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ミニ懇談会~Anita Hilden (アニータ・ヒルデン)さんを囲む~「スウェーデンのディスレクシアの当事者活動・支援活動について」

日時:10月6日(火)14:00~15:50

会場:戸山サンライズ1階小会議室

10月6日、日本障害者リハビリテーション協会の主催で行われたミニ懇談会では、スウェーデンでディスレクシアや認知障害など読みの困難を抱える人々に対する支援機器を活用した支援を行っている教育専門家であるアニータ・ヒルデン氏をお迎えして、スウェーデンにおける支援機器やDAISYなどについてお話を頂いた。

アニータ氏

「写真:アニータ氏」

【講師プロフィール】
Anita Hildén has a Degree of Master with a major in Education. She has been project leader in projects dealing with students with reading and writing problems and cognitive disabilities. She was previously employed teacher at the University of Stockholm in the field of special education. She is author to teacher's guides in special education.

【発表要旨】

アニータ氏は、1986年から障害を抱える子どもに対してITを使った様々な教育支援を行っている。その1つに、テキストと音声を同期させたDAISY図書のプロジェクトがある。スウェーデンでは、読みの困難を抱える子どもや他の障害を抱える子どもにとってデイジー図書は、今まで読めなかったことが読めるようになるだけではなく、楽しむという意味においても重要である。デイジー図書は、子どもに「お友達」のように読み聞かせをし、「デイジー図書読んだ?」「読んだよ」といった子ども同士の会話が、学校のクラスの外でも行われていたという。重要なことは、読書というのは本の内容を理解することであって、それが目で読むのでなく、耳で使った読書だったとしても特に問題ないのである。

スウェーデンでは、ディスレクシアや読みの困難を抱える児童生徒に対する支援体制が整えられている。スウェーデン教育庁(Swedish National Agency for Education)が様々な年齢や、異なる障害や程度を持つ児童生徒に応じて国の教育目標を定めている。学校は、ディスレクシアや読みが困難だと思われる児童生徒が校内にいて、国の定めた目標に到達できない可能性があると判断した場合、障害に関する検査を外部で行う。これは無償であり、検査結果は学校に報告される。学校は校内にいる児童生徒の実態に即して国の教育目標をより具体化する責任があり、「アクション・プラン」という学校の行動計画を作成する。外部の検査で障害があると診断された子どもに対して、教師は代替ツールを活用した授業の手立てを考え、それをアクション・プランに盛り込む。

子どもがもし、ディスレクシアだと診断された場合、その子どもの親もディスレクシアである可能性がある。ディスレクシアは遺伝性が高いとよく言われているからである。そのような場合、親は自分の音読に自信がなく、子どもに読み聞かせをしたがらない。教師はそんな時、「録音図書を聞いたことがありますか?」と保護者に聞いてみることが大切である。大抵の親は知らないことが多く、親は録音図書を使って、子どもの読書を促進することができるのである。

子どもによっては、発達の段階に合わせて障害の程度が改善もしくは完治する子もいるが、学校はそういう児童生徒に対しても、特別な支援を直ちに終わらせるのではなく、実態把握をしつつ状況によって支援を行う。

スウェーデンの学校では代替ツールの使用が一般的である。例えば、音声合成装置(TTS)があり、ほとんどの学校はTTSを持っている。他には、スペルチェックプログラムがある。スウェーデン語と英語が入っているスペルチェックプログラムが一般的である。スウェーデン語は同じ音でも、違う意味やスペルがあるので、スペルチェックを使って、聞きとれた文章や語彙を入れることで、どの単語のどの意味なのか分かるようになる。また、録音図書も広く普及されている。国内には10万近くの録音図書があり、中にはインターネットで配信されているものをダウンロードできる。録音図書の多くは、デイジーで製作されている。このような代替ツールはスウェーデン国内において、今後ますます普及しつつあるとのことだった。

パソコンや代替ツールの活用することのメリットも存在する中、一方で課題もあった。どういったツールが利用可能で、どのように活用するのか把握していなかった教師がいた。そこで、「学校IT図書館(School IT library)」を立ち上げた。これは、特別支援教員によって運営されており、「学校IT図書館」を通じて、教師向けに、特別な支援を必要とする児童生徒が使えるデジタルツールに関するトレーニングが行われた。それにより、教師は児童生徒に対してどんなツールが適切なのか分かるようになり、うまく活用していくことができるようになった。今日では、スウェーデンの自治体の半数は、「学校IT図書館」があるとのことだった。

スウェーデンは、ディスレクシアや読みに困難を抱える子どもが教育を受ける権利が十分に保障されているという。それは単に小学校から大学まで授業料が無償であるということだけではなく、学びの場が保障されるように、教師が代替ツールを使った授業作りに積極的であり、子どもたちも代替ツールにアクセスできるような環境が整っているとのことであった。

【DINF参考資料】
スウェーデンの事例:リーディングエー市の学校でマルチメディアDAISY図書を試用 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/daisy/sweden/example_index.html

【講演資料原文】
Anita Hildén "Dyslexia:How do we work with persons with dyslexia" 2015-10-06
http://www.dinf.ne.jp/doc/english/resource/151006anita_en/anita.html


講演スライド(日本語訳)

ディスレクシア

ディスレクシアの人に対する取り組み

アニータ・ヒルデン(Anita Hildén)

2015年10月6日

スライド1

(スライド1のテキスト)

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