2023年10月26日、労働年金局(Department for Work and Pensions: DWP)は、健康と雇用に関する試行事業の拡大を発表しました。
この試行事業では、失業給付申請者に対して、医療専門家が1時間以上の話し合いをし、雇用や行動におけるバリアを特定しそれを克服するための「労働能力計画(work ability plan)」を作成します。この計画はワークコーチと共有され、バリアを乗り越えて復職するめの支援が行われます。
英国は、歴史的に、障害者や慢性病の人は、基本的に働けないものとしてきましたが、働ける人には働いてもらおうという考え方に変ってきていて、これらの人々の在宅就労や就労支援に取り組み始めています。2023年3月には、「支援の変革:健康と障害に関する白書(Transforming Support: The Health and Disability White Paper)」を発行し、障害者や慢性病のある人々の就労をサポートし、生活を変え、経済を成長させていくための福祉制度改革に関する長期計画を示しました。この事業拡大は、この計画に沿ったものです。
英国には、雇用および支援手当(Employment and Support Allowance: ESA)、ユニバーサルクレジット(Universal Credit:UC)の就労困難加算(Limited capability for work: LCW)等障害や病気によって職業能力が制限されている人々に対する手当がいくつかあり、これらの手当を受給するためには作業能力評価(Work Capability Assessment: WCA)を受ける必要がありますが、この評価を受けるのに時間がかかりすぎるなどの問題が指摘されており、この事業により、作業能力評価を受ける前に復職できると期待されています。
2022年5月から実施されたリーズでのパイロット試験が成功したことから、試行事業をアバーデア、ブラッドフォード、チェルムズフォード、ドンカスター、ダーラム、ハル、ランカスター、ニューカッスル、ノリッジ、サンダーランド、ウィガン、ヨークというイングランドとウェールズの12か所に拡大中です。
今回の事業拡大に対して130万ポンドが投入され、数千人に対する新たな支援が行われる予定とのことです。
詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.gov.uk/government/news/back-to-work-boost-for-disability-benefit-claimants-as-ground-breaking-employment-scheme-expanded