2024年5月24日、英国政府は2022年3月17日に発表された人種と民族の格差に関するインクルーシブ・ブリテン戦略の達成を目指し、インクルーシブ・ブリテン第2次更新報告書を公表しました。
序文において、女性・平等担当大臣ケミ・バデノック氏は、多民族、多人種、多宗教国家である英国は、政府の横断的行動計画として教育、雇用、健康、司法制度における不平等な民族格差にコミットメントしていくことを述べています。
2年前に発表された戦略の中で掲げられた74の行動指針のうち、現在までに62の指針が達成されており、社会に根強く残ってきた多くの格差は縮小傾向にあると言います。本報告書では、3つのテーマを掲げ、過去1年間の取組みの進歩をまとめています。
「信頼と公平性」というテーマでは、人種差別、ネット上での虐待、警察による職務質問のプロセス改善、民族による賃金格差や健康格差の是正に取り組むための行動指針が示されています。
例えば、長年英国では人種による健康格差が問題視されており、白人種と有色人種では有色人種が3~5倍程糖尿病罹患率が高いことや新生児の致死率も2.8倍高いなどの事例が報告されています。こうした健康格差の現状を鑑み、今回の行動指針では2030年までに少数民族に属する国民の健康寿命を長期化させることも目標とされています。
続く「機会と主体性」の項では、国民の平等な機会と可能性を実現するために必要と考えられる、学校教育制度及び子どもの教育に係るその他のアクション、養子縁組に関する対策、キャリアの選択肢の改善、少数民族の起業家支援など、幼少期から社会にでるまでのあらゆる国民が自分の人生を豊かに設計できるようにするための取組みが掲げられています。
3つ目のテーマである「インクルージョン」の中では、学校や職場におけるインクルーシブ政策、司法における多様性の改善等の取組みを、共通の価値観と歴史に基づく英国社会の実現のために示しています。
残る12の行動指針の達成のため、今後は、
民族に関するデータ収集とその公表方法の改善などを推進し、インクルーシブ・ブリテンの実現を目指すとしています。
詳しくは下のサイトをご覧下さい。(笹子)
https://www.gov.uk/government/publications/inclusive-britain-update-report/inclusive-britain-second-update-report-may-2024