カォクン・タンティピシックン(Kaewkul Tantipisitkul)
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士課程
(翻訳:河野宣之)
この調査では、2020年から2022年に筆者が見つけた障害者に関連するタイの法律と実施のデータを収集しました。このデータは、政府のウェブサイトに掲載されたものや、政府の情報を障害者団体のウェブサイトに掲載した二次的なデータです。
障害者に関する主な責務と権限を担うタイの政府機関は「障害者エンパワメント局」(略称DEP、タイ語では “กรมส่งเสริมและพัฒนาคุณภาพชีวิตคนพิการ”、略称“พก.” )です。この局には「障害者エンパワメント法、B.E. 2550(2007)」(“พระราชบัญญัติส่งเสริมและพัฒนาคุณภาพชีวิตคนพิการ พ.ศ. 2550” (ラチャキチャ, 2007))の元で制定された「障害者国家エンパワメント委員会」(“คณะกรรมการส่งเสริมและพัฒนาคุณภาพชีวิตคนพิการแห่งชาติ”)があります。他にも多くの部局が関与しています。
2020年、COVID-19と呼ばれる新型コロナウイルス感染症の影響で世界は大変な状況でした。この状況に対処するために多くの政策が設定されました。タイは、障害者のためのさまざまな措置を講じた多くの国のひとつです。2020年3月30日の「会議No.1/2020」において委員会は障害者を支援するための3つの措置を決議しました(DEP、2020年4月2日)。障害者登録をしてある人に対する1,000バーツの援助、障害者エンパワメント基金から借り入れた障害者またはその保護者に対する債務返済の2020年4月から2021年3月までの一時停止です。基金はタイ語で “กองทุนส่งเสริมและพัฒนาคุณภาพชีวิตคนพิการ” と言い、障害者および保護者は、職業用資金の融資を、保証人なし、無利子、5年以内の分割払いで、初年度を無借金とし、基金から受けることができます。
委員会は、2021年8月12日の会議No.2/2021の決議により、災害、新型コロナウイルス感染症の発生やその他の理由で障害者が障害者IDカード更新のための旅行ができない場合を考慮し、障害者IDカードの有効期間を延長することで合意しました。社会開発人間安全保障省の事務次官が障害者IDカード有効期限を延長する一般へ向けた発表を検討する権限を有し、2021年8月18日の官報に掲載されました(ラチャキチャ、2021年、p.1)。タイ語の公告名は、“ระเบียบคณะกรรมการส่งเสริมและพัฒนาคุณภาพชีวิตคนพิการแห่งชาติ ว่าด้วยหลักเกณฑ์ วิธีการ และเงื่อนไขการยื่นคําขอมีบัตรประจําตัวคนพิการ การออกบัตร และการกำหนดเจ้าหน้าที่ผู้มีอำนาจออกบัตรประจําตัวคนพิการ การกำหนดสิทธิหรือการเปลี่ยนแปลงสิทธิ และการขอสละสิทธิของคนพิการและอายุบัตรประจําตัวคนพิการ (ฉบับที่ 2) พ.ศ.2564” で、その意味は、「障害者IDカードの申請書を提出するための基準、手続き、条件、カードの発行、障害者用タイ国民IDカードを発行する権限を有する職員の任命に関する「障害者国家エンパワメント委員会」の規則、権利の決定・変更、障害者の権利の放棄、および障害者用タイ国民IDカード取得年齢 (No. 2)、B.E.2564(2021)」となります。
タイ語で “ข้อ 18 ให้บัตรมีอายุแปดปีนับแต่วันที่ออกบัตร เว้นแต่ในกรณีที่มีเหตุสมควร เนื่องจากสถานการณ์ภัยพิบัติ หรือมีความจําเป็นอื่น ปลัดกระทรวงการพัฒนาสังคมและความมั่นคงของมนุษย์อาจพิจารณากําหนดให้บัตรนั้น มีอายุเกินกว่าแปดปีนับแต่วันออกบัตรก็ได้โดยประกาศราชกิจจานุเบกษา” とある条項の意味は「第18条:カードは発行日より8年間有効であるが、災害等合理的な理由や社会開発人間安全保障省の事務次官がその他の正当な理由があると判断した場合は、同省は官報で公表することにより、カードの発行日から8年以上そのカードの有効期限延長を検討することができる」(ラチャキチャ、2021、p.2)で、官報による発表の翌日に制定されました。
2022年、タイでは “บัตรคนพิการ”(障害者カード)というアプリケーションを使用して、電子システムを介して障害者カードを提示することが可能です。中央データベースに登録済みの人のみが対象です。公告名は“ประกาศกรมส่งเสริมและพัฒนาคุณภาพชีวิตคนพิการ เรื่อง การแสดงบัตรประจำตัวคนพิการด้วยวิธีการทางอิเล็กทรอนิกส์”(「障害者のエンパワメント(DEP)に関する公告。障害者を電子的に識別するための障害者用タイ国民IDカードについて」)で、障害者国家エンパワメント委員会規則の第5条(ラチャキチャ、2022年)に基づき2022年4月27日、障害者エンパワメント局(DEP)局長により、2022年6月24日に官報で公告されました。
「障害者のエンパワメント法B.E.2550 (2007)」の第33条は、雇用主、自営業者、政府機関における障害者の雇用について、第34条は、障害者を雇用しない企業等に関する施策について、第35条は、雇用者が第33条および第34条が定めていることを望まない場合の「基金」への納付金について定めています。また、第35条は「政府機関、雇用主、自営業者は、障害者に対する便宜供与、製品やサービスを配送する場所の提供、下請け的な雇用、特別な手段での雇用サービス、見習いや機器類・設備の提供、手話通訳者、委員会が定める規則、手続き、条件に基づくその他の支援を実施することができる」と定めています(法制委員会事務局の翻訳、日付不明)。基金への納付金について第34条第1項は、「…労働大臣は、雇用者または事業所の所有者が基金に送金する金額を指定する省令を公布するものとする…」と述べています。(法制委員会事務局の翻訳、日付不明)。
2022年に、新型コロナウィルス感染症の蔓延の影響を受けた雇用者または事業所の所有者を支援するために、障害のある人々を募集して仕事を見つけられるようにすることを年内に行うことができるとしました。そこで、労働大臣は、タイ語で“กฎกระทรวง กำหนดจำนวนคนพิการที่นายจ้างหรือเจ้าของสถานประกอบการและหน่วยงานของรัฐจะต้องรับเข้าทำงานและจำนวนเงินที่นายจ้างหรือเจ้าของสถานประกอบการจะต้องนำส่งเข้ากองทุนส่งเสริมและพัฒนาคุณภาพชีวิตคนพิการ (ฉบับที่ 3) พ.ศ. 2564”という省令を発布しました。その意味は「雇用主または事業所の所有者および政府機関が受け入れなければならない障害者の数、および雇用者または事業所の所有者が『障害者のエンパワメントのための基金』に納付しなければならない金額を決定する省令(第3号)B.E.2021」です。
この省令の概要は、タイ語で “ข้อ 6 ให้นายจ้างหรือเจ้าของสถานประกอบการซึ่งได้รับคนพิการเข้าทำงานตามมาตรา33 หรือได้ดำเนินการตามมาตรา 35 แต่ดำเนินการไม่ครบเงื่อนไขที่กฎหมายกำหนดส่งเงินเข้ากองทุนส่งเสริมและพัฒนาคุณภาพชีวิตคนพิการตามจำนวนวันที่ไม่ได้ดำเนินการให้ครบตำมเงื่อนไขที่กำหนดไว้ เว้นแต่ได้มีการดำเนินการตามที่กฎหมายกำหนดภายยในระยะเวลา ดังต่อไปนี้ (1) ตั้งแต่วันที่ 1 มกราคม พ.ศ. 2564 ถึงวันที่ 31 มีนาคม พ.ศ. 2564 ให้ดำเนินการภายในเก้าสิบวันนับแต่วันที่ไม่ได้ดำเนินการให้ครบตามเงื่อนไขที่กฎหมายกำหนด (2) ตั้งแต่วันที่ 1 เมษายน พ.ศ. 2564 เป็นต้นไป ให้ดำเนินการภายในสี่สิบห้าวันนับแต่วันที่ไม่ได้ดำเนินการให้ครบตามเงื่อนไขที่กฎหมายกำหนด”で、その内容は、「第6節 第33条に基づいて障害者を就労させるか、または第35条に基づいて措置を講じたが、基金に送金するための法律で定められた条件を満たしていない雇用主または事業所の所有者について以下のように定める。以下の期間内に法律で義務付けられている措置を講じていない場合、指定された条件を満たさない日数に基づいて、障害者の生活の質を促進し改善する。
(1) 2021年1月1日から2021年3月31日までに、法律で定められた条件を満たさなかった日から90日以内に手続きを行うこと。
(2) 2021年4月1日以降、法律で定められた条件に従って義務が実行されなかった日から45日以内に手続きを行うこと。」(ラチャキチャ、2021)。
障害者エンパワメント法B.E.2550の第4条、第11条の第2項、第20条の第1項(10)、第3項、第4項、ならびに人の権利および自由の制限に関する規定を含む法律に従い、また、第29条及びタイ王国憲法の第41条および第43条と併せ、法の定めるところにより、全国障害者委員会は、障害者の生活環境の整備、個人介助者の配置、介護士を持たない障害者への支援、介護士の権利に関する基準と手続きについての規則を発行しました。これはタイ語で ““ระเบียบคณะกรรมการส่งเสริมและพัฒนาคุณภาพชีวิตคนพิการแห่งชาติ ว่าด้วยหลักเกณฑ์และวิธีการปรับสภาพแวดล้อมที่อยู่อาศัยให้แก่คนพิการ การมีผู้ช่วยคนพิการ การช่วยเหลือคนพิการที่ไม่มีผู้ดูแล และสิทธิของผู้ดูแลคนพิการ พ.ศ. 2552”(ラチャキチャ、2009)と言い、2009年9月14日に公示されました。
B.E.2553(2010)の「障害者の生活環境を整備する際の料金、制限、および費用の項目」に関する公示においては、2万バーツ以内となっていました(ラチャキチャ、2011年)。その後2021年に、第12条第2項の「障害者国家エンパワメント委員会」の規定により、障害者の生活環境を整備するための基準と手続きが定められました。介助者を持っている障害者、仕事のない障害者の支援、介護士の権利、B.E.2552とその修正版で、障害者の生活環境整備のための与信限度率は、管理費と補償を含み、それぞれ4万バーツを超えない固定額となりました(ラチャキチャ、2021年)。この規定は2021年1月7日に公示され、その30日後に発効しました。
2021年に、タイには、障害者、不利な条件を抱える人、および高齢者のための建物内の設備を決定する省令があります(No. 2)B.E. 2564。タイ語で “กฎกระทรวง กำหนดสิ่งอำนวยความสะดวกในอาคารสำหรับผู้พิการหรือทุพพลภาพ และคนชรา (ฉบับที่ 2) พ.ศ. 2564”といいます。内務大臣は、建物管理委員会の助言を受けて、建物管理法B.E.2522第5条(3)、および建物管理法B.E.2522(1979)第8条の(1)(2)(4)(5)(6)(7)(8)および(9)、修正建築管理法(No.3)B.E.2543(2000)に基づく省令を発布しました(ラチャキチャ、2021、p.19)。
この省令公布の背景には、障害者や不利な条件を抱える人、および高齢者のための建物内設備について定めた、建物の種類および特性に基づいて規定されたB.E.2548(2005)が、建築様式が多様化する現在の変化には適しておらず、障害者等を支援する設備を収容する規模と特性を持つ、アクセスの良い建物をカバーしていないということがあります。建物や設備の種類、規模、特徴を修正することは適切であり、これには障害者、不利な条件を抱える人、および高齢者のための建物内設備の設置、規模、数、および基準に関する要件が適切で、一貫性があり、国際的に受け入れられることが含まれます(ラチャキチャ、2021、p.29)。
この調査では、2020年から2022年にかけての多くの規則と告示が、日時も明示され、より適切になり、障害者の生活の質を向上させるように策定されたことがわかりました。