快適生活・暮らしのヒント-高次脳機能障害の暮らしの中の工夫~“わからない”ことへの対応~

「新ノーマライゼーション」2024年3月号

NPO法人脳損傷友の会高知青い空 女子会
スイーツ女子(じょし)

2年半前に脳腫瘍を手術で摘出し、放射線治療、抗がん剤治療を受けました。自宅に帰って気が付いたのは「今日の日付がわからない」「車に乗っても行き先がわからなくなる」「スーパーに行って何を買うかわからなくなる」ことでした。

リハビリテーション病院では「日頃の様子がわかるように日記を書こう」と言われました。初めは、行き先、食べたもの、体温などをメモする程度でした(写真1)。すぐに忘れるのに書いていないので、何をしたかわからずそのたびに家族に聞いていました。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1はウェブには掲載しておりません。

日記のページを開いてテーブルに置くようアドバイスをもらい、何かしたらすぐに書くことにしました。忘れる前に書き、書いたら覚えていることが増えて、忘れても見返したら思い出せるということがわかり、「自分で書いて思い出せるのはいいなぁ」と思うようになりました。今は、起きてから寝るまでの行動や水分の摂取量、痛みや体温も記入し、食事はスマホで写真に撮っておいてから書きます。シールを貼って色を付けるなどデコレーションを楽しんでいます。一日の目標や感想などの文章も書くようになりました (写真2)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真2はウェブには掲載しておりません。

次に気づいたのが『やり過ぎ』の癖です。好きな家事や書き物を始めると休憩を挟まず続けてしまいます。家族が声を掛けてくれても、自分のリハビリだから「やらなければならない」とこだわっていました。疲労が一気に押し寄せて、食事もとれない状態のことがありました。自分では気づかないのですが、眉間にしわを寄せた表情は、イライラして見えたようです。疲労に気づきにくく、腰や肩の痛みも前からのことで仕方ないと諦めていましたが、リハビリの中で紹介された棒体操(写真3)をすると心地よくなりました。そこで、何か始める時にはスマホのタイマーをセットして、鳴ったら棒体操をすることに決めました。疲労がたまり過ぎないように、一日のスケジュールに『休憩』という付箋を貼ることにしました。「自分から休憩することが増えた」と家族から言われるので、うまくいっていると思います。でも、時々やり過ぎるようで、その時には家族が声を掛けてくれます。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真3はウェブには掲載しておりません。

これからも、自分ができることややりたいことを探しながら、夫と両親と『笑顔』で暮らしていきたいです。

ちなみに、冒頭の事象への対応は、「時計をみたら日付がわかる、とわかったので安心」「行き先を書いたホワイトボードを車に置いたら、見てわかる」「買いたい物をメモして、そのメモを持っていく」ことです。

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