順天堂大学1年
田苗優希(たなえゆき)
こんにちは。田苗優希と申します。現在大学1年、18歳です。私は生まれつき重度の難聴で補聴器をつけて過ごしています。みなさんはデフリンピックをご存知でしょうか。パラリンピックに聴覚障がいは含まれないため、聴覚障がい者のオリンピックとしてデフリンピックがあります。オリパラと同じように夏季と冬季があり、4年ごとに開催されます。私は今年3月にトルコで開催された第20回冬季デフリンピック競技大会のアルペンスキー競技に出場し、スーパー大回転と大回転の2種目とも銀メダルを獲得しました。
今年4月に順天堂大学(以下、大学という)に入学し、早くも1か月が経ったところです。ここでは聴覚障がいに関して多くの人に知ってもらいたいことと自分の聞こえのことを中心に、現在頑張っていること、これから挑戦したいことについて書いていこうと思います。
はじめに聴覚障がいに関して多くの人に知ってもらいたいことと自分の聞こえについて。先ほど述べたように私は重度の難聴なのですが、聴覚障がい者といっても本当に多様な人がいます。障がいの原因、どれくらい聞こえるか、また聞こえ方は人によって変わるので、例えば聴力が同じであってもその人の聞こえ方によって困っていることが異なります。目の見え方と同じように思っていただいたほうがわかりやすいかなと思います。人によって視力はもちろん、色が見づらい、見えている範囲が少ないなど、人によって見え方は違いますよね。聴覚の場合も同じようであると私は考えています(私の個人的な意見です)。
私は「感音性難聴」でただ耳が聞こえないだけでなく、音の識別がとても難しいです。補聴器の音を大きくした状態で聞こえるようになってもその音が混濁していて、何を言っているのか、何の音なのかがわからないのです。常に外国語が飛び交っているような場所にただ一人飛び込んでいるような感覚です。また私は高い音が聞こえず、ブザーの音や笛の音がわかりません。アルペンスキーの大会のスタートはほぼブザースタートなので、毎回スタート係にお願いしてスタートまであと何秒と、手で数字を表して可視化できるようにしてもらっています。そして先ほど述べたように音が混濁して聞こえるので普段は相手の口元、唇の動きを見る読唇術で話を読み取り、わからないときは筆談をお願いしています。長くなりましたが一人ひとり聴力や聞こえ方が違うので、もし今後聴覚障がいのある方と出会ったらその人に何をしてほしいか聞いてみるといいと思います。
次に、現在頑張っていることとして、大学でスキー部のほかに新たにトライアスロン部に入部しました。ほぼ毎日かなりハードな練習で1日が始まる日々ですが、精いっぱいくらいついて着実に自分の力にしてスキーに活かしていきたいです。次こそ金メダルを獲ります。夏季デフリンピックにトライアスロン競技はないので、トライアスロン競技での出場は叶わないのですが、夏季デフリンピックを目標としてまた新しい競技を始めて、いずれは夏季デフリンピックにも選考されるような選手になりたいです。