2025年3月25日、世界保健機関(WHO)は、各国のメンタルヘルス政策及び制度を改革し、強化するための新たなガイダンスを発表しました。このガイダンスは世界的な専門家や経験者等との協議に基づき策定されています。WHOのテドロス・アダノム事務局長は、「メンタルヘルスサービスへの需要が高まっているものの、質の高いサービスは未だ多くの必要とする人に届かぬままです。新たなガイダンスは、各国政府のメンタルヘルス政策及び制度改革を促進し、全ての人に役立つシステム構築に役立つツールを提供します。」と述べました。
一部の国では、重度のメンタルヘルス疾患を持つ患者の最大90%が適切なケアを受けられていない状態だといいます。また、既存のメンタルヘルスサービスの多くが、国際人権基準を満たしておらず時代遅れの制度のまま運用されている状況です。WHOが発表した新たなガイダンスでは、最新のエビデンスと国際人権基準に沿い、質の高いメンタルヘルスサービス改革のための明確な枠組みを示しており、具体的な行動を以下のように示しています。
・人権の保護と擁護、メンタルヘルス政策およびサービスが国際人権基準に準拠していること。 ・ライフスタイルと身体的健康、心理的・社会的・経済的介入に重点をおいた包括的なケアを推進すること。 ・雇用、住宅、教育など、メンタルヘルスに影響を与える社会的・経済的要因へ対応すること。 ・予防戦略の実行、国民のメンタルヘルス・ウェルビーイングを促進すること。 ・人々のニーズに適切に応えられるよう、経験を持つ人材による政策立案、制度設計できるよう参加支援すること。 |
またガイダンスの中では、①リーダーシップとガバナンス、②サービス組織、③人材育成、④個人中心の介入、⑤メンタルヘルスの社会的・構造的決定要因 の5つの分野を緊急に改革すべき主要政策分野として掲げています。
新たなガイダンスは柔軟性を考慮し設計されており、低所得国や高所得国にかかわらず、各国の状況に応じ、ニーズ、優先事項に基づいたメンタルヘルスケアへの取組みを調整できるとしています。
詳しくは下のサイトをご覧下さい。(笹子)
https://www.who.int/news/item/25-03-2025-new-who-guidance-calls-for-urgent-transformation-of-mental-health-policies