重度重複障害者(盲ろう+肢体不自由など)の私が教師として働いて

「新ノーマライゼーション」2024年8月号

熊本県立黒石原支援学校
橋本紗貴(はしもとさき)

自己紹介

私は熊本県で特別支援学校の教師をしており、2024年4月で5年目になります。

私は中学2年生の時、体育大会で突然倒れました。ギラン・バレー症候群を発症し、多発性神経炎を併発。重度重複障害児(現在は重度重複障害者)になりました。障害は、肢体不自由、視覚障害(視力障害、視野障害)、聴覚障害(感音性難聴)、感覚障害、味覚障害、体温調節障害など、ここに書ききれないほど障害があります。視力は右目はまったく見えず左目は1円玉くらいの視野でぼんやりと見えています。色の識別も曖昧です。聴力に関しては右耳はまったく聞こえなくなり左耳に補聴器をつけています。肢体不自由に関しては両足と右手はまったく動かず左手も動かせる範囲が限られています。口腔内の感覚もありません。

2023年12月に気道確保のために気管切開の手術をし、声が出なくなったため文字盤や指伝話、人工喉頭などを使ってコミュニケーションをとっています。日常の生活の中では、コミューンや指伝話、視線入力、スイッチ入力、アームサポートなどの機器をその日の体調に合わせて選択して活用しています。

食事は、経鼻経管栄養、気管切開、酸素療法をしているため医療的ケアが必要になりました。障害の程度や病名は、年々増えていき身体がいつまでもつか分かりません。

生徒の成長を感じながら仕事をする喜び

私が働くのは、教師という仕事が好きだからです。日々、生徒の成長を感じながら仕事をすることができる喜びがあります。

私が働くために職場では合理的配慮をたくさんしていただいています。午前と午後に教諭支援員さんをつけてくださり、私ができない部分を支援していただいています。また、看護師さんを配置してくださり、医療的ケアをしていただいています。

そして、週3日出勤し、週2日は在宅勤務をしています。

働くことを実現するためには、支援機器を活用したり、人的支援が必要です。関わっている人たちについては、ここには書ききれないほどたくさんのことをしていただいています。職場では同僚の先生の力を借りながら仕事をしています。まだまだ未熟なところがあり、迷惑をかけていると感じています。

これからの新しい働き方に期待すること

教師が家にいながら学校に登校している生徒に授業を教えることができる環境が進むことを期待しています。例えば、出勤する体力はないけれど授業はできる状態の時に在宅で登校している生徒に授業ができる環境です。また、通勤が家族の送迎ではなく福祉タクシーを制度として利用できるようになることを期待しています。

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