合同会社POD 代表社員
平井佑典(ひらいゆうすけ)
ADHDの診断を受けています。私は、頭の中で考えをまとめることが難しいと感じています。感覚としては深海のようなイメージの空間において、「やらなければならないこと」「やりたいこと」「気になっていること」などが断片的な映像で散らかっています。よく何から着手すべきかがわからなくなり、混乱し、ストレスを感じています。ところが思考をまとめたり、1つのことを考え続けたりすることが苦手です。途中で忘れる(気が散る)ことが繰り返され、その都度、それを思い出す(集中する)ということに神経を使います。考え始めても「次に何をするか」に到達できません。
19歳で診断された頃には、筋道の立て方を身につけようと工夫していました。ロジカルシンキングや垂直思考といった概念を勉強し、苦手な部分へのサポートになることを期待しました。しかし、思考をまとめる方法については理解しても手順の中で情報が散らかってしまうので頭の中で作業することは困難でした。そこで思い浮かぶすべてを書き出してから、それを眺めて作業する方法を取ってみました。おもちゃ箱をひっくり返し、床に全部並べてから、整理と判断を下していくイメージです。また、階層やカテゴリーの図解を用いると情報が整理しやすいことにも気がつきました。何年か後には、紙とペンで書き出しながら思考をまとめ、「次に何をするか」も導きだせるようにもなり楽になりました。
しかし、書き出した内容の管理の問題が残りました。書きかけのノートやルーズリーフが乱雑に増えていく状況でした。そこで一括管理を目指して、タスク管理やスケジュール管理、図解ソフトに注目しました。その日のTODOがハッキリし優先順位をつけられるようになること、計画的かつ充実した日々の獲得が目標でした。しかし、その効果を謳うPCソフトやスマホ・タブレットのアプリを複数試しても私が継続的に使用できるものはありませんでした。どれも入力を行うことはできても、その作業を忘れ、後回しになってしまうことが多く典型的な三日坊主となってしまいました。こうした経験から計画的に考えること、効率的に物事を実行すること、日々継続することは著しく高いハードルであり、仮に思考を整理し、「次に何をするか」が明瞭になったとしても「決めたこと」を実行する難しさが別に残ることがわかりました。
これらの取り組みから、目標を下げ、「急ぎでやるべきことが2から3個くらいわかればよい」と考えるようになりました。そのためにiPhoneにデフォルトで入っているメモアプリを利用しています。利点としては起動が早いこと、持ち物から忘れる可能性が低いことです。項目に分けたかったら【 】を使って前後の文のコピー&ペーストで整理します。それ以上の優先順位や長期的な判断は人にお願いしています。いろいろと試しながら、「どうしたいのか」と「そのために」を考えていくと「自分に合うやり方」が見つかるのかなと思います。