第21回リハ協カフェについて

ジャスミン センテアノ アンビオン (フィリピン在住)
(ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第22期生)

学ぶことは私の大好きなことの一つで、新しい発見や情報に出会うとワクワクします。熱意を持って取り組んでいることについては尚更です。ですから、第21回リハ協カフェの語り手として招かれたことは、海外の障害者政策を学べるだけでなく、母国フィリピンについて他の人たちに知ってもらえる機会でもあり、とても嬉しかったです。この記事ではリハ協カフェが始まった背景と、第21回リハ協カフェについて報告します。

リハ協カフェとは

リハ協カフェを知らない方のために、リハ協カフェが始められた背景と経緯を説明します。

障害のある人たちが直面している困難な課題に対処するためには、障害に関連する情報やアイデアを伝え合うことが大切です。そのため、障がいのある当事者、研究者、団体や国が一体となって、これらの喫緊の課題に関する十分な情報を得た上で解決策を練る必要があります。大勢の関係者が集まるカンファレンスのような対面の会議でこうした課題に関する知見やデータを収集することが一般的でしたが、2020年に起きた予期せぬコロナ禍により、これまでのやり方が一変しました。人々は社会と距離を置く必要があったため、1年以上もの間、対面での会議ができなくなってしまいました。障害のある人たちは、絶え間なく課題を解決する必要があり孤軍奮闘していました。リハ協カフェが誕生したのはそのような時期です。

2020年8月、日本障害者リハビリテーション協会(リハ協)は、障害に関連した情報を発信するためのリハ協カフェを立ち上げ、それ以降2ヶ月ごとにリモートで開催しています。これは、日本の国内外の障害のある人、研究者、団体を結束させる取り組みで、参加者を集めて学び合うために効果的であることから、コロナ終息後も継続しています。

第21回リハ協カフェについて

リハ協は、これまでに21回のリハ協カフェを開催してきました。2024年4月26日の第21回リハ協カフェには、ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業の修了生3名が招かれ、それぞれの国の障害者手帳と障害者施策について報告しました。修了生は、フィリピンからの第22期研修生ジャスミン・アンビオン(筆者)、インドネシア出身の第22期研修生マウディタ・ゾブリタニア(ゾーさん)、ネパールからの第14期研修生アンジャナさんでした。

私たち3人の持ち時間は30分ずつで、ゾーさんと私は英語で、アンジャナさんは日本語で報告しました。報告には言語通訳と手話通訳もつき、できる限りインクルーシブになるよう配慮されていました。

メインイベント

報告者は一般参加者より15分前にオンライン会場にログインし、簡単なリハーサルを行い、スライドの準備とインターネットの接続状況を確認しました。この場では、互いの近況報告をしたり、リハ協の新しいスタッフに会うこともできました。その間、私は家にいるように心が和み、研修生仲間やリハ協のスタッフと言葉を交わすことに喜びを感じました。自分の報告を前にした不安はすべて消えさり、懐かしい人たちと話せる幸せだけを感じていました。

リハーサル後、一般の参加者がオンライン会場に入室してプログラムが始まりました。司会は仁尾さんと村上さん。お二人の巧みな語りかけで、参加者も報告者も心地よくプログラムに引き込まれていきました。まず報告者が紹介され、最初にゾーさんが発表しました。

ゾーさんは、ジャカルタの障害者カードや障害者手帳をめぐるインドネシアの障害者施策について語ってくれました。彼女の報告から、インドネシアの障害者はジャカルタ障害者カードと障害者手帳を利用できることがわかりました。この2つの違いとそれぞれの機能に続き、申請手続きやゾーさん自身が障害者手帳を申請した経験についても話してくれました。最後に、ゾーさんは、この制度を改善する複数の提案を述べました。

次の報告者は私でした。フィリピンの障害者ID制度という、完全にインクルーシブな国にするためのツールとしての1枚のIDカードのあり方について他国の方々に知ってもらうことができ嬉しかったです。ここでは、フィリピンの障害のある人たちに関する重要な情報を参加者に伝えました。例えば、障害者の登録数、障害者の権利保障のための法律(障害者ID制度の規則を含む)について説明しました。同時に、障害者登録の申請資格、IDカード所有者が利用できる割引や特典、申請手続きについても説明しました。また、障害者IDカードを実際に使用した私自身の経験をいくつか紹介し、最後に、フィリピンの障害のある人たちのために障害者ID制度を確立することの重要性として、障害者ID制度が私たち当事者をエンパワーし、障害のある私たちについて社会を啓発すると述べました。

最後の報告者のアンジャナさんは、ネパールの障がいのある人たちが抱える諸問題と、それらを解決するための権利擁護の取り組み状況について話してくれました。また、アンジャナさんのネパールでの活動報告、障害者が利用できるサービスや障害者IDカードについての最新情報や、重度の障害を持つ人々のための無償の健康保険についても紹介しました。アンジャナさんは、他の自治体でも展開できるような優れた障害者サービスの事例を複数示して報告を終えました。

まとめ

第21回リハ協カフェは、楽しく実り多い催しでした。よくまとまっていましたし、技術的な問題はごくわずかでした。私たちは自分の国の重要な情報を伝え、また、他国の情報を得ることができました。参加者も熱心に耳を傾けてくれ、質疑応答の時間には私たち報告者にいろいろな質問をしてくれました。このように情報発信という目的は達成されましたので、私としては、開催は成功したと思います。

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