保護者
中谷正恵(なかたにまさえ)
我が家の次女亜希(平成元年生まれ35歳)は知的障害を併せもつ自閉スペクトラム症です。知的にも自閉症としても最重度で、さまざまな困難があります。
自閉スペクトラム症を特徴づける2つの主な特徴は、1.社会的コミュニケーションおよび交流における持続的障害2.限定された様式の行動、興味、および活動の繰り返しといわれています。
娘の特徴は無言語、イラスト写真の理解は可能、さまざまな感覚の過敏や鈍麻があります。無言語であり、コミュニケーションについても困難性をもつことから、実力行使での行動が幼少期から目立ちました。
私自身は、娘の伝えたいことがわからない、また、私が娘に伝えたいことをどのように伝えれば理解できるのかとずっと考えてきました。
視覚的なものを使ってのコミュニケーションは4歳からスタートしました。
2014年に「PECS®4+」アプリがピラミッド教育コンサルタントオブジャパン(株)から発売されました。PECS®については、さまざまな絵カードや文カードを用いて機能的なコミュニケーションをとることを進めていました。50枚以上の絵カードの弁別ができることなどのガイドラインをクリアしてからアプリへの移行を行いました。
生活の中で娘にとって、他者に伝えたい事柄を伝えられることが増えてきて、自分のタイミングで言いたいことを相手にわかるように伝えることができるようになり、ストレスが減ったり、より複雑なコミュニケーションも練習する中で娘のコミュニケーションスキルはどんどん広がっていきました。
絵カードは幼少期から使っていましたが、持ち運びする時に大変だったり、絵カードを紛失してしまったりと準備する私は大変なこともありました。それがアプリとして発売された時には、とてもうれしく思いました。
娘はどこに行くにもPECS®4+がインストールされているiPadを肩からさげていきます。iPadで写真を撮影し、文字入力をして、アプリ内ですぐに絵カードを作成することができますし、なによりかっこいい! 電車の中でも周りの方から「かっこいいねー」といわれたり、レストランで自分で注文する姿に「すごいね!」と賞賛していただくことも少なくありません。
障害があるから特別なものを使うことも必要なことでありますが、社会一般で皆さんが使っている電子機器を用いて、障害をアシストしていくことができるのはとても素晴らしいことだと思います。
教育現場などでもコミュニケーション支援の一環として導入され、コミュニケーションスキルの発達をサポートしてくださることを願います。
*ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン株式会社
https://pecs-japan.com
PECS®4+アプリ
https://pecs-japan.com/shop/pecs-iv/#tab-description