・アジア太平洋事務所の地域開発担当官、Topong Kulkhanchit氏が自己紹介を行い、全参加者に対し自己紹介を求めた。同タスクフォース会議には、22人が参加した(付録1参照)。

2. 前回タスクフォース会議の議事および議事録案の採択

2. タスクフォース会議では、以下の議事を採択した。
1)参加者の紹介
2)TWGDC第6回会議の障害者の当事者団体に関するタスクフォースの議事録案の採択
3)2003年6~12月の自助運動に関する報告

1. タスクフォースコーディネーターからの報告

2. タスクフォース会議参加者からの報告
4)2004年12月までのBMFの実施に向けた具体的行動計画
5)TWGDC第7回会議に対する勧告
6)その他

3. コーディネーターは参加者、特に前回タスクフォース会議の参加者に対し、配布された議事録案を確認するよう求めた。(付録2参照)

4. タイのRoi-et Center of the Christian Foundation for the Blind の代表者が、議事録第8条の最後の文における『当事者団体』という言葉を『その地域の当事者団体』に修正した。

5. 会議では議事録を採択し、インクルージョン・インターナショナルアジア太平洋地域の代表者から肯定的なコメントがあった。

3. 2003年6~12月の自助運動に関する報告

? タスクフォースコーディネーターからの報告

6. 2002年10月に日本の大津におけるハイレベル政府間会議で採択された「行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク(BMF)」が、2003年9月4日の国連ESCAP第59回委員会会議において正式に採択されたことを、タスクフォースのコーディネーターが報告した。

7. タスクフォースのコーディネーターは、2003年8月にアフガニスタンのカブールにおいて、障害者の全国会議の編成を助けるための障害者インターナショナル(DPI)の第1回全国障害者リーダーシップ・トレーニングの計画にかかわった経験について話した。彼は、過去の長い戦争のため、多くのアフガニスタン人がまだ毎日自分が生きていくだけで精一杯であり、自分の日々の生活や利益に直接関係のない問題にはあまり関心がないようであったと述べた。DPIはそのようなトレーニングを計画することを有意義であると考えていたが、それは非常に難しい仕事であり、長期間に渡って関連のフォローアップを必要とした。しかし、アフガニスタンの障害者をサポートしようという迅速な行動は、リハビリテーションと福祉において強調されるべきものである。

8. バングラデシュのAction on Disability and Development (ADD) からの代表者が、当事者団体設立の最初の段階において、草の根レベルの自助グループを設立すべきであり、その後これらの自助グループが、地方および全国レベルで当事者団体を結成すべきであるとコメントした。

9. 上記コメントについて、タスクフォースコーディネーターは、草の根レベルでの障害者の自助運動を全面的に尊重しながらも、アフガニスタンが何百もの自助グループにより障害者の全国的当事者団体が結成されるのを待つのであれば、国際的障害者コミュニティから取り残される可能性がある点に懸念を示した。

10. 世界盲人連合(WBU)アジア太平洋支部の代表が、アフガニスタンの場合はどの当事者団体開発デルを適用すべきかについて質問した。彼は西欧の工業化した国々で発展した『消費者モデル』(公民権運動が起源である)やタイでよく見られる『校友モデル』(障害者の特別学校の卒業生がグループを結成する)等、いくつかのモデルの例を挙げた。

11. アフガニスタンの障害者はまず障害者をとりまく共通の問題を認識する必要がある、その結果集団の力によってこれら共通の問題の克服に向けて共に働こうという気持ちになるであろうとタスクフォースコーディネーターは結論付けた。

12. タスクフォースコーディネーターは、2003年11月26~28日にシンガポールで第1回総会が開催されたアジア太平洋障害フォーラム(APDF)の以下の主目的を紹介した。

  • BMFの実施を推進し、参加し、評価すること
  • 障害者の権利に関する国連条約の策定と採択を推進し、これに向けて努力すること

非政府組織に属するタスクフォースのメンバーに対し、APDFへの加入申し込みが奨励された。

? タスクフォース会議参加者からの報告

13. アジア大平洋障害者センター(APCD)の人材育成(HRD)部門の代表が、2003年9月10~20日にバンコクで開催された障害者の当事者団体の運営・強化のためのトレーニングワークショップの概要を報告した。 [付録3参照]

トレーニングワークショップの特徴は以下の通りである。

  1. 人材のほとんどは、自国で障害者の当事者団体を結成・運営した実務経験のある障害者リーダーたちである。
  2. 障害と貧困の問題が明確に指摘され、貧困削減と社会開発のメインストリーミングにおける当事者団体の役割について話し合われた。
  3. 都会のエリートであることが多い、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイおよびベトナムの若く可能性を秘めた国の障害者リーダーたちが、草の根レベルで障害者と共に働くことの重要者を十分に認識し、その意欲を持つためトレーニングを受けた。

14. ADDバングラデシュの代表が、当事者団体自体は目的ではなく、『社会を変える』のための手段に過ぎないことを強調した。また、途上国における障害者組織の役割をさらに明確にすべきであると付け加えた。その役割の一つとして、メインストリーム化をめざす提言が挙げられる。

15.アンドラー・パラデシュにあるインドの地元非政府組織である『コミットメンツ』が計画した、農村地域の障害者の自助グループのためのプロジェクトについて、APCDの代表者が紹介した。APCDが最近インドに送った代表団は、自立、社会経済的進歩および自尊のための手段として、農村地域の貧者や障害者間の参加型セルフ・マネージメント・グループの結成を目的とする『コミットメンツ』の事業が、アジア太平洋地域の途上国における当事者団体関連業務の中で最も優れたものの1つであることを確認した。

16. ADDバングラデシュの代表者自身も、上記の『コミットメンツ』事業で働いた経験のある指導者のトレーニングを受けたことがあるため、障害者の草の根レベルの自助グループを結成するADDのプロジェクトについて簡単に紹介した。彼は自己の経験を通し、異なるレベル(国、地域、村等)の障害者自助グループ・団体がそれぞれ提言・達成すべき異なる問題・目標を持っているため、それらの重要性は同等であると確信するにいたった。彼はしかし、草の根レベルの障害者自助グループにより全国的障害者当事者団体を構成すれば、安定したものになるであろうと強調した。

17. スタッフの60%以上が異なる障害を持つ多種障害者組織であるPeople with Disability Australiaの代表が、3つの関連プロジェクトについて紹介した。1) 障害を持つオーストラリアのアボリジニが権利擁護のための技能を身につけるプロジェクト、2)HIV・エイズ感染者の自助グループ結成により彼らの家庭および貧困問題を改善するためのプロジェクト、そして3)太平洋障害者フォーラムと連携し、障害を持つ太平洋諸島民の権利擁護のための技能を高めるプロジェクトである。

18. タイ知的障害者親の会の代表が、障害者運動全体において、知的障害者が忘れられがちであると警告した。彼女は、親を失ったタイの知的障害者が滞在し、自立のために職業訓練を受けられる新しいセンターを設立すべきであると勧告した。

19. タスクフォースコーディネーターは、政府は2005年までに、地方レベルにおける親の会の設立を保障するため方策を策定し、2010年までには国レベルの連合組織を結成するものとする、障害者の当事者団体に関するBMFの目標1を挙げ、親の会の上記努力を支援した。

20. 約3年前に設立され、現在障害者1人を含む20人の常勤スタッフを抱える北朝鮮の朝鮮障害者支援連盟(KASD)代表が、障害者の現在の状況について述べた。最近の国家的災難と経済危機のため、北朝鮮の障害者は、非常に深刻な経済社会的状況に置かれていた。このような状況において、障害者の当事者団体は北朝鮮の障害者にとってより重要なものとなり、彼らは障害者の当事者団体のコンセプト等についてより多くを学びたいと望んでいる。彼は、TWGDCのタスクフォースが彼と彼の同僚に障害者の当事者団体についてより多くを学ぶ機会を与えてくれたことに感謝した。

21. カンボジア障害者団体(CDPO)の代表が、CDPOの組織改革の進展について報告した。1500人以上のメンバーを抱えるCDPOは最近、その理事、政策、戦略などを刷新した。さらに現在、カンボジアの障害者の権利を守るための最初の国の法律が検討されている。

22. 障害者インターナショナルパキスタン支部(DPIP)の代表が、同様に最近構造改革を行ったその組織について簡単に紹介した。

23. 世界盲人連合(WBU)アジア太平洋支部の代表が、2003年12月第2週にジュネーブで開催予定の世界情報社会サミット(WSIS)の宣言原案に、『ユニバーサルデザイン』や『補助器具』(第22項)等の障害関連コンセプトを盛り込むことに対し、会議参加者のサポートを要請した。

4. 2004年12月までのBMFの実施に向けた具体的行動計画

24. タスクフォースコーディネーターは会議参加者に対し、BMF記載の以下の目標および行動に基づき、2004年12月までにこのタスクフォースが実施すべき具体的行動計画を検討するよう要請した。会議の時間的制約のため、各参加者に対し、提案された行動計画について文書の提出が要請された。
---------------------

2. 目標

目標1:各国政府、国際融資機関、そして非政府組織(NGO)は、2004年までに、すべての分野の障害者自助団体の結成と発展を推進するため、特にスラム街や農村に住む人々に焦点を当て、適切な資源配分措置を伴った政策を採用するものとする。また、政府は2005年までに、地方レベルにおける親の会の設立を保障するため方策を策定し、2010年までには国レベルの連合組織を結成するものとする。
目標2:各国政府と市民社会組織は2005年までに、障害者の生活に直接、あるいは間接的に影響を与えるような計画の策定と実施に関する意思決定過程に、障害者団体を完全に組み入れるものとする。

3.目標達成に必要な行動

1. 各国政府は障害問題に関する国内調整委員会の指示の下、障害者の自助団体と各省庁、市民社会組織や民間団体との協議・諮問関係のレベルを引き上げるための施策を実施する必要がある。また、その施策には、女性の障害者をはじめとする障害者が、さまざまな意思決定過程への効果的な参加の仕方を学ぶ訓練が含まれなくてはならない。政府は、協議・諮問のためのガイドラインを作成し、各種障害者団体の代表が定期的にその協議・諮問過程を再検討・評価されなくてはならない。

2. 各国政府は、国内の調整委員会の中に、様々な障害をもつ人々の代表から成る政策検討パネルを設置しなくてはならない。このパネルは、障害者に直接あるいは間接的に影響するすべての政策とその実施状況を評価するものとする。

3. 各国政府は、国から地方に至るまでの全レベルにおいて、立法・司法機関はもちろん、社会生活のすべての分野における障害者の代表を増やすための措置をとらなくてはならない。また、そのことは差別是正措置や反差別法により促進されなければならない。

4. 障害者自助団体は、障害をもつ青年や女性を含めメンバーが、地域社会全般および彼ら自身の団体内で、相談員的かつリーダー的役割を果たすために、そして、自助団体のメンバーのリーダーシップおよび運営能力を発展させるトレーナーとしての役割を果たすことができるように、メンバーたちの能力開発を図る事業を展開する必要がある。

5. 国内の各種障害者団体は、農村の障害者が相互支援、意見表明および計画やサービスの紹介を行う自助団体への参加を促進し、また、農村・都市開発NGOや農村開発を推進する政府機関との協調を積極的に進めるための仕組みを開発する必要がある。

6. 国際融資機関とNGOは、それぞれの開発政策の中で、障害者の自助団体を促進し強化するための資金配分・技術支援に高い優先度を与える必要がある。

暫定議題

BMFの路線に沿った当事者団体タスクフォースの具体的行動計画

2004年1月~12月

予定日  提案された行動  タスクフォースのメンバー  組織  目的
2004年3月

2004年を通じて
2004年9月 ?
関連BMF条項: 地方レベルで親の会を確実に結成し、国レベルの連合組織を結成する
行動 => 知的障害者およびその親が、APCD人権セミナーを通し、自助グループ・団体を結成し、発展させることを促進・奨励する。
? BMFの関連条項:障害者の生活に直接または間接的に影響する意思決定プロセスに障害者団体を全面的に含める。
行動 => 途上国の国家・州レベルでの関連意思決定において、障害者の当事者団体の代表を全面的に含めるのに最適の方法を研究・促進する。
? BMFの関連条項: スラムおよび農村地帯の住人に特に焦点を置き、障害者の当事者団体の発展と結成をサポートする
行動 => APCDの当事者団体トレーニングコースを通し、スラムおよび農村地域等の社会的に取り残された障害者の当事者団体を理解し、そのために尽力できるよう、若い障害者のリーダーを養成する。
APCD人材育成(HRD)部門
DPI/アジア太平洋地域の行動計画
各国の活動
2004年1月26~30日 タイにおける自立生活会議およびトレーニングワークショップ
2004年5月 カンボジアにおける当事者団体の運営強化フォローアップ
2004年8月 東ティモールにおける第1回全国障害者リーダーシップトレーニング
3月 ラオス障害者協会訪問および車いす援助
地域活動
2004年2月13~17日  ネパールにおける地域能力開発トレーニングセミナー
2004年4月 インドネシアにおける第3回障害をもつ女性問題の地域リーダーシップトレーニング
国際/地域協力
2004年5月 第8回TWGDC出席
APDF役員会出席
地域間協力
2003年12月8~13日 アフリカ南部における障害者のメインストリーミングとエンパワメント
2004年12月  アフリカ南部における障害者のメインストリーミングとエンパワメント(案)

参加者リスト

番号  氏名  地位および組織  電子メール

1 Topong Kulkhanchit
障害者インターナショナルアジア太平洋支部   rdo@dpiap.org
2 イトウ・ナオコ
JICA人材育成専門家、アジア太平洋障害者センター(APCD) ito@apcdproject.org
3 Suwapa Prasitwises
APCD人材育成担当官 suwapa@apcdproject.org
4 Lasapan Toomsawasdi
APCD情報通信技術部門 lasapan@apcdproject.org
5 Graham McKinstry
インクルージョン・インターナショナル g-b-mck@wave.co.nz
6 Phillip French
People with Disability Australia phillipf@pwd.org.au
7 Kim Yong Chol
朝鮮障害者支援連盟(KASD)、朝鮮民主主義人民共和国 kasdmoon@yahoo.com
8 Kim Mun Chol
KASD、朝鮮民主主義人民共和国 kasdmoon@yahoo.com
9 Sathapon Mongkolssuisawat
Roi-Et Education and Rehabilitation Centre for the Blind sathopon@cscoms.com
10 MA Samith
カンボジア障害者団体(CDPO)理事・障害者インターナショナルカンボジア支部 abc@online.com.kh
11 Edith van Wijngaarden
リハビリテーションコーディネーター、ハンディキャップ・インターナショナルlib.rehap_dpt@online.com.kh
12 Sumalee Nathikanjanalab
障害者インターナショナルタイ支部 sumaleet@yahoo.com
13 Rinthan Lattanan
知的障害者親の会
14 Phoranee Louineau
知的障害者親の会
15 Mosharereaf Hossain
ADD mosharereaf@sireiusbb.com
16 Montain Bonton
タイ視覚障害者協会(TAB) mbuntan@tab.or.th
17 Mohammed Ali-Fafir
障害者インターナショナルパキスタン支部(DPIP) baboo@fsd-palmnet-com.pic
18 シロサワ・カオリ
日本プログラム/米州開発銀行 kaoris@iadb.org
19 秋山愛子
UNESCAP akiyama@un.org
20 中西正司
障害者インターナショナルアジア太平洋支部 yukin@din.or.jp
21 Supattraporn Tanatikom
障害者インターナショナルアジア太平洋支部 sarahmai@ksc.th.com
22 Papanrat kochasena
障害者インターナショナルアジア太平洋支部 papanrat@dpiap.org