自立生活センター・ポカラ事務局長 アンジャナ K C(ネパール在住)
(ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第14期生)
過去10年間にわたり、自立生活センター・ポカラは、障害者のインクルージョンとエンパワーメントを進めるため様々な活動に一生懸命に取り組んできました。ここでは、私たちの取り組みの概要をお伝えします。
政府高官や投票で選出された首長を対象にした障害者のインクルージョン研修
障害者のインクルージョンのための政策や施策の意義について、政府高官や首長を対象に研修を実施してきました。
障害者が自立して自分らしく生きられるように、障害者の日々の暮らしをサポートするパーソナル・アシスタントの確保に取り組んでいます。
行政におけるスロープやトイレ等の障害者が利用できるインフラ整備のあり方を提言しました。
障害者の生活に欠くことのできない支援やサービスを受けられるように、障害があることを証明するカードの配布を普及させる活動をしています。
障害者の権利擁護と障害者へのサービス提供に携わる関係者間で、知識の共有や連携を促進するために集会を開催しています。
州の障害者政策づくりに積極的に参加し、それらの政策を実施する際に行政や障害者団体が担う役割について提言しました。
障害者の権利についての理解を深め、障害のある子どもたちの教育を向上させるよう、学校教員や行政関係者を対象にした研修を実施しています。
障害者団体の能力を強化し、また、意思決定プロセスへの当事者の参加を促進するために、資金面や技術面で障害者団体を支援しています。
関係当局へ働きかけ、司法制度への障害者のインクルージョンを促進する確約を求めて、障害者がさらに司法を利用しやすくなるよう権利擁護に取り組みました。
民間の事業者と連携し、それら事業者の施設やサービスを障害者が利用しやすくなるよう提言をしてきました。
障害者の性と生殖に関する権利について意識を高めてもらうため、啓発キャンペーンを実施し、関連情報、教財、広報資料を配布しました。
障害者が保健施策から取り残されないよう権利をまもる活動をするとともに、障害者が保健医療サービスを利用しやすくする取り組みをしています。
懸命な取り組みを進めてきた一方で、活動に必要な資源は限られており、運営資金不足、障害者問題に対する意識と理解をさらに高める必要性といった課題に直面しています。
取り組みの中で、障害者の権利保障やインクルージョンを進めるためには、権利擁護、他機関との連携や能力開発を続けることが重要であることを学びました。
リハ協カフェに参加することで学びを深めています。リハ協カフェは、他の人たちとアイデアを共有し、学び合い、支え合いの輪を築く場です。参加者が経験したことや直面している課題を聞くことで示唆をいただき、私たちの取り組み方や戦略を改善するために役立てています。
私たちが目指しているのは(ビジョン)、障害者が自立して生活でき、人生のあらゆる場面に完全に参加できるインクルーシブ社会を実現することです。それを目指して私たちがやるべきこと(ミッション)は、障害者の権利を擁護し、バリアフリー化を進め、障害者をエンパワーするために必要な支援と資源を提供することです。
これまでの10年の歩みを振り返りながら、私たちが成し遂げたことを確認するとともに、依然として抱えている課題もまた確認するに至りました。これらの課題を克服するため、権利擁護活動や、あらゆる立場の関係者との連携の継続のために全力を尽くしてまいります。私たちの到達目標は、障害者の完全な社会へのインクルージョンと、障害者が充実した暮らしができる機会を得られるようにすることです。私たちのミッションをもとにした活動を推進することが、ひいては末永い変化をもたらすことを心待ちにしています。