視覚を補助してくれる便利アプリ

「新ノーマライゼーション」2024年10月号

富山盲ろう者友の会
九曜弘次郎(くようこうじろう)

私は、生まれつき視力がなく、途中から聴力も低下し、現在左耳に補聴器、右耳に人工内耳を装着しています。スマートフォンは、音声で読み上げてもらったり、点字ディスプレイに文字を表示させたりして利用しています。特に、何も見えないことや聞こえにくいことで不便を感じることが多くあります。

最近よく利用しているのが、「Be My Eyes」というアプリです。このアプリは、視覚に障害のある人と視覚に問題がないボランティアを繋いでくれるもので、困った時にボランティアの方にカメラを通して状況を見てもらうことができます。最近、このアプリにAI機能が追加され、Be My AIという機能を使うと、写真の内容をAIが説明してくれるようになりました。これにより、写真を見て楽しむという新たな体験ができるようになりました。

また、「Envision AI」というアプリも活用しています。このアプリは、文字を読み上げてくれる機能が優れており、郵便物や商品のラベルなど、文字を確認したい時に役立っています。

さらに「OKO」というアプリも欠かせません。このアプリは、視覚に障害のある人にとって、歩行の際の大きな助けとなっています。スマートフォンをかざすだけで、歩行者用信号の色を音と振動で教えてくれるため、これまで以上に安心して外出できるようになりました。

しかし、音響式信号機がすべて不要になるわけではありません。音響式信号機は、スマートフォンを持っていない方やアプリの操作に不慣れな方など、さまざまな状況に対応するために、今後も重要な役割を果たしていくでしょう。

OKOのようなアプリは、音響式信号機と併用することで、より多くの人が安全に街中を移動できる環境を実現できると考えています。

多くの視覚障害者向けナビゲーションアプリがありますが、私は聴覚にも障害があるため、まだ十分に活用できていません。スマートフォンカメラやセンサーを活用し、周囲の状況をより詳細に教えてくれるような、多感覚に対応したナビゲーションアプリの開発が進むことを期待しています。

スマートフォンは、私のように障害をもつ人々の生活を大きく変える可能性を秘めています。今後も、より便利で使いやすい機能が開発され、誰もが安心して暮らせる社会が実現することを願っています。

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