[米国]労働省が提案した労働規則案のメディケイドへの影響

2023年11月7日、知的障害者と発達障害者に対する地域サービスおよび雇用サービスを提供する全国的な業界団体ANCOR(American Network of Community Options and Resource)は、労働省(Department of Labor)が提案した労働規則案に懸念を表明しました。

労働省は、2023年9月8日に、公正労働基準法(Fair Labor Standards Act)第13条(a)(1)関連の規則を改正し、最低賃金および残業手当が除外される役員、管理職、専門職の従業員の収入基準を高くするという提案を行いました。現状では、収入額が$35,568以上のこれらの従業員に対しては、最低賃金保障の規定が適用されず、また、残業代を通常の賃金の1.5倍に増額しなくてもよいということなっていますが、政府は、この最低収入を年間$55,068に引き上げるという提案をし、パブリックコメントにかけていました。

しかし、この提案に対し、ANCORは、それを行うと、現在残業手当を支払われていない専門職に残業手当を支払わねばならず、組織全体で年間10億5,100万ドルの支出増になるため、適切な資金が確保されない場合には事業に悪影響を与える懸念があるとしています。

ANCORには2,100以上の民間事業者が加盟していますが、これらの団体の主な収入は、メディケイドから提供されています。サービス料金は、州のメディケイドにより決められており、支出増を料金に転嫁することができません。そのため、メディケイドなどからの追加資金がなければ、正規雇用の従業員を時給労働者に転換したり、必要な時間外労働を制限する必要があり、最悪の場合、サービス提供をやめざるを得ないとしています。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.ancor.org/resources/ancors-comment-on-the-proposed-overtime-rule/

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