[国交省]「鉄軌道のバリアフリー化の整備推進に関する検討会」とりまとめ公表

令和7(2025)年3月11日、国土交通省は、「鉄軌道のバリアフリー化の整備推進に関する検討会」のとりまとめを公表しました。

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」(平成18年法律第91号)第3条では、「主務大臣は、移動等円滑化を総合的かつ計画的に推進するため、移動等円滑化の促進に関する基本方針を定めるものとする。」とされており、国土交通省は、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」を定めていますが、第三次整備目標は令和7年度(2025年度)までを目標としており、令和8年度(2026年度)以降の新たな整備目標を検討するため、国土交通省全体として「バリアフリー法及び関連施策のあり方検討会」において議論が進められています。

これに合わせて、鉄道分野についても、同検討会において、段差解消やホームドア、車両等について検討を行なってきました。今回そのとりまとめが公表されました。

とりまとめの概要は、次のようになっています。

鉄軌道における令和8~12年度の整備目標(案)のポイント
〇「段差解消等の目標対象範囲(3,000人以上駅・基本構想策定2,000人以上駅)」は据え置きとして、引き続き、原則100%を目指す
〇「ホームと車両の段差・隙間縮小」した番線に関して、数値目標を新たに設定(4,000番線)
〇「ホームドア」の目標値を更新(3,000 → 4,000番線、10万人以上駅は800 → 900番線)
〇「車両のバリアフリー化」の目標値を更新(70%→80%)
※これらの整備目標案は、公共交通機関等における次期整備目標の策定に向けて議論を行っている「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会」にて決定予定。

鉄軌道のバリアフリー化推進の目指すべき方向
(1)地方部をはじめ利用者数の少ない駅におけるバリアフリー化
➢地方部をはじめとした利用者の少ない駅についても、可能な限りバリアフリー化を行うことが求められる。特に、内方線付き点状ブロック等、安全性の確保に係る設備は、整備されていないことで、生命の危険に直結するおそれがあるという観点から、配慮が必要。
➢基本構想と地域公共交通計画との調和をはかり、地域全体で見てバリアフリー化されたルートの確保が実現されていることが必要。
(2)無人駅における対応
➢駅の利用実態を踏まえ、利用者特性に対応できているかを検証の上、必要な取組を展開することが重要。新たに駅を無人化する際には、安全性・利便性の確保を担保するための必要最小限の設備や施策を可能な限り配慮した後に実施するよう努める。
➢駅設備や施策の見直しを行う際には、沿線地方公共団体・駅周辺の自治会等と協同で実施することも重要。
(3)基本構想策定の推進
➢基本構想の策定を増やすための施策に国として取り組む。国、地方公共団体、鉄軌道事業者、当事者団体等の関係者が一体となって策定を進めることが必要。
(4)プラットホームと車両の段差及び隙間の縮小
➢鉄軌道事業者は、連絡する鉄道事業者相互間等でも連携し、ホームページ等で段差・隙間が縮小されたプラットホームの情報提供の充実に努める。
➢路線の運行状況や乗務員の負担、駅のバリアフリー化状況も踏まえて、必要に応じて乗務員による乗降介助を進めるよう努める。
(5)案内表示及び情報提供
➢特に、事故や災害発生等の異常時には、音声に加えて視覚的にも充分な情報提供を行うなど、情報提供を充実させることが必要。
(6)列車の予約や運賃・料金の決済
➢鉄軌道事業者においては、ウェブサイトによる車椅子席の予約、障害者割引切符の購入、切符受け取りの不要化等、障害者の切符の購入に係る利便性の確保・向上に努める。また、障害者用ICカードについても導入・拡大を進める。
(7)エレベーターの大型化
➢利用の状況に応じて、エレベーターの大型化を進めることが期待されている。特に鉄道駅を新たに建設または大規模な改良をする際は、最低基準を上回る大きさのエレベーターや、複数台のエレベーターを整備する等、高齢者、障害者等の利用実態等を考慮して定める。
(8)心のバリアフリー
➢バリアフリー設備や優先席は、障害者等、当該設備を特に必要とする者が優先的に利用できるよう、国や鉄軌道事業者は啓発に努める。
➢エスカレーターの安全な利用の観点から立ち止まって利用するものとして、関係者とも連携し啓発に努める。
(9)ICTの活用
➢ICT活用による利用者の利便性向上のための取組みには今後期待が持たれる一方、特に安全性に関しては、利用者個人の保有する端末によって差が生じないよう留意することが必要。

詳しくは次のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk4_000036.html

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